物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2016年6月13日付 2613号

国内初の異業種企業間中継輸送、関東~中部間で開始 静岡で積荷を交換することで日帰り勤務可能に  イオングローバルSCM・花王

 流通大手のイオンの連結子会社で物流事業を展開するイオングローバルSCMと大手化学品メーカーの花王は7日、関東~中部間で異業種企業間では国内初となるトラックの中継輸送を開始した。

 これまでは、両社がそれぞれ1台のトラックで往復2日間をかけて関東~中部間の自社商品輸送を行ってきた。新たに開始した中継輸送では、静岡県内の中継地点でトレーラー(積荷)を交換し、トラクタヘッドとドライバーは当日中に出発した地域に戻る。これにより、ドライバーの拘束時間は12時間以内となり、最適な勤務体制構築や業務効率化が図られるほか、日帰り勤務により自宅で休息することができるようになるなど、ドライバーのライフワークバランス改善にもつながる。また、輸送の効率化が図られることにより運行本数が削減され、運賃コストは27%、CO2排出量も約12%それぞれ削減される見込み。

 中継輸送は、ドライバーの長時間労働抑制や生産性向上などに効果が見込まれ、日帰り勤務を希望する傾向にある若年労働者のニーズにも対応することなどから、幅広い関係者が期待を寄せる。国土交通省でも今後の普及が期待される先進的な取り組みの事例として中継輸送を挙げており、同一事業者間や物流事業者間での中継輸送は一部ですでに行われているが、流通業とメーカーは国内初。今後他業種間や他地域間での実施に波及するのか、多くの物流関係者は中継輸送拡大の可能性に注目している。

 イオンは2011年に「イオンサステナビリティ基本方針」を発表し、CO2削減に向け、物流面でもさまざまな取り組みを進めており、トラックの中継輸送もこうした活動の一環。花王も09年に「環境宣言」を発表。設計・製造・輸送・使用・廃棄までの製品ライフサイクル全体を通じた環境負荷低減に取り組んでおり、今後も物流面をはじめとする各段階で「連携」をキーワードに新たな取り組みにチャレンジしていくとしている。

貨客混載事業で合意、今秋にもテスト輸送実施へ  佐川急便・北越急行

握手する荒木社長(左)と渡邉社長(右)

 佐川急便(荒木秀夫社長)と北越急行(渡邉正幸社長)は8日、貨客混載事業や地域活性化、駅利用者の利便性向上に取り組むことで合意した。

 貨客混載は、新潟県上越市の佐川急便上越営業所の宅配便荷物をトラックで北越急行ほくほく線のうらがわら駅に輸送し、同線の六日町駅まで旅客列車に旅客と宅配便を混載、南魚沼市の六日町駅から佐川急便六日町営業所までトラックで輸送する形を予定している。

 今後混載時の荷物のセキュリティーなどについて検討を加え、秋ごろからテスト輸送を開始、来年度からの本格実施を目指していく。

 地域活性化と駅利用者の利便性向上では◎駅利用者の利便性向上を目的とした宅配カウンターの設置◎不在再配達の荷物引き取り用宅配ボックスを駅構内に設置―を計画しており、貨客混載実施に合わせてスタートする予定としている。

 8日に新潟県庁で行われた記者会見には、荒木・渡邉の両社長が出席した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウォッチ『「中欧定期コンテナ列車」と「インフラ投資計画」』
    ☆寄稿、パレット管理『進化するパレット管理システム(I)』
    ☆四文字『求められる「倉庫機能」』

  • ☆社整審・交政審交通体系分科会で「交通政策基本計画」のフォローアップ、物流関連施策の進捗は多くの項目で遅れ
    ☆交通労連が中央委・政策討論集会、春闘妥結額に評価も経営側は危機感欠如
    ☆ボックスチャーターが株主懇談会、事業開始10周年を記念して関係者を招いてイベントを実施
    ☆日通、熊本地震復興支援で「熊本フェア」の鮮魚輸出をサポート 開催地のシンガポールへ一貫輸送
    ☆日倉協、第49回通常総会で新会長に藤岡(三井倉庫社長)氏を選任
    ☆全ト協・日貨協連、5月WebKIT成約運賃指数まとめ 依然高い水準で推移
    ☆日貨協連が総会と全国大会を開催、全国から約450人が参加
    ☆SGHDが第3回わくわくアワード開催、佐川急便観光チームが最優秀賞に 女性の活躍促進へ
    ☆DHLのアレンCEOが会見、江東区新木場の新施設「東京GW」が本格稼働
    ☆NASVA、ISO39001取得企業に対するアンケート調査報告書まとめ 多くの企業が道路交通安全に向けた環境整備等に有効と認識
    ☆社整審道路分科会物流小委員会、道の駅を活用した宅配便受け取りロッカー設置の社会実験や危険物車の規制緩和について審議
    ☆セイノーHD、全国の社員が参加し「小さな親切運動」
    ☆埼玉ト協が通常総会、16年度の事業計画は事故防止徹底などを柱に
    ☆セイノーHD、クララオンラインと中国向け越境ECの合弁会社を設立へ
    ☆神奈川ト協が総会・理事会を開催、筒井前会長の後任に吉田副会長を新任
    ☆カンダHDが16年~18年度中期経営計画を説明、中部・関西圏強化や業容拡大など推進
    ☆千葉ト協が通常総会、新会長に角田氏選任
    ☆JIFFAが通常総会、目標会員500社の達成は本年度早い時期に達成の見通し 協会事業については教育研修に注力
    ☆SGホールディングス・グローバル、フィリピン物流大手LBCと業務提携 一貫物流を強化
    ☆日冷倉協が第43回定時総会、冷媒補助延長・増額に向け全力で取り組むと強調

今週のユソー編集室

  • ▼最近は「トラガール」の言葉を目にする機会も少なくなってきた。「リケジョ(理系女子)」や「ドボジョ(土木系女子)」とともに、このまま死語になってしまうのだろうか。
    ▼一方で業界を取り巻くドライバー不足感が緩和する気配は全くない。呼び方はどうであれ「トラガール」の需要は間違いなく拡大しており、ドライバー分野以外でも女性が活躍する場面が増えている。
    ▼女性の活躍支援に力を入れるSGホールディングスでは、育児休業からの復職支援を行っていると聞く。育休取得者と復職1年未満の従業員を対象に、座談会や外部講師のセミナーなどを行い、意識を前向きにしてもらおうという取り組みのようだ。
    ▼妊産婦の死因の1位は自殺だというし、さまざまな理由でうつ状態に陥る人は多い。座談会やセミナーといった取り組みは一見地味に見えるが、女性に長く活躍してもらいたいと願うなら、とても重要な取り組みのようにも思える。

戻る