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2017年5月15日付 2655号

労働力不足と労務問題に対応、専用貨物列車を運行 名古屋~福岡間も開始  福通とJR貨物

福山レールエクスプレス号

 福山通運(小丸成洋社長)とJR貨物(田村修二社長)は8日、労働力不足と労働時間や夜間の長距離運転の緩和など労務問題に対応するため、名古屋貨物ターミナル駅と福岡貨物ターミナル駅・北九州貨物ターミナル駅間で長距離直行専用貨物列車「福山レールエクスプレス号」の運行を開始した。

 福山通運は2013年3月25日から東京~大阪間、15年3月30日から東京~福山間の幹線輸送について毎日各1往復の専用貨物列車「福山レールエクスプレス号」をチャーターし、大型トラック160台分を貨物鉄道へモーダルシフトしてきた。これらに続く3往復目となる今回の専用列車運行により、大型トラック60台分をさらにモーダルシフトするもの。

 これら3往復の専用列車運行によるCO2排出削減量は年間6万9890トンとなる。

 福山レールエクスプレス号は15両編成(名古屋貨タ~北九州貨タ駅4両、名古屋貨タ~福岡貨タ駅11両)で、1列車当たり31フィートコンテナ30個、往復で60個を輸送することができる。

 下りは名古屋貨タを午後11時28分発、北九州貨タに翌日午前10時41分着、福岡貨タに午後0時47分着。上りは福岡貨タを午後10時51分発、北九州貨タを午前0時46分発、名古屋貨タに午後0時40分着。

 両社では今後も、これまでの経験と実績を生かし、物流業界における労働力不足と労務問題へ確実に対応するとともに、CO2削減による地球環境負荷の低減を図るため、先進的なモーダルシフトの実現に取り組んでいくとしている。

料金改定効果25億円、粘り強く交渉続ける 竹津日通副社長が記者会見

 日本通運の竹津久雄副社長は9日の2017年3月期連結決算発表会見で、料金改定の取り組みについて「お客さまにご理解いただける環境は良い方向に向かっていると思う。人件費の高騰等を受け過去数年間にわたり、粘り強く料金交渉を続けてきたが、今後も適正な料金をいただけるよう要請していきたい」と語った。

 また、財務部担当の林田直也取締役執行役員は料金改定交渉の成果が2017年3月期は25億円程度になることを明らかし、本年度も同額程度の効果を見込んでいると語った。

 会見で竹津副社長は、ドライバー・人手不足問題は物流業界に大きな影響を与えており、ローコストオペレーションによって、いかに作業を効率的に行うかが課題と述べ、顧客には作業改善を進めるため、手積み・手卸し、手待ち時間を可能な限り削減できるよう要請していると述べ、これまでも・これからも粘り強く交渉を続けていくとの姿勢を強調した。

 林田直也取締役は、2017年3月期連結決算は「昨年7月29日に公表した通期の売上高・営業利益・経常利益・当期純利益の予想数値をすべてクリアした」と述べた上で、燃油費・下請け外注費が上昇基調にある中で、コストアップ分をいかに見通し数値の25億円以上を転嫁できるかが本年度の課題との認識を示した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆四文字 『業界危機の「石油逼迫(ひっぱく)」』

  • ☆SGHDが決算会見、労働力不足対策等で中期目標を下方修正 日立との提携は順調
    ☆ヤマトHD・ヤマト運輸の働き方改革会見詳報、山内社長の発言要旨・質疑など
    ☆トナミHDが決算会見、8期連続の営業・経常増益途絶え「悔しい」と綿貫社長
    ☆センコーが中期経営5ヵ年計画「SIP21」を策定、売上高7千億円へ
    ☆エコモ財団が2015年版の「グリーン経営認定取得による効果」を公表、平均燃費3.4%改善等
    ☆ヤマトHDが上海に地域統括会社設立、中国・香港・台湾に所在するグループ各者のガバナンス強化へ
    ☆通運連盟がオフレールステーションに関する第2弾の収支向上キャンペーン展開中、各地域で説明会も
    ☆国交省が事業用自動車総合安全新プランの重点施策の修正案を提示、目標値は未定
    ☆全ト協・日貨協連、4月WebKIT成約運賃指数115で依然高い数値で推移
    ☆埼玉ト協が埼玉県と「埼玉県防犯のまちづくりに関する協定」を締結、新たな内容盛り込む
    ☆西濃運輸、広島県内の小学1年生約200人対象に交通安全教室開催 トラックの危険性伝える
    ☆SBSHD、中部地区のグループ会社のドライバーを対象とした安全運転研修会開催 今回で11回目
    ☆三菱倉庫が「茨木4号配送センター」を着工、西日本向け医薬品の保管・配送機能の強化図る
    ☆全流協が社員総会開催、17年度も労働力確保対策推進や生産性向上施策などに取り組む
    ☆埼玉ト協が理事会を開催、16年度はETC2.0を1万2千台助成など実施
    ☆近鉄エクスプレスが決算会見、中期目標を下方修正 直近の環境等を踏まえ精査
    ☆日新がマレーシアに新会社設立、東南アジアの拡大狙う
    ☆国交省が物流センサス最終版を公表、15年の流動ロットはわずかながら増加へ

今週のユソー編集室

  • ▼本号でも記事として取り上げているが、国土交通省はこのほど、5年ごとに行っている物流センサス(全国貨物純流動調査)の結果概要をまとめた。
    ▼調査結果を大ざっぱにまとめると次のようになる。5年前に比べると貨物量は減少したが、減少傾向は緩やかになった。荷主の代表輸送機関の選択理由では「輸送コストの低さ」が圧倒的で、2位の「到着時間の正確さ」を大きく引き離している。
    ▼このうち製造業の出荷量は5年前と比較して1%、調査を開始した1970年以降で最高の出荷量だった25年前と比較して24%、それぞれ減少している。日本のモノづくりが着実に衰退しつつあるということなのだろうか。
    ▼一方で当然の話ではあるが、荷主のコスト重視の姿勢は変わらない。近年の物流トレンドとなっている適正運賃収受が、製造業の出荷量の減少に拍車を掛けることも懸念され、生産性の向上が必要不可欠であることが示されている。

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