働き方改革のコスト増対応、 宅配便等値上げへ クール便や家電設置も 佐川急便
佐川急便(荒木秀夫社長)は26日、飛脚宅配便・飛脚ラージサイズ宅配便などを含む広範囲なサービスの運賃・料金・手数料について、11月21日から値上げすると発表した。近年、社会的な課題となっている、「働き方改革」による労働環境改善に伴うコスト増加に対応するものとしており、同社では値上げと同時に①早朝・深夜の配達委託や個人宅配送の協力会社増強など配達力の強化②便数増強など幹線輸送および中継機能の強化③新入社員の初任給増額や週休3日制エリアの拡大など採用活動の強化・従業員確保―に取り組むとしている。
トラック運送業界では、ヤマト運輸が本年9月から宅急便の基本運賃の値上げを行うと発表しており、日本通運も今月から一般貨物自動車運送事業の届出運賃の値上げを行っている。今回佐川急便が宅配便を含む各種サービスの値上げを行うことで、適正運賃収受に向けた取り組みが、一層加速化するものと見られる。
佐川急便の値上げの内容は次のとおり。金額はいずれも税別。
【飛脚宅配便・飛脚ラージサイズ宅配便の運賃改定(100サイズ以上のみ)】
《改定内容》◎飛脚宅配便=全地帯一律で100サイズは60円、140サイズは230円、160サイズは180円を現行運賃に追加◎飛脚ラージサイズ宅配便=改定率は最少で1.1%、最大で33.3%、平均で17.8%値上げ。
《改定の背景》◎集配コスト増加に伴う対応◎コンビニや宅配ロッカーなど受け取り方法の多様化への対応◎輸送品質の維持向上に伴う投資コストの増加。
【飛脚特定信書便の運賃改定(100サイズ以上のみ)】
《改定内容》飛脚宅配便100サイズ以上の改定に伴い、同運賃を適用する飛脚特定信書便運賃も同内容で改定。
【スキー用具適用サイズの変更】
《改定内容》スキー用具の受託時の適用サイズ上限を、現行140サイズから160サイズに引き上げ。
【飛脚国際宅配便の受託時の容積重量算出基準の変更】
《改定内容》飛脚国際宅配便の受託時の容積重量算出基準を、1キログラム当たり6千立方センチメートルから5千立方センチメートルに改定。
【大型家具家電設置輸送の設置料金の改定】
《改定内容》1個口出荷の場合の家電設置料金について、170~300サイズまで700円、350・400サイズが1200円、400~550サイズまで1700円、600サイズが2200円、それぞれ現行料金に追加。複数個口は1個増えるごとに1500円追加。
《改定背景》◎設置委託費用の高騰◎物量増加に伴う一時保管場所の確保とコスト増加。
【代金引換サービス「e―コレクト」代引手数料の改定】
《改定内容》=上表参照=
《改定背景》高額な代金引換サービスに関しては、取り込み詐欺などのリスクが非常に高く、ツーマン体制で対応しており、現行の手数料ではサービスの維持が難しい。
【飛脚クール便付加料金改定】
《改定内容》全地帯一律で、60サイズが現行150円を250円に、80サイズが現行150円を300円に、100サイズが現行250円を400円に、140サイズが現行300円を650円に、それぞれ値上げ。
《改定背景》◎輸送品質の維持向上に伴う投資コストの増加◎取扱個数増加に伴う施設増強への対応◎100サイズ以上の取扱個数の増加など取り扱いサイズの変化◎フロン排出抑制法への対応に伴う冷凍冷蔵施設点検コストの増加。