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2017年8月7日付 2666号

中山間地域で貨客混載、道の駅中心に13ヵ所で自動運転サービス実証実験 ビジネスモデル検討会開催  国交省

検討会の模様

 国土交通省は7月31日、東京都千代田区の中央合同庁舎で第1回中山間地域における道の駅等を拠点とした自動運転ビジネスモデル検討会を開催し、この夏以降に予定している実証実験の対象として、全国13ヵ所の道の駅を選定するとともに、さらに5ヵ所でビジネスモデルの具体化に向けた検討を進めていくことを決めた。

 自動運転技術については、高速道路におけるトラックの隊列走行が注目を集めているが、一方で高齢化によって交通弱者の拡大傾向が見られる中山間地域においても活用が期待されている。

 このため検討会では、全国約1100ヵ所の道の駅の約8割が中山間地域にあることを踏まえ、2020年までに道の駅を中心とした自動運転サービスの社会実装を目指し、宅配便などの貨客混載輸送も視野に入れながら、道路空間・車両技術・ビジネスモデルのあり方を検討していく。

 今後3回程度会合を開き、来年夏ごろを目途に中間とりまとめを行う予定。

 実証実験は、車両自律型または路車連携型の自動運転車両を用い、協力者の自宅や病院・役所・宅配便集配拠点など周辺施設を含む約4~5キロメートルのルートを巡回する形で行われる。走行方法は専用空間または専用空間と公道の混在交通とし、いずれも緊急停止用の係員が同乗する。道の駅には自動運転車両の駐車場と制御センターを設置し、路車連携型の場合は、路面に電磁誘導線などを設置する。このため実験期間は、1週間の実走期間の前後に設備等の準備と撤去期間を設け、全体で約1ヵ月間を想定している。

 実験の形態は、主にビジネスモデルの検討を行う「公募型」と、速やかに技術的検証が行える「地域指定型」の二つのタイプを用意。今回の検討会では、「公募型」で寄せられた26ヵ所の応募のうち、実験を行う8ヵ所と、ビジネスモデルの具体化に向けた検討を行う5ヵ所を決めた。

 「地域指定型」については、すでに本年4月の段階で実験を行う5ヵ所を選定しており、具体的な実験内容の検討や調整を行う地域協議会の活動も始まっている。

 「地域指定型」と「公募型」を合わせた13ヵ所の実験箇所と、ビジネスモデルの具体化に向けた検討を行う5ヵ所は次のとおり。カッコ内は道の駅の名称。

 【実験箇所】《公募型》◎北海道大樹町(コスモール大樹)◎山形県高畠町(たかはた)◎茨城県常陸太田市(ひたちおおた)◎富山県南砺市(たいら)◎長野県伊那市(南アルプスむら長谷)◎岡山県新見市(鯉ヶ窪)◎徳島県三次市(にしいや・かずら橋夢舞台)◎福岡県みやま市(みやま市役所山川支所)。

 《地域指定型》◎秋田県上小阿仁村(かみこあに)◎栃木県栃木市(にしかた)◎滋賀県東近江市(奥永源寺渓流の里)◎島根県飯南町(赤来高原)◎熊本県芦北町(芦北でこぽん)。

 【ビジネスモデルの具体化に向けた検討を行う箇所】◎新潟県長岡市(やまこし復興交流館おらたる)◎愛知県豊田市(どんぐりの里いなぶ)◎岐阜県郡上市(明宝)◎滋賀県大津市(妹子の郷)◎山口県宇部市(楠こもれびの郷)。

16年度の宅配便実績、40億個の大台突破 通販拡大等背景に  国交省

 国土交通省は7月28日、2016年度の宅配便実績を公表。16年度の宅配便取扱個数は前年度比7.3%増加の40億1861万個で、インターネットを利用した各種通信販売サービスの需要拡大により40億個の大台を突破した。

 16年度の宅配便のうち、トラックによるものは39億7780万個で7.4%の伸びとなったが、16年10月から日本郵便の「ゆうパケット」を集計に加えており、「ゆうパケット」を除いた取扱個数は38億6709万個で4.4%増。宅配便全体の取扱個数も「ゆうパケット」を除いた数字は39億791万個で4.4%の増加となっている。

