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2017年2月13日付 2643号

高速道路の一時退出、全国3ヵ所のインターチェンジで今夏より制度試行 トラック中継輸送も視野に  国交省

 国土交通省は7日、高速道路からの一時退出を可能とする制度の試行を全国3ヵ所のインターチェンジで実施すると発表した。一時退出は大型車を含めたETC2.0搭載車を対象としており、将来的にはトラック中継輸送の高速道路外での乗務員乗り継ぎなどにつながる可能性がある。

 国内の高速道路では、サービスエリアなどの休憩施設の間隔がおおむね25キロメートル以上離れている「空白区間」が約100ヵ所存在している。こうした状況を解消するため、高速道路から一時退出して「道の駅」での休憩などを認める「賢い料金」の実現が求められている。

 試行は、「空白区間」半減の目標達成に向け①関越道高崎玉村スマートインターチェンジ(群馬県佐波郡)②新東名高速新城インターチェンジ(愛知県新城市)③山陽道徳山西インターチェンジ(山口県周南市)―の3ヵ所で全国に先駆けて行うもので、今夏をめどに必要な工事が完了次第実施する。

 対象の3ヵ所でETC2.0搭載車両が高速道路を退出してから休憩後高速道路に再進入した場合、高速道路を降りずに利用した場合の高速料金を適用。利用1回ごとに発生する「ターミナルチャージ」の再徴収はなく、長距離逓減制度などの割引措置も適用される。

 試行対象のスマートインターチェンジ(SIC)・インターチェンジには、いずれも近隣に道の駅があり、高崎玉村SICには道の駅「玉村宿」が隣接。道路情報の提供や飲食施設、電気自動車の充電施設などがそろっている。

 9日に開かれた社会資本整備審議会道路分科会第59回基本政策部会でも、高速道路一時退出実験についての説明が行われ、委員である兵藤哲朗東京海洋大教授が、一時退出についてはトラックの中継輸送などへの活用を視野に入れるべきと指摘。国交省道路局の担当者は本紙の取材に対し、今後、物流業界で深刻化する労働力不足対策の一環としての役割を含めた「賢い料金」の制度設計を行う可能性を示唆した。

私有31フィートコンテナの往復実入り、各地方連盟で検討 課題の解決策探る  通運連盟

 全国通運連盟(川合正矩会長)は現在、私有コンテナのラウンドユース推進に向けて、各地方連盟で協議を行っている。

 JR貨物は前年夏、貨物運送約款の一部見直しとして、2017年度から31フィートコンテナまで含めた私有コンテナの返回送料金について、事実上の値上げを実施すると通告した。これに対し、青函付加金の真荷主への転嫁活動を行っている鉄道利用運送事業者は「これ以上の負担増は耐えられない」と反発。その後JR貨物と鉄道利用運送事業者との間で数回にわたって話し合いが続けられたが、現在に至るまで両者の主張は平行線をたどっている。

 一方で通運連盟は、そうした点を踏まえ、議論をより前向きなものとするために、私有コンテナのラウンドユースを推進していく方針を固めた。議論を進めるに当たっては、3年前に行った予約取消料の改定の際、積極的に鉄道利用運送事業者の現場の声を取り入れることで、結果的に鉄道利用運送事業者・真荷主・JR貨物の3者に有益な改定となったことから、今回も実需要に関する情報を握っている、現場に近い環境で議論を進めることとしたもの。

 会議は鉄道利用運送事業者とJR貨物の関係者らで構成し、まずは私有31フィートコンテナのラウンドユースに主眼を置き、前年12月22日に大阪で「大阪地方分科会」を、本年2月7日に福岡で「九州地方分科会」を、それぞれ開催。各地方における31フィートコンテナの稼働率を確認した後、ラウンドユースを実現するための意見交換などを行った。

 通運連盟では今後、東京でも同様の分科会を開催する予定としており、それぞれの地方で複数回の会合を重ね、返回送の発生要因の分析や31フィートコンテナの往復実入り化実現に向けた課題の抽出・解決方策の検討を進めていく考え。

 また、同様に値上げ対象となっている31フィート以外の私有コンテナについても、同じく各地方でラウンドユース推進を実現するための分科会を開催していく。

 通運連盟では最終的に全国の九つの地方連盟で分科会を開催する予定としており、必要に応じて中央でもJR貨物と協議を行っていく。

今週掲載トピック一覧

  • ☆四文字 『アプローチは?「物流対策」』
    ☆日通の福岡警送事業所が竣工、来賓招き内覧会開催
    ☆日通の小牧グローバルロジスティクスセンターが完成、三菱MRJのパーツを集中管理

  • ☆通運連盟が全国大会開催、モーダルシフトの事例紹介など行う
    ☆国交省・改善協議会で荷主10業種の慣行等調査の経過報告行う、運賃アンケートの結果は2月下旬開催予定の次回検討会で報告
    ☆全日通が17春闘方針決める、賃上げ1万1千円要求へ
    ☆厚労省発表16年度累計毎勤統計速報、道路貨物運送業の給与は0.3%ダウン
    ☆佐川急便と鹿児島県が包括連携協定を締結、運輸業との包括連携は初
    ☆セイノーHDが朝日大学と産学連携活動の覚書調印、スポーツ通じ社会貢献へ
    ☆丸運が4月1日付で組織改正、品質保証部新設など
    ☆JR貨物が東京貨物ターミナル駅で事務所棟など起工、東京レールゲートプロジェクトが始動
    ☆カンダHD、埼玉県加須市に新物流センター建設へ
    ☆全ト協・日貨協連、1月WebKITの成約運賃指数は引き続き高水準に
    ☆通運連盟、鉄道コンテナお試しキャンペーン3年連続で予算超過
    ☆東ト協が経営者セミナー、コンプライアンスを守るセクハラ・パワハラ学ぶ
    ☆沼尻産業がシンガポール・ディストリビューション・プラットフォームをスタート、シンガポールでの販路拡大を物流面からサポート
    ☆ユピテル・NTTドコモ、車載器と連動する対話型AIロボットの研究開始

今週のユソー編集室

  • ▼政府は1日に「働き方改革実現会議」を開催し、長時間労働の是正に向けた議論を本格化させた。会議には石井啓一国土交通大臣も出席し、トラックドライバーの労働環境改善に取り組んでいることなどを説明している。
    ▼最近は、名だたる大企業が、厚生労働省の過重労働撲滅特別対策班(かとく)から摘発や指導を受けるケースが相次いでおり、政府の長時間労働是正に対する本気度の高さがうかがえる。
    ▼政府案の妥当性などはさておくとして、現在36協定の適用除外となっているトラックドライバーなどは、猶予期間を設けて適用することとなっている点が気にかかる。労働条件の業種間格差がさらに拡大し、雇用確保に悪影響を与える可能性があるからだ。
    ▼賃金体系の改善など、乗り越えるべきハードルは数々あるが、長時間労働の是正はなんとしても進めたい。会議に出席した女性議員はこう言っている。「長時間労働是正は少子化対策でもある」。

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