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2016年11月28日付 2634号

下請取引適正化に向けたトラック業界の「自主行動計画」、根本政務官から全ト協に年度内の策定要請  国交省

要請を行う根本政務官 要請後懇談する根本政務官(左)と齋藤全ト協物流ネットワーク委員長(右)

 政府は、アベノミクスによる成長の「果実」を中小企業にも行きわたらせるため、野上浩太郎官房副長官を議長とする「下請等中小企業の取引条件改善に関する関係府省等連絡会議」(下請関係府省連絡会議)を設置して、中小企業の取引条件改善に取り組んでいるが、典型的な下請多重構造を持つトラック運送業界での取引条件改善に向け22日、下請関係府省連絡会議の議長代理を務める根本幸典国土交通大臣政務官からトラック運送業界に対し、下請取引適正化に向けた「自主行動計画」を策定するよう要請を行った。

 要請は、10月18日に開かれた第8回下請関係府省連絡会議で野上官房副長官から「国土交通省は、建設業やトラック運送業での自主行動計画の策定要請や業種別ガイドラインの改訂なども含めて、対策を充実してほしい」との指示がなされたことを受け行ったもので、トラック運送業界からは、齋藤充全日本トラック協会物流ネットワーク委員会委員長(日本通運副社長)、植松満全ト協物流ネットワーク委員会ワーキング委員会委員長(日本通運執行役員)のほか、ヤマト運輸、佐川急便、西濃運輸、福山通運、トナミ運輸など、元請けトラック事業者の役員クラスが出席。

 要請で根本政務官は、トラック運送業界は国民生活や経済活動を支えているが、ドライバー不足が深刻化しており、適正運賃収受が安全確保の側面などからも喫緊の課題であると説明。多重構造による課題の解決に向け、「まずは、業界大手の事業者が率先して、適正取引に取り組む必要がある」として、自主行動計画を年度内に策定するよう求めた。また、荷主のトラック業界の現状についての理解促進を図るため、荷主を所管する省庁への働きかけを行っていくことを明らかにした。

 これに対し、齋藤委員長は、トラック運送業界は荷主への立場が弱いため、再生産可能な運賃収受が行われておらず、取引の適正化は必要であるとの考えを強調。運送契約書面化や下請ガイドラインの普及・定着など、適正化に向けトラック運送業界として必要な取り組みを進めていることなどを説明した上で、荷主所管業界への働きかけに強い期待感を示すとともに、政府方針に沿って自主行動計画の策定を進めていくと述べた。

ベトナムのVinグループ社と基本合意書を締結、物流分野でパートナーに  SGHD

調印式でVinグループ社のハイ副会長(前列左)と握手する町田SGHD社長(同右)

 SGホールディングスグループの海外事業統括会社、SGホールディングス・グローバル(佐野友紀社長)は22日、ベトナムの大手不動産・小売関連企業のVinグループ社と、物流事業分野での長期的なパートナーシップ構築を目的とした基本合意書を締結した。

 Vinグループ社は、本業の不動産事業と並行し、ホテルやエンターテイメント、ヘルスケア事業を展開しているほか、消費市場として高成長が見込まれるベトナムにおいて、VinMart(スーパー)、VinMart+(コンビニエンスストア)をはじめとする販売店舗をベトナム全土に構え、小売関連事業を展開している。今回の基本合意書の締結は、Vinグループ社の小売関連事業の拡大における物流面の課題に対して、SGホールディングス・グローバルおよび現地拠点である佐川急便ベトナム、SG佐川ベトナムの各社が、物流面でさまざまなサポートを行うことで、相互成長を目指すことを目的としたもの。

 これにより佐川急便ベトナムとSG佐川ベトナムはVinグループ社に対して、物流センター運営・配送システム構築など小売関連事業における物流サービスの提供や、館内物流・荷物取次ぎなどVinグループ社の大型店舗における物流サービスの提供など、SGホールディングスグループが、日本をはじめ各国で展開している物流ノウハウのVinグループ社への提供を検討する。また佐川急便ベトナム、SG佐川ベトナムの今後の拠点展開について、Vinグループ社が保有する不動産リソースの活用も協議していくとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(70) 『民進党のマニフェストを読んで驚いた(その7)』
    ☆日中ビジネスワンポイント(157) 『香港とマカオの旅(1)なぜ香港人の平均寿命は世界一』
    ☆ウォッチ(67) 『「独身の日」のネット通販と国際自由貿易の今後』

  • ☆JR貨物が「業務創造推進プロジェクト」発足、自由な議論を通じて業務の抜本的見直しを
    ☆セイノーHD、福山通運との幹線共同輸送など業務提携効果で1668人分削減
    ☆国交省がダブル連結トラックの走行実験スタート、パブコメでは賛否両論
    ☆丸運が栃木物流センターの第2倉庫営業開始、アルミ材物流を強化
    ☆建荷協が特定自主検査の徹底で巡回指導実施、11月「強調月間」展開
    ☆日本物流記者会選定第2回物流人間大賞に星野良三氏
    ☆エコドライブコンクール国交大臣賞受賞で西濃運輸などを表彰
    ☆運輸労連のドライバーアンケート調査、高齢化さらに進み依然厳しい労働条件
    ☆ヤマトマルチメンテナンスソリューションズ、経産省の製品安全対策優良企業表彰で物流系初の3年連続特別賞受賞
    ☆埼玉ト協が交通安全・環境フェア開催、子どもらがトラックの試乗体験など
    ☆各労連調べ、物流各社の年末一時金妥結状況

今週のユソー編集室

  • ▼国土交通省の重田雅史物流審議官は、アサヒビールとキリンビールの共同モーダルシフトについて「以前はそうした取り組みを提案しても一笑に付された。環境が変わったと感じている」と語る。
    ▼環境変化の背景にはトラックのドライバー不足があることは明白であり、日本物流団体連合会の工藤泰三会長は「労働力不足は生産性を向上させるチャンス。生産性を向上させ、従業員の賃金を上げて雇用を確保しなければならない」と力説する。
    ▼反面、賃金など労働条件の産業間格差は一向に縮まる気配をみせていない。環境変化という追い風は確実に感じられるが、労働条件改善という“帆船”を大きく前進させるほど強くは吹いていないのが実態だ。
    ▼物流への意識が高い荷主は確かに増加している。行政の危機感も感じられ、各種の政策も実行に移されている。粘り強い取り組みを重ね、その“帆船”を雇用確保という最終目的地までたどり着かせたい。

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