第5回中央協議会等開く、パイロット事業進みトラックの取引環境労働時間改善 国交省
国土交通省は1日、東京都千代田区の同省で「第5回トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」と「第4回トラック運送業の生産性向上協議会」の合同会議を開き、各都道府県で行われているトラック運送業の手待ち時間削減などに関する2016年度パイロット事業の進捗状況を報告。47都道府県48案件のパイロット事業のうち、着荷主参加は28件にとどまっているものの、荷主と運送事業者の連携により手待ち時間を削減して運転者の拘束時間を3時間近く削減した事例もみられるなど、長時間労働改善に向けた取り組みの効果が表れつつある。
16年度のパイロット事業は、47都道府県で対象集団(荷主や物流事業者などパイロット事業に参加する関係者の構成)が決定。静岡県では2件を実施しているため48件のパイロット事業が進められている。
荷種の内訳は、食料品11件、農産物7件、紙・パルプ4件、建設資材・機械製品各3件、飲料・鮮魚・繊維製品・工業製品各2件などとなっており、地域の輸送実態に即した、さまざまなパイロット事業が実施されている。
併せて、地方協議会も開催され、1月末までに約半数の都道府県で第5回協議会を開き、パイロット事業の内容や効果について検証を行うとともに、関係者からの意見を集めている。
地方協議会での主な意見は次のとおり。
【手待ち時間】◎輸送形態が多品種・多頻度少量納入・出荷へと変化しており、部品・原材料納入や製品出荷に伴う車両集中により手待ち時間が発生している(中国地方・トラック事業者)◎運送事業者を待たせない活動を10年前から取り組み、現在ではKPI(成果指標を定めた進捗管理)を導入(関東・荷主)
【荷役作業時間】◎物流センターでの積卸など、輸送以外のサービスを求められることがあり、荷主からの依頼を断ることが難しい(関東・トラック事業者)◎ドライバーが行っていた荷積作業を専属の倉庫作業員に変更し、かつ、荷積作業場所を荷主側の車庫にするなど、効率化と機能強化を図ったことで、ドライバーの労働時間を削減することができた(北海道・トラック事業者)◎効率がアップするのであれば、農産物のパレタイズ化を行政が中心となって進められないか(九州・トラック事業者)
【運転時間】◎関東方面について改善基準告示の遵守が困難なことから、関西で中継輸送することにより、拘束時間を短縮できた。課題として、運賃の問題、駐車場やドライバー不足がある。今後は、事業者間での連携が必要(九州・トラック事業者)◎距離運送の区間を分割するなど、荷主側でも検討を行っている(九州・荷主)