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2017年4月3日付 2650号

自動車運転者の時間外労動上限年960時間、働き方改革実行計画  政府

 政府は3月28日、首相官邸で働き方改革実現会議を開き、罰則付き時間外労働の上限規制導入などを盛り込んだ「働き方改革実行計画」を決定した。計画では、現行制度で時間外労働の上限規制の適用除外となっている自動車運転者について、「罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の5年後に、年960時間(=月平均80時間)以内の規制を適用することとし、かつ、将来的には一般則の適用を目指す旨の規定を設けることとする」としている。

 計画では、「同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善」や「賃金引上げと労働生産性向上」とともに、「罰則付き時間外労働の上限規制導入など長時間労働の是正」が盛り込まれている。

 長時間労働の是正については、いわゆる36協定でも超えることのできない罰則付きの時間外労働の限度を具体的に定める法改正が必要であると指摘。原則として、時間外労働の上限を「月45時間かつ年360時間」とし、違反には罰則を課す。

 また、特例として労使協定を結ぶ場合には、時間外労働の上限を「年720時間(=月平均60時間)」とし、一時的に事務量が増加する場合に最低限上回ることのできない上限を設ける。

 現行制度で時間外労働の上限規制の適用除外となっている自動車運転者については、罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の5年後に年960時間(=月平均80時間)以内の規制を適用することとし、「5年後の施行に向けて、荷主を含めた関係者で構成する協議会で労働時間の短縮策を検討するなど、長時間労働を是正するための環境整備を強力に推進する」と記述している。

都心から成田空港へ貨客混載新サービス、バスと手荷物当日配送セットに  佐川急便・東京空港交通

バスへの積み込みのデモンストレーション

 佐川急便(荒木秀夫社長)は3月30日、東京空港交通(増井健人社長)と共同し、リムジンバスの乗車券と都内から成田空港への手荷物当日配送サービスをセットにした「プレミアムハンズフリーパッケージ」を発売した。

 利用者はJR東京駅構内、浅草雷門、東京スカイツリーの佐川急便カウンターで手荷物を預け、手ぶらで観光やビジネスの用事を済ませた後、23区内の都合の良い乗り場からリムジンバスを利用して成田空港へ向かい、空港カウンターで手荷物を受け取る。荷物の受付時間は東京駅が午前7時~午後2時、その他の2ヵ所が午前9時~11時となっており、成田空港での受け取りは当日の午後5時~9時。荷物の預け場所は順次拡大していく考え。

 3ヵ所で預けられた荷物は東京駅に集約され、セキュリティチェックを行ってから、リムジンバスの空き荷物スペースを利用して成田空港まで運ぶ貨客混載方式を採用した点が特徴で、利用者と手荷物はそれぞれ別のリムジンバスで成田空港に向かう。佐川急便がバス事業者と貨客混載を行うのは初めてのケース。

 価格はサイズに関係なく、大人も子供も同額の3600円均一。リムジンバスと佐川急便のサービスを別々に利用した場合と比べ、最大で約1700円割安になる。

 発売当日の記者会見には、東京空港交通の増井社長や佐川急便の内田浩幸取締役らが出席。「利便性と価格の両面で非常に利用しやすい思い切った企画商品。貨客混載でコストを削減し、省力化の社会ニーズにも応えている(増井社長)」「今回の取り組みは大変意義あるもの。互いの資源を有効活用し、CO2削減効果や生産性向上効果を生み出すとともに、手ぶら観光をさらに促進していきたい(内田取締役)」と語った。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(79) 『為替の行方は?(その1)』

  • ☆全ト協が15年度決算版経営分析を公表、9年ぶりに売上高営業利益率が黒字に
    ☆環境省、宅配便再配達削減にむけた新たなキャンペーン開始
    ☆日通、新造RORO船「ひまわり8」就航
    ☆日立物流、ドバイ市に支店開設
    ☆国交省が第2回自動車運転戦略本部開催、トラックの隊列走行の物流事業者ニーズくみ取りへ
    ☆国交省、物流を考慮した建築物についての手引きを策定・公表
    ☆インド日通ロジスティクス、スリシティ工業団地に多機能ロジスティクス倉庫竣工
    ☆東ト協連の1月運賃動向調査、8割超が希望運賃収受できず運転者不足が深刻化
    ☆埼玉ト協の17年度事業計画、交通事故防止を最重点課題に
    ☆カンダホールディングス、中村エンタープライズの全株取得し子会社化
    ☆国交省、事業用自動車総合安全プラン2009の達成困難で新プラン策定へ
    ☆国交省、菓子問屋への共同輸配送を改正物効法で認定
    ☆通運連盟の17年度事業計画、鉄道コンテナお試しキャンペーンの予算枠前年より拡大
    ☆ヤマトグローバルロジスティクスジャパンが韓国ECプラットフォームcafe24と業務提携、注文から配送まで快適な利用環境構築へ
    ☆日本郵便、再配達削減へポイント付与キャンペーンを展開
    ☆日通総研の17年度見通し(改訂版)、国内貨物輸送は上方修正
    ☆東京ト協の17年度事業計画、物流施設建設基金積み増しへ
    ☆全ト協、準中型免許取得で費用の一部を補助
    ☆国交省が次世代運行管理・支援システム検討会開催、「体調予報」の精度は目標下回る
    ☆埼玉県協議会が16年度パイロット事業を報告、ワークシェアリングで残業時間削減

今週のユソー編集室

  • ▼東京電力ホールディングスとゼンリンはこのほど、「ドローンハイウェイ構想」を実現するためのインフラ構築に向けた業務提携について基本合意した。
    ▼送電線のネットワークをドローンが安全に自律飛行できる“空の道”に見立て、各種の技術開発を進めていくことで、今後大きな普及拡大が見込まれるドローンの安全飛行インフラとして、活用しようという構想だ。
    ▼具体的には、送電鉄塔など飛行の障害物となる設備の3次元データベースの整備、誘導プラットフォームの研究・開発、ドローンの充電基地や駐機場所として利用するドローンポートの開発を進め、法整備の状況もにらみながら、2019年度の実用化を目指すという。
    ▼ドローン自体の性能向上や近隣住民の理解促進など、解決しなければならない課題は多い。ただ、緊急物資輸送などドローンが活躍を期待される場面も多く、安全な自律飛行技術を確立しようという試みは、時宜にかなっている。

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