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2016年6月6日付 2612号

熊本地震における支援物資輸送ついての物流業者の一連の動きに対し「高い評価と感謝」  国交省の羽尾物流審議官

物流事業者へ感謝の意を表した羽尾物流審議官

 国土交通省の羽尾一郎物流審議官は5月30日、交通運輸記者会の記者団と会見し、熊本地震における支援物資輸送についての物流事業者の一連の動きに対し、「高く評価し、感謝する」と述べるとともに、5月2日に成立し、13日に公布された改正物流効率化法については秋の施行を目指し、現在政省令の整備などを進めていることを明らかにした。

 羽尾審議官はまず、熊本地震での支援物資輸送について、日本通運とヤマト運輸がいち早く確保した九州内の物流施設を第1次物資拠点として、いわゆる「プッシュ型輸送」が初めて行われたことを説明。トラック・鉄道・海運・航空など全輸送モードで幹線輸送を行い、現地では、佐川急便が大量のトラックを投入してフィーダー輸送を実施することで、食料260万食などが被災地に届けられたとして、物流業界挙げての支援物資輸送に対し、「高く評価し、感謝したい」と述べた。

 また、「輸送、保管、仕分など、物流のプロのノウハウが災害時の施設の活用にとって、いかに重要であるかを実感した」とし、一連のプロセスを通じて浮かび上がった課題点については、物流事業者や自治体からの報告などを通じて対応策などを取りまとめ、今後発生が予想されている首都直下型地震などに役立てていくとした。

 物効法については、2005年に施行され、15年度末までに289件の特定流通業務施設が認定されたことなどを報告。輸送網の集約化やCO2排出削減に一定の効果を果たしたとの考えを示すとともに、5月13日に公布された改正物効法では、労働力不足対策の視点が柱になっていることを説明し、2者以上が連携した①モーダルシフト推進②地域内配送共同化③輸送網集約事業―の取り組みを通じて、物流の効率化・省力化を図っていくとした。

 モーダルシフト推進については、2012年度に187億トンキロとなっている貨物鉄道による輸送を20年度までに221億トンキロに引き上げる目標を掲げている。

 また、羽尾物流審議官は、改正物効法の条文に、「効率的な輸送手段の選択」との記載が盛り込まれたことに触れ、「法律上明確にモーダルシフトに相当する文言が入ったのは、画期的なこと」とし、多くの関係者に理解を求めながら、ドライバー不足対策に高い効果が期待されているモーダルシフトを強力に推進していくとの姿勢を強調した。

 改正物効法の施行時期については、公布から6ヵ月以内と定められており、現在政省令の策定や基本方針の整備などを進めていることを説明、秋ごろの施行を目指しているとした。また、倉庫税制についても、改正物効法施行に合わせて昨年12月の政府与党税調大綱で示された新倉庫税制に移行する。

 これにより、流通加工も行う総合物流保管施設にトラック営業所の併設や予約システムの導入など輸送網集約化を進め、トラックの手待ち時間を改善していくとし、年間30事例(20年度までに150事例)の創出を目指す。

 増加する外国人観光客などを対象に、空港や鉄道駅、港湾で荷物を預かり、宿泊場所などに届ける「手ぶら観光」については、5月末時点で89ヵ所にカウンターが設置されており、物流事業者は佐川急便やヤマト運輸など6社が参画している。16年度末までに新たに80ヵ所のカウンター設置を目指す。

3PL事業拡大を図る、今月から来年3月までに東名阪に物流拠点を新設   トナミ運輸

 トナミ運輸(綿貫勝介社長)は2日、3PL事業の一層の拡大などを目的に、三つの物流拠点を新設すると発表した。

 1番目の「平塚流通センター」は、神奈川県平塚市新町6の15に所在。敷地面積は1万4676平方メートル、建物が鉄骨造地上4階建て延べ床面積2万9191平方メートルの規模。今月から稼働する。

 圏央道の寒川南インターチェンジの至近に立地し、交通の要衝である神奈川エリアの物流拠点を強化することで、首都圏のバックヤード機能や西日本からの集約拠点として機能させる。ラサール不動産投資顧問の物流施設に入居。

