物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2017年1月23日付 2640号

年度内にトラックの中継輸送報告書作成、今月下旬から来月上旬に5パターンで実施  国交省

 国土交通省は18日、東京都千代田区の同省で「貨物自動車運送事業における中継輸送実証実験モデル事業有識者検討会」の第3回会合を開き、今月下旬から来月上旬にかけて実施する中小トラック事業者による中継輸送実験の実施内容を報告するとともに、年度内に取りまとめる予定の中継輸送に関する報告書・手順書の内容を固めた。

 実験は①埼玉県入間市~三重県亀山市(運行事業者は清水運輸とカワキタエクスプレス=ペアA)②川崎市~大阪市(魚津海陸運輸倉庫と福井高速運輸=ペアB)③川崎市~大阪市(萬運輸と協伸運輸=ペアC)④埼玉県入間市~山形県東根市(清水運輸とトヨタライン=ペアD)⑤群馬県伊勢崎市~山形市(GRトランスとティスコ運輸=ペアE)―の五つのパターンで実施し、いずれも積載量10トン程度の大型トラックを使用する。

 ペアAとDは中継拠点で積載した貨物を積み替える「貨物積替方式」、それ以外は、ドライバーが乗り換える「ドライバー交替方式」で行う。貨物積替方式では、共同組合を通じ実施事業者のマッチングが行われ、ドライバー交替方式ではすでに取引などのある事業者間での実施となる。

 ペアAでは、飲料・加工食品・菓子などの対象貨物候補を輸送し、静岡県焼津市のサンワNETSの物流施設で貨物を積み替える。実施事業者である清水運輸とカワキタエクスプレスはいずれも日本貨物運送協同組合連合会の「WebKIT」を利用している。実施は、2月2~3日と7~8日のいずれかを候補としており、今月中に確定予定。

 ペアBは、東芝ロジを荷主として家電製品を輸送し、静岡県浜松市内の浜松トラックステーションでドライバーが交替する。魚津海陸運輸倉庫と福井高速運輸はともに東芝ロジの協力会加盟企業で、実験は2月6~7日に実施することが確定している。ペアDは、飲料や加工食品を輸送し、福島県内の郡山トラックセンターで日本通運が貨物の積み替えを行う。これらの実験を通じて、中継輸送に関する運用上の課題抽出を行い、解決方策を検討の上、報告書・手順書に反映する。

 マッチングに際しては、ドライバー交替方式に関して「法的に問題がないのか」などの懸念を抱く中小事業者もいるため、事務局では1997年に国交省から発出された通達「貨物自動車運送事業の用に供する事業用自動車の相互使用について」で、事前に協定書を締結し、運行時にトラック事業者名などを掲示すれば問題ないことを説明するとともに、協定書に必要な条項や覚書の合意内容例を示した。

 協定書には①事業実施の目的②運行区間と交替場所③車両の受け渡し方法④使用車両の特定⑤運行時の運行管理と車両管理の責任⑥車両整備の責任⑦引き渡し時の整備責任⑧事故発生時の報告責任⑨損害賠償の範囲⑩車両使用料の取り扱い⑪契約期間⑫条項外事項発生時の対応―を盛り込むことを求めている。

 年度内に取りまとめられる報告書は中継輸送に関する①業務の目的と概要②実施した実証実験について③実証実験の詳細④コーディネートについて⑤まとめ―で構成し、別冊の実施手順書は報告書の「コーディネートについて」をベースに本編を作成し、保険や料金処理などのパターンは「実証実験の詳細」に基づいて作成する予定。

 次回は、3月上旬に検討会を開き、実験結果を報告し、報告書・手順書の取りまとめを行う。すでに中継輸送を実施している事業者や実験に参加したドライバーなどへのヒアリングを実施する。

コールセンター本格稼働、海外企業の引越や各種手続き等 日本進出を支援  YLC

 ヤマトロジスティクス(YLC、本間耕司社長)は今月、海外引越事業者や国際輸送事業者など170ヵ国・2千社超が加盟する世界最大級の団体IAM(International Association of Movers)に加盟し、外国人を対象とする海外から日本への引越の取り扱い可能エリアを40ヵ国から170ヵ国へ拡大するとともに、きょう23日から国内での外国人専用コールセンターを本格稼働させる。

