物流効率化考えねば荷主も自然淘汰、工藤物流連会長が見解示す
日本物流団体連合会(工藤泰三会長)は14日、東京都千代田区の霞山会館で第5回理事会を開き、生産性革命を念頭に置いた官民連携の強化や現在策定に向けた議論が進められている次期総合物流施策大綱検討会への参加などを盛り込んだ2017年度事業計画案を承認。理事会後の記者会見で工藤会長は、物流業界で深刻化する労働力不足への対策について、17年度事業計画の着実な実施や国土交通省への政策提言などを通じて、生産性向上につなげていくとの抱負を示した。
会見で工藤会長は、ヤマト運輸の宅急便引き受け抑制検討の報道などを通じて物流が国民の注目を集めていると指摘した上で、物流業界も「働き方改革」を行って生産性向上や従業員の給与引き上げを実現していくことが最重要課題であると説明。現状は、「ムダ・ムラ・ムリのかたまり」であり、トラックの手待ち時間や手荷役の抑制については「何が何でも手を付けるべき」とし、国交省への政策提言などを通じて、物流業界の生産性向上につなげていくとの考えを強調するとともに、「17年度は働き方改革にまず手をつける」とした。
手荷役の抑制については、副会長を務める経団連も協力する姿勢を示しており、話し合いの機会を作るよう促していることを明らかにした。さらに、経団連内での運賃値上げの動きについては、不当な値下げの禁止や燃料高騰分の支払いなどへの協力などを行っていく旨を榊原定征会長が表明していることを紹介する一方で、国際競争の中で世界中から部品を安価に調達する必要性についても指摘。わが国物流産業も生産性を上げて競争力あるサービスを提供する必要があるとして、手荷役抑制に向けたパレット化をまず着手すべき例に挙げた。
さらに、パレット化などの生産性向上について、荷主も真剣に考えて取り組まなければ「自然淘汰されることになる」と警鐘を鳴らした。
田村修二副会長は、鉄道分野での生産性向上について、「コンテナは手積みが多いが、通運事業者とタッグを組んで、31フィートウイングコンテナなどでのパレット化を進めていきたい」とした。
物流連の17年度事業計画の主な内容は次のとおり。
【基本政策委員会】=①生産性向上を念頭に置いた官民連携の強化②物流関係諸団体との情報共有および連携強化③総合物流施策大綱検討会への参加―など。
【物流環境対策委員会】=①グリーン物流パートナシップ会議への継続参加(16回目)②物流環境大賞(18回目)③モーダルシフト優良事業者公表・表彰―など。
【人材育成・広報委員会】=①「第4回物流業界インターンシップ/5days」の開催②「第4回物流業界研究セミナー」の開催③「大学学内セミナーの実施」―など。
【経営効率化委員会】=①「先進技術の活用に関する研究」および「既存技術の活用・工夫の検討②「女性、高齢者の活躍・働き方改革」の推進方策の検討(新規事業)③ユニットロードの推進の啓発―など。
【国際業務委員会】=①海外現地物流調査(マレーシア、シンガポール、ブルネイ)②国交省が海外で行う「物流政策対話」などへの参加③海外戦略ワーキングチームの活動充実―など。