 2番目の「関西センター」は、大阪市西淀川区中島2の13の5に所在。鉄骨造地上4階建て建物の1、2階部分に入居、延べ床面積2万2330平方メートルの規模。来月稼働予定。現在稼働中の西淀川流通センターの狭あい化により新設するもので、大和ハウスの物流施設に入居。近隣には食品、医療・医療機器、家電などの荷主が存在し、3PL機能を提供していく。

 3番目の「清須流通センター(仮称)」は、愛知県清須市春日立作23に所在。鉄骨造地上2階建て、延べ床面積5090平方メートルの規模。2017年3月稼働予定。
 同社既存施設を再開発し、一部にチルド温度帯機能を施した東海圏の輸配送拠点として機能させることで、3PL事業強化の一環として営業倉庫の拡充を図るものとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・営業倉庫
     寄稿-国土交通省大臣官房参事官(物流産業)・坂巻健太氏
      『生産向上に向けて物流効率化を推進』
     インタビュー-日本倉庫協会常務理事・小笠原審氏
     トピック
      『日倉協、平成28年熊本地震災害支援対策本部を設置』
    ☆特集・通運
     寄稿-全国通運連盟理事長・飯塚裕氏
      『通運連盟16年度事業、モーダルシフト促進に向けて』
     インタビュー-日本貨物鉄道取締役営業統括部長・真貝康一氏
      『対話でニーズ掘り起こし商品に反映させる 荷主や利用運送事業者との連携ますます重要に』
     トピック
      『ORS問題、連盟のキャンペーンに一定の効果 JR貨物も期待感』
     各利用運送事業者担当者に聞く2016年度営業施策
      日本通運通運部長・吉橋宏之氏
      全国通運取締役・小野善明氏
      日本フレートライナー取締役・五島洋次郎氏
    ☆物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か(60)「マイナス金利政策の功罪(その4)」

  • ☆物流連、9月5~9日に第3回インターンシップ開催 昨年より7社増の31社が参加
    ☆全ト協・日貨協連、5月WebKIT速報発表 求車の荷物情報件数が前年同月比減少へ
    ☆社整審道路分科会物流小委員会が新東名高速でダブル連結トラックの実験、車両長25メートルに緩和
    ☆東ト協第1回理事会、次期の会長候補者に千原副会長を選出
    ☆JR貨物・通運連盟、道路局長に要望書を提出 大規模輸送障害時の代替輸送体制強化へ
    ☆建交労神田支部、結成70周年記念レセプション開催 来賓含め約130人が参加
    ☆物流連、9月の人材育成研修にKPIの研修追加 活用のポイントなど解説
    ☆インド日通、自動車部品等扱うニムラナ・ロジセンターを1万平方メートル増床
    ☆ヤマト運輸・宮崎交通が1日に出発式開催、宮崎で「客貨混載」第2弾の運行開始 4台の専用バス導入
    ☆日通、6月7月限定の引越キャンペーンを展開 抽選でディズニー・オン・アイスに招待

今週のユソー編集室

  • ▼先週はDHLのケン・アレンCEOが来日し、東京都江東区に新設した、同社最大級のゲートウェイ施設の記者向け披露会に立ち会うとともに、同社の事業戦略を説明した。
    ▼会見ではある記者が、日本で大規模な投資を行う理由について質問した。これに対してアレンCEOは「日本は巨大な市場であり、成長は緩やかなのは分母がすでに大きいからだ。TPP(環太平洋連携協定)などで今後の成長も期待できる」と答えた。
    ▼記者の質問の根底には、日本は斜陽化しつつあるという、一種の屈折とも言える感情があることは間違いない。そしてそれこそが、今の日本を取り巻く停滞感を生み出している要因の一つのようにも思える。
    ▼先進諸国の中で、日本ほど若者が未来に希望をもっていない国はないとも聞く。その原因は政治にあるのか、企業にあるのか、あるいは若者そのものにあるのか。数字で語られる景気回復よりも、根深い問題のように感じる。

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