 YLCは1976年から海外引越事業を開始し、日本から海外に赴任する日本人だけでなく、海外から日本に赴任し新たに生活を始める外国人を対象とした生活支援サービスも提供しており、外国人向け海外引越の実績は、直近5年間で約2600件にのぼる。2014年に政府が「東京圏国家戦略特別区域」を発足させたことに伴い、日本に進出する企業が増加傾向にあることを踏まえ、これまで以上のサービスを提供するため、海外の取り扱いエリアの拡大や、外国人専用コールセンターの本格稼働などを行うもの。

 提供するサービスは①引越②視察ツアー③住居探し④入居後サポート⑤外国人専用コールセンター⑥家財レンタル⑦家財保管⑧オプション―の8項目。オプションは、東京23区・横浜以外の遠隔地サポート、短期サービスアパート手配、家具リース手配、車の購入・リース手配、外国運転免許証の切り替えサポート、インターナショナルスクール案内などを盛り込んでいる。視察ツアー、住居探し、入居後サポート、外国人専用コールセンター、オプションは協力企業による提供。

 YLCでは、日本進出を計画している海外企業、または実際の赴任者に対して、引越から各種手続きに至るまで一括で委託することができるため、日本での生活をスムーズに開始することが可能になるとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流業界の新年会
    ☆ウォッチ(68) 『2017年の中国経済と交通インフラ』
    ☆日中ビジネスワンポイント(159) 『鶏に関わることわざ&祝福語』

  • ☆国交省、本年度2次公募分のモーダルシフト等推進事業費補助金で18件の交付決定
    ☆国交省、改正物効法の計画認定で2件追加され10件に
    ☆センコー、生活支援サービス全国展開へ
    ☆日貨協連の17年度重点施策骨子、経済事業推進や組織の強化対策など盛り込む
    ☆交通労連が中央委開催、春闘方針など決める
    ☆東ト協、小池都知事のヒアリングで緊急輸送支援システムの再構築など要望
    ☆JR貨物・田村社長、鉄道事業部門黒字化は達成可能の見通し
    ☆日倉協、2月に大阪で中小経営者セミナー
    ☆セイノーHDがグループ新年互礼会、田口社長が顧客目線の「継承」訴える
    ☆西濃運輸、野球部と空手道部が必勝祈願と初練習
    ☆日本ロジスティクスシステム協会の遠藤会長らが会見、会員の情報共有し新たな価値創出を
    ☆センコー、中国の大手繊維と提携し上海に新センター賃借
    ☆ヤマト運輸・宮崎交通、保冷専用BOX搭載したバスを導入し「客貨混載」で冷蔵輸送可能に
    ☆三井倉庫ロジスティクス、スイスのFRANKコーヒーシステムズと日本での販売店契約を締結
    ☆中部運輸局、安全対策会議でプロドライバーの健康管理に関する18年度累計までの目標と進め方決定
    ☆日貨協連の新年会で加藤国交省貨物課長が講演、取引環境・労働時間改善協議会の動向など説明
    ☆全流協の新春セミナーで大島日通総研リーダーが講演、「人に優しい物流」が今後のキーワード
    ☆JR貨物、北海道台風災害の影響額は21億円に 通運の代行輸送協力に感謝も

今週のユソー編集室

  • ▼今年の新年会における主催者あいさつでは、先行き不透明な時代を象徴する話題として、米国のトランプ大統領就任を挙げるケースが多いように感じる。
    ▼そのトランプ大統領、就任前から保護主義的な貿易政策を口にし、メキシコや中国、日本を名指しで攻撃するなど、“暴れん坊”ぶりは一向に衰える気配をみせない。最大の輸出相手国の首長のこうした発言は、日本にとってやはり脅威だ。
    ▼保護貿易は、確かに自国の雇用確保や産業存続には役に立つだろう。だが単純に考えれば国内の物価は上昇するはずで、景気動向は全く先が読めなくなる。ましてや歴代最低の支持率で船出した大統領で、早期弾劾すら噂される人物だ。
    ▼英国のEU市場離脱とも併せ、反グローバリズムが鮮明化したとの声もあるが、真に問題なのは富の格差ではないのかという気もする。混とんとする世界にあって、貿易立国たる日本の先行きも、不透明さが増すばかりだ。

戻る