国内初の異業種企業間中継輸送、関東~中部間で開始 静岡で積荷を交換することで日帰り勤務可能に イオングローバルSCM・花王
流通大手のイオンの連結子会社で物流事業を展開するイオングローバルSCMと大手化学品メーカーの花王は7日、関東~中部間で異業種企業間では国内初となるトラックの中継輸送を開始した。
これまでは、両社がそれぞれ1台のトラックで往復2日間をかけて関東~中部間の自社商品輸送を行ってきた。新たに開始した中継輸送では、静岡県内の中継地点でトレーラー(積荷)を交換し、トラクタヘッドとドライバーは当日中に出発した地域に戻る。これにより、ドライバーの拘束時間は12時間以内となり、最適な勤務体制構築や業務効率化が図られるほか、日帰り勤務により自宅で休息することができるようになるなど、ドライバーのライフワークバランス改善にもつながる。また、輸送の効率化が図られることにより運行本数が削減され、運賃コストは27%、CO2排出量も約12%それぞれ削減される見込み。
中継輸送は、ドライバーの長時間労働抑制や生産性向上などに効果が見込まれ、日帰り勤務を希望する傾向にある若年労働者のニーズにも対応することなどから、幅広い関係者が期待を寄せる。国土交通省でも今後の普及が期待される先進的な取り組みの事例として中継輸送を挙げており、同一事業者間や物流事業者間での中継輸送は一部ですでに行われているが、流通業とメーカーは国内初。今後他業種間や他地域間での実施に波及するのか、多くの物流関係者は中継輸送拡大の可能性に注目している。
イオンは2011年に「イオンサステナビリティ基本方針」を発表し、CO2削減に向け、物流面でもさまざまな取り組みを進めており、トラックの中継輸送もこうした活動の一環。花王も09年に「環境宣言」を発表。設計・製造・輸送・使用・廃棄までの製品ライフサイクル全体を通じた環境負荷低減に取り組んでおり、今後も物流面をはじめとする各段階で「連携」をキーワードに新たな取り組みにチャレンジしていくとしている。