次期物流施策大綱の策定へ検討始まる、夏の閣議決定目指す 国交省
国土交通省は16日、今年目標年次を迎える「総合物流施策大綱2013―17」に代わる新たな大綱の策定に向け「総合物流施策大綱に関する有識者検討会」の第1回会合を開催。第6次となる新たな大綱は、これまでの暦年による5ヵ年計画を改め、17年度から20年度までの4ヵ年計画とする方針が国交省から示されるとともに、委員からは物流業界で深刻化する労働力不足対策や災害対応を柱とするべきとの意見が相次いだ。新大綱は、関係業界団体のヒアリングや関係者からのプレゼンテーション、6回程度の検討会を経て今夏の閣議決定を目指す。
現行の第5次大綱では、「強い経済の再生と成長を支える物流システムの構築を目指し、国内外でムリ・ムダ・ムラのない全体最適な物流を実現する」との理念の下、効率的な物流の実現や環境負荷低減に向けた取り組みなどに関する施策の方向性を盛り込んだ。
13年6月の第5次大綱閣議決定以後、物流を取り巻く環境は大きく変化し、eコマースの発展に伴う多頻度小ロット化が進む一方、少子高齢化による労働力不足が深刻化している。また、災害へのさらなる備えや、アジアの成長を取り込む新たな物流システムの展開なども求められている。
第1回検討会の冒頭、国交省の重田雅史物流審議官は、「政府は第5次大綱に基づいて物流政策を進めてきたが、物流をめぐる“風景”が変わってきた。これまでの大綱では、その都度、課題に対しての“構え”を行ってきたが、これからの5~10年を見通すと、構造的に見直さなければ物流が“途切れる”ことになりかねない。戦略性を持った国策としての物流政策を取りまとめていきたい」とし、新大綱が今後の物流の持続性に大きな役割を果たすとの考えを強調した。
また、石川雄一道路局長は、首都圏3環状道路の整備により、東名高速から東関東道までが結ばれ、生産性の高い物流の実現に寄与していることを紹介。
さらに、新東名高速道路を中心とした「ダブル連結トラック」の運行実験やサービスエリア・パーキングエリアを活用したトラックの中継輸送を進めていることを説明した。