次期物流施策大綱の検討最終案に意見多数、座長一任で取りまとめ “物流危機”の克服へ 国交省
国土交通省は15日、東京都千代田区の同省で第7回物流施策大綱に関する有識者検討会を開き、提言の最終案について審議。
1日に開かれた前回会合での意見を踏まえ①サプライチェーン全体の効率化・価値創造に資するとともにそれ自体が高い付加価値を生み出す物流への変革=「繋がる」②物流の透明化・効率化とそれを通じた働き方改革の実現=「見える」③ストック効果発現等のインフラの機能強化による効率的な物流の実現=「支える」④災害等のリスク・地球環境問題に対応するサステイナブルな物流の構築=「備える」⑤新技術(IoT、BD、AI等)の活用による“物流革命”=「革命的に変化する」⑥人材の育成・物流への理解を深めるための国民への啓発活動等=「育てる」―の6項目を提言案として示し、おおむね了承されたものの、複数の委員から意見が出され、最終的な取りまとめは座長に一任された。
提言案のうち、「新技術(IoT、BD、AI等)の活用による“物流革命”=革命的に変化する」は、前回案の「飛躍的な効率化をもたらす新技術の活用等=進化する」から大幅に改められ①IoT(モノのインターネット)、BD(ビッグデータ)、AI(人工知能)等の活用によるサプライチェーン全体の最適化②隊列走行および自動運転による運送の飛躍的な効率化③ドローンの物流への導入による空の産業革命④物流施設での革新的な生産性向上と省力化⑤船舶のIoT化・自動運航船―について、具体的な活用方策や効果、必要な取り組みなどを盛り込んでいる。
また、「ストック効果発現等のインフラの機能強化による効率的な物流の実現=支える」については、「ハードインフラ・ソフトインフラ一体となった社会インフラとしての機能向上」との副題を追加するとともに、内航海運での安定的輸送の確保・生産性向上に向けた方策や、鉄道輸送における幹線輸送力の強化に向けた検討の必要性などを加えた。
大綱で示された方向性に基づく具体的な施策の進め方については、「政府が一体となって計画的に実施していくため、総合物流施策推進プログラムを策定し、PDCA方式により進捗管理を行うとともに、施策の検証を通して必要な修正を行うことにより、予定する効果が発揮されるようにしていくべき」と記述。
また、「PDCAサイクルのC(Check)に当たるフォローアップにおいては十分な作業期間を確保するとともに、官民が一体となってその時点における施策の進捗状況と残されている課題を共有し、解決・改善の手法を検討することでより良い次のA(Act)につなげていくことが必要であり、こうした点を十分踏まえた上でより効果的なフォローアップの枠組みを検討する必要がある」としている。
これらの提言案に対し委員からは、「情報の共通プラットフォーム構築が重要。データだけでなく、システムの共通化も必要」「ハードインフラ整備の必要性を強調してほしい」「データについては、標準化に加え、渡し方や順序なども重要」「標準化を進めないと高コスト物流になるということを冒頭で示すべき」「事業者数が多いトラック業界が全体最適を進めるには、行動変革が必要となるので、きめ細かな支援が必要。無理なく進めることができるよう配慮してほしい」などの意見が出された。
これらの意見を踏まえ、最終的な取りまとめを座長一任で行い公表、今夏の閣議決定につなげる。