年度内にトラックの中継輸送報告書作成、今月下旬から来月上旬に5パターンで実施 国交省
国土交通省は18日、東京都千代田区の同省で「貨物自動車運送事業における中継輸送実証実験モデル事業有識者検討会」の第3回会合を開き、今月下旬から来月上旬にかけて実施する中小トラック事業者による中継輸送実験の実施内容を報告するとともに、年度内に取りまとめる予定の中継輸送に関する報告書・手順書の内容を固めた。
実験は①埼玉県入間市~三重県亀山市(運行事業者は清水運輸とカワキタエクスプレス=ペアA)②川崎市~大阪市(魚津海陸運輸倉庫と福井高速運輸=ペアB)③川崎市~大阪市(萬運輸と協伸運輸=ペアC)④埼玉県入間市~山形県東根市(清水運輸とトヨタライン=ペアD)⑤群馬県伊勢崎市~山形市(GRトランスとティスコ運輸=ペアE)―の五つのパターンで実施し、いずれも積載量10トン程度の大型トラックを使用する。
ペアAとDは中継拠点で積載した貨物を積み替える「貨物積替方式」、それ以外は、ドライバーが乗り換える「ドライバー交替方式」で行う。貨物積替方式では、共同組合を通じ実施事業者のマッチングが行われ、ドライバー交替方式ではすでに取引などのある事業者間での実施となる。
ペアAでは、飲料・加工食品・菓子などの対象貨物候補を輸送し、静岡県焼津市のサンワNETSの物流施設で貨物を積み替える。実施事業者である清水運輸とカワキタエクスプレスはいずれも日本貨物運送協同組合連合会の「WebKIT」を利用している。実施は、2月2~3日と7~8日のいずれかを候補としており、今月中に確定予定。
ペアBは、東芝ロジを荷主として家電製品を輸送し、静岡県浜松市内の浜松トラックステーションでドライバーが交替する。魚津海陸運輸倉庫と福井高速運輸はともに東芝ロジの協力会加盟企業で、実験は2月6~7日に実施することが確定している。ペアDは、飲料や加工食品を輸送し、福島県内の郡山トラックセンターで日本通運が貨物の積み替えを行う。これらの実験を通じて、中継輸送に関する運用上の課題抽出を行い、解決方策を検討の上、報告書・手順書に反映する。
マッチングに際しては、ドライバー交替方式に関して「法的に問題がないのか」などの懸念を抱く中小事業者もいるため、事務局では1997年に国交省から発出された通達「貨物自動車運送事業の用に供する事業用自動車の相互使用について」で、事前に協定書を締結し、運行時にトラック事業者名などを掲示すれば問題ないことを説明するとともに、協定書に必要な条項や覚書の合意内容例を示した。
協定書には①事業実施の目的②運行区間と交替場所③車両の受け渡し方法④使用車両の特定⑤運行時の運行管理と車両管理の責任⑥車両整備の責任⑦引き渡し時の整備責任⑧事故発生時の報告責任⑨損害賠償の範囲⑩車両使用料の取り扱い⑪契約期間⑫条項外事項発生時の対応―を盛り込むことを求めている。
年度内に取りまとめられる報告書は中継輸送に関する①業務の目的と概要②実施した実証実験について③実証実験の詳細④コーディネートについて⑤まとめ―で構成し、別冊の実施手順書は報告書の「コーディネートについて」をベースに本編を作成し、保険や料金処理などのパターンは「実証実験の詳細」に基づいて作成する予定。
次回は、3月上旬に検討会を開き、実験結果を報告し、報告書・手順書の取りまとめを行う。すでに中継輸送を実施している事業者や実験に参加したドライバーなどへのヒアリングを実施する。