高速道路の一時退出、全国3ヵ所のインターチェンジで今夏より制度試行 トラック中継輸送も視野に 国交省
国土交通省は7日、高速道路からの一時退出を可能とする制度の試行を全国3ヵ所のインターチェンジで実施すると発表した。一時退出は大型車を含めたETC2.0搭載車を対象としており、将来的にはトラック中継輸送の高速道路外での乗務員乗り継ぎなどにつながる可能性がある。
国内の高速道路では、サービスエリアなどの休憩施設の間隔がおおむね25キロメートル以上離れている「空白区間」が約100ヵ所存在している。こうした状況を解消するため、高速道路から一時退出して「道の駅」での休憩などを認める「賢い料金」の実現が求められている。
試行は、「空白区間」半減の目標達成に向け①関越道高崎玉村スマートインターチェンジ(群馬県佐波郡)②新東名高速新城インターチェンジ(愛知県新城市)③山陽道徳山西インターチェンジ(山口県周南市)―の3ヵ所で全国に先駆けて行うもので、今夏をめどに必要な工事が完了次第実施する。
対象の3ヵ所でETC2.0搭載車両が高速道路を退出してから休憩後高速道路に再進入した場合、高速道路を降りずに利用した場合の高速料金を適用。利用1回ごとに発生する「ターミナルチャージ」の再徴収はなく、長距離逓減制度などの割引措置も適用される。
試行対象のスマートインターチェンジ(SIC)・インターチェンジには、いずれも近隣に道の駅があり、高崎玉村SICには道の駅「玉村宿」が隣接。道路情報の提供や飲食施設、電気自動車の充電施設などがそろっている。
9日に開かれた社会資本整備審議会道路分科会第59回基本政策部会でも、高速道路一時退出実験についての説明が行われ、委員である兵藤哲朗東京海洋大教授が、一時退出についてはトラックの中継輸送などへの活用を視野に入れるべきと指摘。国交省道路局の担当者は本紙の取材に対し、今後、物流業界で深刻化する労働力不足対策の一環としての役割を含めた「賢い料金」の制度設計を行う可能性を示唆した。