9日から旅客鉄道を活用した宅配便輸送の実証実験、東京~埼玉の拠点間輸送など 宅配・鉄道5社が参加
ヤマト運輸(長尾裕社長)・佐川急便(荒木秀夫社長)・日本郵便(横山邦男社長)・東京地下鉄(奥義光社長)・東武鉄道(根津嘉澄社長)の5社は9~10月にかけて、旅客鉄道を活用した宅配便輸送に関する実証実験を実施する。
物流に関する交通渋滞・CO2排出量削減・ドライバー不足などの解決策の一つと想定されている旅客鉄道を活用した貨物輸送に関するもので◎拠点間輸送(5社で実施)◎拠点~駅間輸送(東京地下鉄・ヤマト運輸・佐川急便で実施)―の2パターンで実施する。
拠点間輸送では、東京地下鉄新木場車両基地(東京都江東区)から東京地下鉄和光車両基地(埼玉県和光市)または東武鉄道森林公園検修区(埼玉県滑川町)まで、拠点~駅間輸送では新木場車両基地から有楽町線の新富町(東京都中央区)・銀座一丁目(同)・有楽町(東京都千代田区)の各駅まで、実験専用ダイヤの回送列車の1両に模擬荷物を積載する。
各作業工程における所要時間・人員数、安全性確保のための人員配置、作業効率性や安全性に資する機器、施設・設備等の必要性と規模、旅客輸送への影響等を探るのが狙い。宅配各社とも鉄道車両を利用した貨物輸送の問題点・課題を洗い出す第1段階の実証実験と位置付けており、具体的には列車への荷物積卸の所要時間や駅から地上までの所要時間・列車内養生の必要性・利用に適した荷物や機材などを検証していく。
実験は合計して10回行い、9月9日・10日・10月14日・15日の4日間がヤマト運輸、9月16日・17日・10月7日・8日の4日間が佐川急便、9月30日・10月1日の2日間が日本郵便の実験日。
このうちヤマト運輸では、拠点間輸送の着地を和光車両基地とし、森林公園検修区も追加する可能性がある。9日の実験は宅急便120サイズの段ボール30個程度を2台の小型のロールボックスパレットに積み込み、和光車両基地まで輸送する予定。これら発着鉄道拠点に接続する自社拠点や、駅で荷物を降ろしてからの運用について、現段階で明確なイメージはないとしている。
佐川急便はいずれの実験でも、佐川東京ロジスティクスセンター(東京都江東区)を発地とし、約3キロメートル離れた新木場車両基地に運んで列車に積載、拠点間輸送では森林公園検修区まで列車で輸送し、そこから約3キロメートルの同社東松山センター(埼玉県東松山市)まで輸送する。拠点~駅間輸送では、対象となる三つの駅から直接配達する形をイメージしている。
日本郵便は「ゆうパック」「ゆうメール」などを模した段ボールを模擬荷物として、既存の保冷ボックス(今回は常温利用)に入れ、ロールボックスパレットに搭載してトラックで輸送、鉄道拠点でボックスだけを引き抜き列車に積載する。
発地は新木場車両基地から約3キロメートルの新東京郵便局(東京都江東区)で、和光車両基地を経由して同基地から約3キロメートルの東京北部郵便局(埼玉県和光市)に輸送する。
東京地下鉄では、実験結果について年度内にも公表する予定としており、これらの結果を踏まえ本格実施に向けたさまざまな取り組みを進めていく考え。