標準約款等の改正案を承認し意見募集へ、運賃・料金を明確化 中央協議会等
国土交通省と厚生労働省は19日、東京都千代田区の中央合同庁舎で第6回トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会と第5回トラック運送業の生産性向上協議会の合同会議を開き、2016年度に各地方協議会で実施したパイロット事業の内容や成果について報告するとともに、トラック運送における運賃・料金の適正収受に向けた標準貨物自動車運送約款等の改正告示案を承認した。
16年度は全47都道府県で48件のパイロット事業が行われ、うち28件で着荷主の参加が得られた。会合では、この中から愛媛県・熊本県での青果物輸送や長崎県から宮崎県への食料品輸送などの事例を紹介。食料品輸送の事例では、荷役と運送を分離するとともに、運行時に高速道路を利用することで拘束時間を2時間10分短縮した。
また、和歌山県の鉄骨製造メーカーの製品輸送では、建設部材の寸法を見直して高速道路を24時間利用できるようにしたことで、2泊3日の輸送工程から19時間の拘束時間短縮を実現した。
17年度は、すでに21都道府県で23件のパイロット事業の実施内容が固まっており、地方協議会の開催を経て準備が整い次第、実施に移す。
こうした報告に対し委員からは、「16年度の結果を17年度パイロット事業に反映すべき」「ガイドラインを取りまとめる予定の18年度を待たずに、16年度の実施結果を速やかに公表することが望ましい」「好事例の水平展開に当たっては、他の輸送にしわ寄せがこないように配慮する必要がある」「コストの可視化が必要」などの意見が出された。
標準貨物自動車運送約款等の一部改正告示案については、「トラック運送業の適正運賃・料金検討会」での議論やトラック事業者へのアンケート結果などを踏まえ、運賃と料金の明確化を行うこととし、運送状の記載事項に「待機時間料」「積込み料」「取卸し料」などの料金の具体例を規定する。また、トラック運送業における書面化推進ガイドラインについても、運送引受書の必要記載事項に「料金」を追加し、その具体例として、「待機時間料」「積込み料」「取卸し料」「附帯業務料」を規定する。
運賃については「場所的移動および運送に必要な積付け業務」の対価であることを明確化するため、「一般貨物自動車運送事業等における運賃及び料金について(仮称)」とする国交省自動車局貨物課長通達を発出する。
こうした改正案に対し委員からは、待機時間の確認方法や付帯作業時の労働災害の責任の所在などについて質問が出されたが、案の内容については了承され、今週中にもパブリックコメントの募集が開始される。
パブコメ終了後、7月に公布され10月施行の見込み。