熊本地震 被災地への支援物資 今後プル型輸送に
14日に発生した熊本県熊本地方を震源とする地震に対し政府は同日夜、内閣府に地震非常災害対策本部を設置して情報収集に努めるとともに、全日本トラック協会などを通じた現地への支援物資輸送要請や輸送を支えるインフラの復旧に全力を注いでいる。
支援物資については、プッシュ型(被災地以外の地域から食料など当面必要な大量の物資を現地に送り込む輸送)により、食料90万食分などを届けることを決定。16日付で、国土交通省自動車局長から全ト協に対し、被災地が必要とする物資の輸送について、最大限積極的な協力を行うよう文書で指示した。また、熊本県庁から国に依頼のあった輸送については、国交省自動車局貨物課から全ト協へ支援を依頼。これを受け全ト協が指定公共機関である日本通運、ヤマト運輸、佐川急便、西濃運輸、福山通運に支援を依頼している。
プッシュ型輸送開始当初は、1次拠点での物資滞留などが発生したが、道路の復旧が進んだことなどから、現在では滞留問題は解消している。
道路は、通行止めとなっていた九州道の植木インターチェンジ(IC)~益城熊本空港IC間の19キロメートルが19日から物資輸送を行う車両に限って通行可能となり、20日から国道443号の応急復旧が完了したことから、本州~九州道方面から被害の大きかった益城町中心部への支援物資の円滑な輸送が整いつつある。
また、九州道の八代IC~嘉島ジャンクション間の33キロメートルが今週前半に一般開放される予定で、これにより、九州南側から熊本への動脈が回復する見込み。さらに、比較的被害の少なかった熊本県内の熊本・八代・三角と大分県内の大分・別府・佐伯の各3港湾のうち、熊本港を除く5港湾を支援物資輸送や物資供給・補給の拠点として活用。海上保安庁や自衛隊の船舶により九州への支援物資輸送を行っている。
今後は、プッシュ型から被災地のニーズに応じた物資を送り込む「プル型」にシフトしていくが、必要とされる品目や数量を的確に届けるため、物流専門家や物流事業者による情報・輸送オペレーションがより重要性を増してくる。