トラック運転者の労働時間、石井国交大臣に対し時間外労働の上限規制 猶予期間設定など求める 全ト協
全日本トラック協会(星野良三会長)は23日、政府の「働き方改革実現会議」で議論が進められている時間外労働の上限規制導入について、トラック業界の実態を踏まえた猶予期間の設定や段階的な適用を図るよう石井啓一国土交通大臣に要望した。
要望には、坂本克己副会長と福本秀爾理事長が訪れ、坂本副会長が「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」を通じたトラック運転者の長時間労働抑制に向けた取り組みを進めていることなどを説明した上で、長時間労働の改善に不可欠な荷主の理解・協力が得られる環境の整備には時間が必要であるとして、時間外労働の上限適用に関する猶予などを石井大臣に求めた。
これに対し石井大臣は、「要望をしっかり受け止めて、今月末をめどに取りまとめられる予定の『働き方改革実行計画』に反映されるよう内閣官房とも連携を取りたい」とした。
全ト協はトラック運転者の労働時間削減に向け①荷主に対する指導徹底②取引環境改善に向けた政府の取り組み推進③トラック輸送の生産性向上への支援④高速道路を十分に活用できる環境の整備―を石井大臣に要望。さらに、これらの要望を実現して労働時間短縮の定着につなげるには一定の時間が必要であることに加え、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けトラック運転者のさらなる不足が懸念されることから、時間外労働の上限規制を罰則付きで法令上位置付ける際には、猶予期間の設定や段階的な適用を図るよう求めている。
要望後に記者の質問に答えた坂本会長は、時間外労働の上限規制適用に関して必要な猶予期間については、「魅力ある業界づくりのための環境整備にじっくりと腰を据えて取り組んでいきたい」とし、具体的な期間を示さなかった。