下請取引適正化に向けたトラック業界の「自主行動計画」、根本政務官から全ト協に年度内の策定要請 国交省
政府は、アベノミクスによる成長の「果実」を中小企業にも行きわたらせるため、野上浩太郎官房副長官を議長とする「下請等中小企業の取引条件改善に関する関係府省等連絡会議」(下請関係府省連絡会議)を設置して、中小企業の取引条件改善に取り組んでいるが、典型的な下請多重構造を持つトラック運送業界での取引条件改善に向け22日、下請関係府省連絡会議の議長代理を務める根本幸典国土交通大臣政務官からトラック運送業界に対し、下請取引適正化に向けた「自主行動計画」を策定するよう要請を行った。
要請は、10月18日に開かれた第8回下請関係府省連絡会議で野上官房副長官から「国土交通省は、建設業やトラック運送業での自主行動計画の策定要請や業種別ガイドラインの改訂なども含めて、対策を充実してほしい」との指示がなされたことを受け行ったもので、トラック運送業界からは、齋藤充全日本トラック協会物流ネットワーク委員会委員長(日本通運副社長)、植松満全ト協物流ネットワーク委員会ワーキング委員会委員長(日本通運執行役員)のほか、ヤマト運輸、佐川急便、西濃運輸、福山通運、トナミ運輸など、元請けトラック事業者の役員クラスが出席。
要請で根本政務官は、トラック運送業界は国民生活や経済活動を支えているが、ドライバー不足が深刻化しており、適正運賃収受が安全確保の側面などからも喫緊の課題であると説明。多重構造による課題の解決に向け、「まずは、業界大手の事業者が率先して、適正取引に取り組む必要がある」として、自主行動計画を年度内に策定するよう求めた。また、荷主のトラック業界の現状についての理解促進を図るため、荷主を所管する省庁への働きかけを行っていくことを明らかにした。
これに対し、齋藤委員長は、トラック運送業界は荷主への立場が弱いため、再生産可能な運賃収受が行われておらず、取引の適正化は必要であるとの考えを強調。運送契約書面化や下請ガイドラインの普及・定着など、適正化に向けトラック運送業界として必要な取り組みを進めていることなどを説明した上で、荷主所管業界への働きかけに強い期待感を示すとともに、政府方針に沿って自主行動計画の策定を進めていくと述べた。