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2017年2月6日付 2642号

第5回中央協議会等開く、パイロット事業進みトラックの取引環境労働時間改善  国交省

協議会ではパイロット事業の報告などが行われた

 国土交通省は1日、東京都千代田区の同省で「第5回トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」と「第4回トラック運送業の生産性向上協議会」の合同会議を開き、各都道府県で行われているトラック運送業の手待ち時間削減などに関する2016年度パイロット事業の進捗状況を報告。47都道府県48案件のパイロット事業のうち、着荷主参加は28件にとどまっているものの、荷主と運送事業者の連携により手待ち時間を削減して運転者の拘束時間を3時間近く削減した事例もみられるなど、長時間労働改善に向けた取り組みの効果が表れつつある。

 16年度のパイロット事業は、47都道府県で対象集団(荷主や物流事業者などパイロット事業に参加する関係者の構成)が決定。静岡県では2件を実施しているため48件のパイロット事業が進められている。

 荷種の内訳は、食料品11件、農産物7件、紙・パルプ4件、建設資材・機械製品各3件、飲料・鮮魚・繊維製品・工業製品各2件などとなっており、地域の輸送実態に即した、さまざまなパイロット事業が実施されている。

 併せて、地方協議会も開催され、1月末までに約半数の都道府県で第5回協議会を開き、パイロット事業の内容や効果について検証を行うとともに、関係者からの意見を集めている。

 地方協議会での主な意見は次のとおり。

 【手待ち時間】◎輸送形態が多品種・多頻度少量納入・出荷へと変化しており、部品・原材料納入や製品出荷に伴う車両集中により手待ち時間が発生している(中国地方・トラック事業者)◎運送事業者を待たせない活動を10年前から取り組み、現在ではKPI(成果指標を定めた進捗管理)を導入(関東・荷主)

 【荷役作業時間】◎物流センターでの積卸など、輸送以外のサービスを求められることがあり、荷主からの依頼を断ることが難しい(関東・トラック事業者)◎ドライバーが行っていた荷積作業を専属の倉庫作業員に変更し、かつ、荷積作業場所を荷主側の車庫にするなど、効率化と機能強化を図ったことで、ドライバーの労働時間を削減することができた(北海道・トラック事業者)◎効率がアップするのであれば、農産物のパレタイズ化を行政が中心となって進められないか(九州・トラック事業者)

 【運転時間】◎関東方面について改善基準告示の遵守が困難なことから、関西で中継輸送することにより、拘束時間を短縮できた。課題として、運賃の問題、駐車場やドライバー不足がある。今後は、事業者間での連携が必要(九州・トラック事業者)◎距離運送の区間を分割するなど、荷主側でも検討を行っている(九州・荷主)

現地の合弁企業がタイでクール宅急便、宅急便コレクトなど開始  ヤマトHD

 タイの物流企業「SCG Cement―Building Materials」と「ヤマトアジア」の合弁会社である「SCG Yamato Express」(濱西陽司社長)は1月3日、タイで宅急便サービスを開始した。

 宅急便のほか、タイでは初の小口保冷サービスとなるクール宅急便、宅急便コレクト、書類輸送などを提供している。再配達や荷物追跡なども行っており、今後はクレジットカードや電子マネー決済も導入していく予定。バンナ・パタナカン・チェンワタナ・チャルナコン・バンスー地区の5ヵ所に拠点を構え、バンコクおよび周辺エリアのサムットプラカーン県・ノンタブリー県・パトンタニ県にサービスを提供する。当面、荷物の受付はバンスー地区にある拠点でのみ対応するが、本年中に110ヵ所まで順次拡大させていく計画としている。

 サイズと料金は40サイズ(封筒サイズ)40バーツ(約120円)から160サイズ270バーツ(約810円)までの7区分。クール宅急便、代金引換サービス、集荷サービスは別途追加料金が発生する。

 従業員数は現状約130人、車両数は非公表。

 タイではeコマース市場が著しい成長を見せており、個人間のやり取りも活発化するなど、年々小口配送の個数が伸長していたことを受け、SCGとヤマトグループは昨年9月、SCGのタイ国内ネットワークの強みとヤマトグループの宅急便ノウハウを生かした合弁会社を設立していた。SCG Yamato Expressは今後、法人・個人の双方に最適な物流を提供し、需要が高まる小口宅配市場の活性化に貢献することで、より便利で快適な社会の実現を目指していくとしている。3月に現地でセレモニーを開催する予定。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(75) 『トランプはエースなのかジョーカーなのか』
    ☆日通、都内に同社最大規模の戦略的拠点「Tokyo C-NEX」竣工

  • ☆改善協議会でパイロット事業の3事例報告、運転者の拘束時間が3時間短縮した例も
    ☆国交省、トラック運送事業者向け「価格交渉ハンドブック」を公開
    ☆カンダHD、インドネシアの現地国際企業を買収
    ☆SBSHD、Gマーク認定事業所のグループ取得率が全国平均大きく上回る90%に
    ☆日通、カブクと業務提携し3Dプリンタを活用したデジタル製造受託サービスをサポート
    ☆ヤマト運輸が信書便定義やEMS優遇見直し求める特設サイトを開設
    ☆佐川急便、スマート納品を活用した2つの事例が改正物効法の認定受ける
    ☆建交労中央労使協、「標準運賃」の設定など中央省庁への要請行動実施
    ☆日通商事が「ALOZ特選シリーズ」発売、安全衛生機器をテーマに
    ☆東ト協、入会案内リーフレット作成し未加入事業者に送付
    ☆全ト協・日貨協連の2016年のWebKIT実績、求車は8%増の110万件に
    ☆国交省検討会、保冷宅配の国際標準化で年度内のPAS規格化見込みを踏まえ普及方策など検討

今週のユソー編集室

  • ▼GMOリサーチは1日、前年末に20歳から69歳までの男女約千人に対してインターネット上で行った、「ネットショッピングに関する実態調査」の結果を公表した。
    ▼調査対象者のうち、ネット通販の利用者は8割超に達し、利用する理由は、「安い商品が多い」「24時間いつでも購入できる」点を挙げる声が多かった。一方で不満点については、男女とも「送料が高い」点が突出して多い。
    ▼平均購入額は男女とも「2千~4千円未満」が最多となっているので、数百円はかかると思われる送料は、相対的に高いと感じられるのかもしれない。だが、常日頃から「送料無料」にいら立ちを募らせる物流業界としては、やはり面白くはない。
    ▼「送料無料」は論外としても、「送料低減」への要望は今後も高まっていくだろう。ネット通販は再配達率が高いともいう。低減が必要ならば、受け取り手の配慮も必要だということも、周知していかなければならない。

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