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2016年8月1日付 2620号

JR貨物で共同輸送 製品管理を日通が担当  アサヒ・キリン協業拡大

 アサヒビール(平野伸一社長)とキリンビール(布施孝之社長)は7月27日、金沢市に共同配送センターを開設し、鉄道コンテナによる共同輸送を開始すると発表した。来年1月から石川県での配送を開始し、秋口目途に富山県へとエリアを拡大する計画。
 
 共同配送センターは日本通運(渡邉健二社長)が運営し、両社の製品(ビール類、ノンアルコール・ビールテイスト飲料、清涼飲料水等)を管理、配送は両社の物流子会社が行う。配送センターまでは、JR貨物(田村修二社長)がアサヒビール吹田工場とキリンビール神戸工場で製造した商品を関西~北陸間の往復輸送量の差により発生する空コンテナを有効活用し、鉄道で輸送する。
 今回の協業を通じて年間1万台相当の長距離トラック輸送を鉄道コンテナにモーダルシフトし、年間約2700トンのCO2削減を見込んでいる。
 
 アサヒビールとキリンビールは2011年8月から首都圏での小口配送、茨城・埼玉・長野・静岡4県の一部地域での空容器の回収を共同で実施してきた。一方、愛知県・滋賀県にある工場から届け先まで、200~300キロメートルのトラック配送を行っていたが、ドライバー不足等により、現行のトラック配送に替わる新たな物流体制の構築が共通課題との認識を共有、物流分野における協業拡大に向けて今回、日通とJR貨物の協力のもと、新たな物流モデルを確立し、社会的課題の解決に積極的に取り組むもの。

 今後も非競争分野で両社が協業することにより、さらなる環境負荷の低減と持続可能な社会の実現に貢献していくとしている。

15年度メール便実績 2年連続前年割れ 利用運送の宅配も減少  国交省

 国土交通省が7月22日に公表した2015年度宅配便等実績では、トラック・航空等利用運送による宅配便の取扱個数が2年ぶりに前年度を上回ったが、メール便については、14年度に引き続き2年連続で前年を下回っている(トラックによる宅配便実績は前号12面参照)。

 航空等利用運送の取扱個数は、4047万個で前年度比7.4%の減少。
 トップは、佐川急便の「飛脚航空便」で、791万6千個(前年度比7.1%減)を扱い、シェアは0.1ポイント増の19.6%。
 2位は、ヤマト運輸ほか2社の「宅急便」で、前年度比0.8%増の668万2千個を扱い、シェアは1.3ポイント増の16.5%。
 3位は、福山通運ほか1社の「フクツー航空便」で、11.6%減の66万4千個を扱い、シェアは0.1ポイント減の1.6%。
 そのほかは、上表のとおり。
 
 メール便については①「ゆうメール」(日本郵便)②「クロネコDM便」(ヤマト運輸)③「ポストウェイメール便」(ポストウェイ)―などの順となっており、取扱冊数や増減、シェアなどは上表のとおり。

今週掲載トピック一覧

  • 夏季第2特集
    ☆車両整備特集
     日通商事整備制作部
     SGモータース
     ヤマトオートワークス
    ☆臨海鉄道特集『駅頭に営業倉庫新設、コンテナ実績2桁増~衣浦臨海鉄道』
    ☆アベノミクス物流にとって『吉』か『凶』か(63)『参院選で自公が勝った理由』
    ☆人物ウィークリー、(株)丸運・荒木康次代表取締役社長

  • ☆日本通運、国際航空温度管理輸送サービスを発売 ULD(航空機搭載パレット)単位で15~25度の定温維持が可能に
    ☆国交省・奥田哲也鉄道局長が就任会見、各種支援でJR貨物の自立経営を後押し
    ☆日本通運、中国~欧州間鉄道輸送で混載サービス開始 同グループのトラック配送併用で「第3の輸送モード」展開へ
    ☆厚労省、1~6月労災速報を発表 死亡災害は減少も死傷災害は3.8%増加
    ☆国交省、2015年コンテナ取扱貨物量を公表 中国の貿易総額減少などで6年ぶり前年
    ☆日通商事、名古屋車体工場の増築工事が竣工 10トン天井走行クレーンの導入など生産設備の増強を図る
    ☆ANAホールディングス、9月から中国向け越境ECの新ソリューションの提供開始へ 『新通関申告制度への対応・高速一貫輸送』を提案
    ☆全ト協、更新対象増加などでGマーク申請が初の9千件台突破 12月中旬に優良事業所を認定・公表へ
    ☆JR貨物がグループ社長会議、石田忠正会長があいさつで「JR貨物グループを強いメンバー・総合的なチーム」に育てたいと抱負

今週のユソー編集室

  • ▼東京の秋葉原は、きょうもスマホを片手に街をぶらついている人であふれている。報道などでもおなじみの人気ゲーム「ポケモンGO」で遊んでいる人が多いようだ。
    ▼「ポケモンGO」は、リリースされた週に世界規模でダウンロード数の新記録を打ち立てたという。確かに秋葉原で「ポケモンGO」に興じている人の顔ぶれは、洋の東西を問わず老若男女バラエティに富んでいる。
    ▼一方で現実世界とリンクしているゲームの特色を反映し、各方面で警戒感も広がっている。JR貨物を含む全国の鉄道事業者23社・局と日本地下鉄協会は7月26日、鉄道敷地内でキャラクターを出現させないよう関係事業者に要請書を提出した。
    ▼“ながらスマホ”の危険さは指摘するまでもない。安全を最重要視する交通運輸産業からみれば、多少過敏な反応になるのもやむを得まい。まさかとは思うが、トラックドライバーも運転中に遊ぶようなことがないようお願いしたい。

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