 取扱個数を便名別で見ると、「宅急便」(ヤマト運輸)がトップで18億6756万3千個を取り扱い前年度比7.9%増、シェアは46.9%。次いで、「飛脚宅配便」(佐川急便)の12億1821万5千個(1.7%増)でシェア30.6%。

 3位は「ゆうパック」(日本郵便)の6億3242万1千個(23.3%増)でシェア15.9%。「ゆうパケット」を除くと5億2172万個で1.7%増、シェアは13.5%。

 同様に、「ゆうパケット」を除いたシェアは、「宅急便」が48.3%、「飛脚宅配便」が31.5%となっている=表1参照。

 航空等利用運送は4081万個で0.9%増となり、「飛脚航空便」(佐川急便)が793万2千個(0.2%増、シェア19.4%)を取り扱いトップ。以下、「宅急便」(ヤマト運輸ほか2社)の693万1千個(3.7%増、シェア17.0%)、「フクツー航空便」(福山通運ほか1社)の63万9千個(3.8%減、シェア1.6%)などの順となっている=表2参照。

 メール便は、52億8960万冊で0.5%増。順位は、1位が「ゆうメール」(日本郵便)で35億6285万1千冊(シェア67.4%)、2位がクロネコDM便(ヤマト運輸)で15億4216万6千冊(シェア29.2%)、3位が「ポストウェイメール便」(ポストウェイ)で9490万4千冊(シェア1.8%)などの順となっている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって『吉』か『凶』か(86)『トラックドライバー不足再考(その4)』
    ☆日中ビジネスワンポイント(165) 『ゴールデンウィークの旅(2)』
    ☆人物ウィークリー、JR貨物(株)・犬飼新取締役営業統括部長

  • ☆政府、総合物流施策大綱(2017~20年度)を閣議決定
    ☆物流連・田村会長が大綱決定でコメント、連携の重要性指摘は刮目すべきこと
    ☆日通、アフリカ初の拠点となるケニア支店を開設
    ☆国交省・毛利事務次官が会見、関係省庁と連携してトラックの荷待ち時間削減へ
    ☆JR貨物がグループ社長会議開催、石田会長が各社幹部に経営方針明確化による社員の力発揮を求める
    ☆日冷倉協が冷蔵倉庫の自主行動計画策定、運送会社との情報共有やトラックの待機時間削減など盛り込む
    ☆日通総研短観、7~9月の国内向け荷動き指数は3年半ぶりプラスに
    ☆ヤマトHDが業績予想を修正、売上高増も利益減に
    ☆丸運が堺物流センターを開設、関西地区の事業拡大へ
    ☆SBSロジコム、最適車両を自動割り当てする物流シェアリング・プラットホーム「iGOQ「(イゴーク)を来年本格稼働へ
    ☆ヤマトホームコンビニエンス、快適生活サポートサービスに室外清掃の新メニュー追加
    ☆全ト協・日貨協連、7月WebKIT成約運賃指数は引き続き増加傾向に
    ☆全ト協・女性雇用の実態調査詳報、女性ドライバーの荷役は手作業とフォークリフトがほぼ同割合に
    ☆セイノーHD、アクセラレーターのファイナリスト8社を公表
    ☆物流各社の第1四半期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼AI(人工知能)、BD(ビックデータ)、ICT(情報通信技術)、IoT(モノのインターネット)。最近はこうした記述をよく目にするようになった。これらは物流効率化の切り札的な存在として扱われている。
    ▼AIの信頼性や、最適化された物流は災害などの異常時に弱いのではないかという不安はあるが、コンピューターの演算能力の飛躍的向上などを考えれば、やはり物流の無駄解消に向けて、必要不可欠な要素だろう。
    ▼ただ、それと同時に現場の負担を軽減することも必要だ。コンピューターが最適なオペレーションを行う一方で、現場において人が炎天下で手積み・手降ろし作業を行っているようでは、物流の未来はあまり明るくない。
    ▼情報関連技術の活用と併せ、荷役を行えるロボットの開発にももっと力を入れてほしい。さまざまな荷物を扱えるような、物理的な作業をこなすロボットの開発には、情報関連技術以上のコストと時間が必要なはずだ。

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