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2017年3月6日付 2646号

トラックの中継輸送実験結果を報告、本格実施に高い壁  国交省

 国土交通省は3日、東京都千代田区の同省でトラック中継輸送モデル事業の第4回有識者検討会を開催し、2月に実施した中継輸送の実証実験結果を報告。中小トラック事業者による五つの組み合わせからなる中継輸送実験は、運行面ではおおむね問題なく実施されたが、実験参加企業からは本格実施に当たってコスト面や積載効率、運行相手企業の与信・遵法性の可視化などに課題があるとの指摘も多く、普及には数多くのハードルを乗り越える必要がある。

 実験は①埼玉県~三重県(運行事業者は清水運輸とカワキタエクスプレス=ペアA)②川崎市~大阪市(魚津海陸運輸倉庫と福井高速運輸=ペアB)③川崎市・横浜市~大阪府東大阪市など(萬運輸と協伸運輸=ペアC)④埼玉県川越市・富士見市~山形県東根市・山形市(清水運輸とトヨタライン=ペアD)⑤群馬県伊勢崎市など~山形県天童市・山形市(GRトランスとティスコ運輸=ペアE)―の五つのパターンで実施した。

 ペアAとDは中継拠点で積載した貨物を積み替える「貨物積替方式」、それ以外は、ドライバーが乗り換える「ドライバー交替方式」で実施した。

 いずれのパターンも、運行・荷役とも問題なく実施できたが、実施後の聞き取りでは、ドライバーからデジタルタコグラフをはじめとする機器操作や貨物の品目特性による運転への影響などについて不安を感じるとの意見が寄せられた。また、他社の車両を運転することに強いストレスを感じるとの意見もあった。

 一方で、拘束時間が短縮され帰宅できることなどを理由に中継輸送を歓迎する声もあった。

 経営者・管理者への聞き取りでは、「与信が確立されているトラック事業者とでなければ中継輸送はできない」「信頼のある企業でなければ自社の看板の車両を運転してもらうことに抵抗がある」「トラック事業者にもさまざまな業態があり、業界を可視化できるデータが必要」「国の助成金があれば魅力的だが、予算がなくなれば赤字の仕事になり困る」「国主導で中継輸送を想定した物流ハブ拠点を整備してほしい」などの意見が出された。

 「国の助成」については、昨年10月に施行された改正物流総合効率化法の計画策定経費補助(上限200万円)の活用があるが、「流通業務を一体的に実施すること」などの要件がハードルになるとの見方もある。

 国交省では、実験や聞き取りの結果を踏まえ、今月中にも中継輸送に関する手順書を策定・公開し、中継輸送の普及を加速させたい考えだが、普及には実験参加企業から指摘された課題を解決する必要があり、国交省には課題解決に向けた取り組みが求められている。

越(ベトナム)で本年9月保冷小口配送サービス開始、現地企業と合弁設立へ  ヤマトアジア

 ヤマトグループの東南アジア地域統括会社、ヤマト・アジア(リチャード・チュア・キン・セン社長)は2月28日、ベトナム・ホーチミンに本社を構える物流企業「BA SAU NAM TRADING LOGISTICS(365エクスプレス、ディン・ヴィン・クオン代表)との間で、ベトナム国内において保冷小口配送サービスを提供する合弁会社の設立について基本合意した。

 合弁会社の社名は「Yamato 365 Express」。資本金は200億ベトナムドン(約1億円)で、ヤマトアジアが51%、365エクスプレスが49%出資する。本年8月に会社を設立し、9月からベトナム国内や日本発ベトナム国内向けの生鮮品、日本食材等の保冷小口配送事業を展開する予定。社長はヤマトロジスティクスベトナムの松田弘社長が兼務する。

 ベトナムは近年の著しい経済成長で中間所得者層が増大し、食の安全に対する意識や日本食への関心が高まっている。365エクスプレスは、365グループの中で、ベトナム国内での運送事業、通関事業を担当し、日本食材の輸入通関や日本食レストランへの配送業務なども手掛けている。

 一方ヤマトグループは近年、東南アジア各国での事業を強化しており、2015年にはヤマトロジスティクスベトナムを設立、ロジスティクス事業などを展開していた。

 両社は今回の合弁会社設立により、365グループのベトナム国内の配送ノウハウと貿易機能に、ヤマトグループの保冷配送ノウハウを融合させ、高品質の保冷小口輸送サービスを提供していくとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆引越特集(2)
     各社の施策
      日通
      トナミ運輸
      サカイ引越センター
      日立物流
      ヤマトロジスティクス
    ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(77) 『浜田名誉教授の変節とシムズ理論(その2)』

  • ☆国交省、トラック運送事業者の法令違反「荷主勧告制度」十分機能せず、「協力依頼書」新設へ
    ☆日通の広島支店ビル竣工、7階建て社屋でグループのPRを意識
    ☆運輸労連の難波委員長が会見、政府の働き方改革でトラック運転手にも時間外720時間の適用求める
    ☆ヤマト運輸が接客応対を行うゲストオペレーターを対象としたゲストオペレーター接客応対コンテストを開催、関西支社が1位2位を独占
    ☆全ト協・日貨協連、WebKitの2月の稼働状況まとめる、荷物情報が15%増
    ☆日本物流団体連合会が「物流連学内セミナー」を本年度全国7大学で開催
    ☆コラボデリバリー16年度業績まとめる、売上高5億円台に
    ☆国交省が日ASEAN物流専門家会合の内容公表、グリーン物流推進の議論やコールドチェーン物流プロジェクトの立ち上げ提案など
    ☆BSIグループジャパンが小口保冷配送サービスの規格を発行、今後認証サービス開始に必要な体制を整える
    ☆パナソニックエコソリューションズ社があわら市で行った宅配ボックスの実証実験の中間報告、再配達率大幅減
    ☆セイノーHD、ユニクラ自工株100%取得でグループ化し整備事業拡大へ
    ☆SBSグローバルネットワークが中部地方へ初進出、中部国際空港に拠点新設

今週のユソー編集室

  • ▼先月末に一般紙で報じられた、ヤマト運輸の宅急便総量規制の話は、瞬く間に一般社会に浸透し、さながら「ヤマトショック」の様相を呈しつつある。
    ▼特に日頃恩恵を受けているとみられるネット住民の衝撃は大きかったようで、ヤマト運輸にも問い合わせが相次いでいるようだ。ネットの書き込みや各紙の論調は、おおむね現場の集配作業員に同情的で、宅配がいかに社会に身近な物流であるかを物語っている。
    ▼一般紙やテレビでは、ヤマト運輸が指定時間帯区分の再検討に入ったことや、再配達削減に取り組んでいることなどが続報され、宅配のみならず物流全体の現場環境が限界に達しつつあるという実態を、浮き彫りにしている。
    ▼トラック運送業界の労働条件の改善のために、社会的な認知が必要だとするならば、今の状態はおそらく最大にして最後のチャンスでもある。将来の物流をより良い方向に変化させていくための転機になることを願う。

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