中山間地域で貨客混載、道の駅中心に13ヵ所で自動運転サービス実証実験 ビジネスモデル検討会開催 国交省
国土交通省は7月31日、東京都千代田区の中央合同庁舎で第1回中山間地域における道の駅等を拠点とした自動運転ビジネスモデル検討会を開催し、この夏以降に予定している実証実験の対象として、全国13ヵ所の道の駅を選定するとともに、さらに5ヵ所でビジネスモデルの具体化に向けた検討を進めていくことを決めた。
自動運転技術については、高速道路におけるトラックの隊列走行が注目を集めているが、一方で高齢化によって交通弱者の拡大傾向が見られる中山間地域においても活用が期待されている。
このため検討会では、全国約1100ヵ所の道の駅の約8割が中山間地域にあることを踏まえ、2020年までに道の駅を中心とした自動運転サービスの社会実装を目指し、宅配便などの貨客混載輸送も視野に入れながら、道路空間・車両技術・ビジネスモデルのあり方を検討していく。
今後3回程度会合を開き、来年夏ごろを目途に中間とりまとめを行う予定。
実証実験は、車両自律型または路車連携型の自動運転車両を用い、協力者の自宅や病院・役所・宅配便集配拠点など周辺施設を含む約4~5キロメートルのルートを巡回する形で行われる。走行方法は専用空間または専用空間と公道の混在交通とし、いずれも緊急停止用の係員が同乗する。道の駅には自動運転車両の駐車場と制御センターを設置し、路車連携型の場合は、路面に電磁誘導線などを設置する。このため実験期間は、1週間の実走期間の前後に設備等の準備と撤去期間を設け、全体で約1ヵ月間を想定している。
実験の形態は、主にビジネスモデルの検討を行う「公募型」と、速やかに技術的検証が行える「地域指定型」の二つのタイプを用意。今回の検討会では、「公募型」で寄せられた26ヵ所の応募のうち、実験を行う8ヵ所と、ビジネスモデルの具体化に向けた検討を行う5ヵ所を決めた。
「地域指定型」については、すでに本年4月の段階で実験を行う5ヵ所を選定しており、具体的な実験内容の検討や調整を行う地域協議会の活動も始まっている。
「地域指定型」と「公募型」を合わせた13ヵ所の実験箇所と、ビジネスモデルの具体化に向けた検討を行う5ヵ所は次のとおり。カッコ内は道の駅の名称。
【実験箇所】《公募型》◎北海道大樹町(コスモール大樹)◎山形県高畠町(たかはた)◎茨城県常陸太田市(ひたちおおた)◎富山県南砺市(たいら)◎長野県伊那市(南アルプスむら長谷)◎岡山県新見市(鯉ヶ窪)◎徳島県三次市(にしいや・かずら橋夢舞台)◎福岡県みやま市(みやま市役所山川支所)。
《地域指定型》◎秋田県上小阿仁村(かみこあに)◎栃木県栃木市(にしかた)◎滋賀県東近江市(奥永源寺渓流の里)◎島根県飯南町(赤来高原)◎熊本県芦北町(芦北でこぽん)。
【ビジネスモデルの具体化に向けた検討を行う箇所】◎新潟県長岡市(やまこし復興交流館おらたる)◎愛知県豊田市(どんぐりの里いなぶ)◎岐阜県郡上市(明宝)◎滋賀県大津市(妹子の郷)◎山口県宇部市(楠こもれびの郷)。