改正物効法の第1号認定を受け、FSST(藤沢サスティナブル・スマートタウン)に拠点開設 次世代型サービス提供へ ヤマト運輸
ヤマト運輸(長尾裕社長)とFujisawaサスティナブル・スマートタウン(FSST)協議会(代表幹事=パナソニック)は11月1日、神奈川県藤沢市内のFSST内に物流インフラ「Next Delivery SQUARE(NDS、ネクストデリバリースクエア)」を開設する。各宅配会社の荷物の一括配送を全国で初めて戸建て住宅街のFSST内で実施するとともに、今後物流を含めたさまざまな次世代型サービスを提供していく。
10月25日付で国土交通省の改正物流総合効率化法の第1号認定を受けたことに伴い、ヤマト運輸とFSST協議会は同日現地でセレモニーを開催。長尾社長が国土交通省の持永秀毅関東運輸局長から事業認定書を授与された。セレモニーにはそのほか、鈴木恒夫藤沢市長、国交省の重田雅史大臣官房物流審議官、ヤマトホールディングスの山内雅喜社長、パナソニックの井戸正弘役員、FSSTマネジメントの宮原智彦社長らが出席した。
FSSTはパナソニックの旧藤沢工場跡地を利用して最先端の街作りを行う官民一体のプロジェクト。戸建て住宅、中高層住宅、コミュニティセンター、商業施設、福祉施設、公園などが設けられ、総開発面積約19万平方メートル、約千世帯・計画人口3千人の規模。20年の完成を目指し、現在約350世帯が入居しているが、各戸にスマートテレビが設置され、FSST内の情報閲覧や災害情報等の自動配信・表示など、双方向コミュニケーションを実現している。
NDSはFSST内に所在し、鉄筋コンクリート造2階建て、延べ床面積は477平方メートル(うち倉庫部分206平方メートル)。太陽光発電やLED照明の採用、建築資材の低炭素化などにより、ヤマト運輸の従来施設と比較して30%のCO2削減を図っている。
ヤマト運輸はNDSを中心に各宅配会社の荷物を集約して一括配送を行うほか、来年3月からはスマートテレビを利用した「オンデマンド配送システム」を導入し、配達事前通知・不在通知・配達場所や日時の変更指定が行えるようにする。また11月1日にはFSSTのホームページ内に特設サイトを開設し、スーパーの総菜や鮮魚の取り寄せ、ヤマトグループが提供する生活支援サービスの受け付け等も行えるようになる。今後は、荷物を持ったSDの所在地と配達までの所要時間が確認できるシステムの構築や、24時間365日無人で荷物の発送を受け付ける機械の導入など、さまざまなサービス提供を予定している。
セレモニーであいさつした山内社長は「パナソニックや藤沢市など協議会のパートナーとの連携を強化し、次の時代に向けた新たな物流サービスを展開することで、100年先に続く新しい街づくりに参画したい」と述べ、長尾社長は「FSSTの一員として住民の皆さんと一緒に、最先端の技術を取り入れながら、より便利な暮らしを物流面から支えていきたい」と抱負を語った。
来賓あいさつした重田物流審は、現在省を挙げて物流生産性革命に取り組んでいることを紹介しながら「物流と街づくりが一体となり、効率よく付加価値も高いプロジェクトがスタートしたことは大変喜ばしい」と述べ、改正物効法の認定第1号案件となった同プロジェクトの成功を祈念した。