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2016年3月28日付 2603号

工藤会長が会見、物流業界の生産性向上が課題 経済界も危機感  物流連

 日本物流団体連合会の工藤泰三会長は22日の理事会後に専門紙誌記者団と会見し、あらためて物流業界の生産性向上が急務の課題であることを強調した。

 会見で工藤会長は「経済界も物流の労働力不足に危機感を持っている。生産性を向上させ、労働環境を改善していくことが必要。ただ、個々の企業はやるべきことをすでにやっているので、今後は荷主や政府も含めて真剣に考えるべき時期に来ている」として、社会全体で物流事業の生産性向上に取り組む必要があるとの認識を示した。

 一方で、荷主の物流に関する値上げ対応にも限界があることから、物流連と経団連で定期的に議論し具体論を抽出していく考えを示すとともに、物流事業者側も生産性向上を伴う提案営業が求められていると述べた。

 工藤会長はこのほか、訪日外国人旅行者への対応や地方の過疎化の問題など、物流連と日本全体の課題意識が共通化してきたとの見方を示し、広く社会全体と話し合って課題解決を図っていく必要があると語った。

 会見ではその後、与田俊和理事長が16年度事業計画を説明。16年度は新規事業として、小中高生を対象とした出張授業や、ドローンなど先進技術の活用方研究、国土交通省が海外で行う政策対話への参加などを行っていく方針とした。

第2次中期経営計画を策定、生産性向上やM&A等に重点 減収の打破目指す  丸運

 丸運(市原豊社長)は23日、2016~18年度を期間とする「第2次中期経営計画」を発表した。12年度の連結経常赤字計上以来、赤字要因の解消と業務遂行能力の強化に取り組んできたが、これらが達成できたことを踏まえ、減収傾向を打破してグループ成長の道筋を描いたものとしている。

 重点方針は次のとおり。

 ①既存事業の生産性向上(新規顧客獲得による共同配送強化・流通加工業務領域の拡大・赤字店所等の対策・鉄道利用運送の拡大)。

 ②低温食品物流事業への単独進出。

 ③既決定投資案件の早期熟成化(栃木物流センター第2倉庫、丸運物流天津)。

 ④M&Aや投資の追求。

 ◎石油輸送=営業拠点の再編等を可能とする主体性を保持した事業統合を志向◎貨物輸送=東京湾岸地区の増床、大阪地区物流拠点のリプレースを可能とした新規荷主・新規業務領域の獲得に資するM&Aの追求◎国際貨物=中国広東への本格進出、アセアン経済共同体、丸運物流天津の熟成確認後のTPPを見据えた東南アジアへの本格進出。

 このためGマークの取得など安全品質向上に取り組むほか、子会社再編・提案営業の日常業務化・間接業務の生産性検証などを行っていく。

 最終18年度目標数値は売上高521億円(15年度予想比32億円増)、経常利益15億6千万円(同5億6千万円増)を掲げる。売上高の改善要因は、既存事業生産性向上で17億円、低温食品物流で9億円、既存投資熟成化で13億円、M&Aで7億円、不採算事業撤退でマイナス14億円。

 このほか売上高経常利益率3.0%、総資産回転率133%超として、総資産利益率4.0%、自己資本利益率8.0%、自己資本比率50%を目標とし、期間中の設備投資額は50億円、M&Aに50億円を予定する。

今週掲載トピック一覧

  • ☆主な物流企業の2016年度新卒新入社員数
    ☆物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か(55)
    ☆四文字『人件費の問題「事業経営」』
    ☆日中ビジネスワンポイント『訪日感想』
    ☆道『連載を終えるに当たって(2)』

  • ☆センコー、オンワード・子会社アクロスの株式取得 ファッション物流サービスの強化
    ☆ヤマト運輸、国際クール宅急便のマレーシア向け発売
    ☆センコー、来年4月目途に純粋持株会社へ移行
    ☆エコモ財団、グリーン経営認証効果を公表 平均燃費3.8%改善
    ☆国交省、トラックの隊列走行など自動走行に関する方針を公表 20年度に試験運行を実施
    ☆国交省、大型車誘導区間へラストワンマイルを追加指定 港湾アクセス道路など全国で700キロメートル
    ☆社整審・交政審環境部会、トラック輸送効率化によるCO2排出削減実績や積載効率を報告
    ☆内閣府、第10次交通安全基本計画決定 各種運転支援システムの開発・普及に重点的に取り組む
    ☆国交省、広島県内の多重事故を受け乗務時間基準遵守など全ト協に注意喚起
    ☆取引環境・労働時間改善埼玉県協議会開催、改善取り組み事例・トラック輸送状況の実態調査結果を報告
    ☆日通労使、全日通の春闘妥結判断 定期昇給実施を確認
    ☆ヤマト労組、春闘妥結判断 パートの処遇改善も確認
    ☆ヤマト運輸、本社組織を改正 国際戦略室を新設
    ☆JR貨物、16年度事業計画を公表 イールドマネジメント導入などで鉄道の赤字解消へ
    ☆千葉ト協、16年度事業計画案 未加入事業者の加入促進や取引環境改善などを重点項目とし推進
    ☆埼玉ト協理事会、16年度事業計画案 安全対策事故防止徹底など最重点に推進
    ☆日通総研、16年度貨物輸送見通し改訂版を発表 景気減速の影響を受け国内・国際貨物輸送量とも下方修正
    ☆ヤマト運輸・ANA、東京~大阪・京都間の訪日旅行客向け当日手ぶらサービスのテスト運用を開始
    ☆日本通運、プラントエンジニアリング事業で巴鉄工と資本提携を発表
    ☆取引環境・労働時間改善千葉県協議会開催、パイロット事業に中小事業者を対象集団とするよう要望

今週のユソー編集室

  • ▼17日に広島県の山陽自動車道トンネル内で発生した多重事故は、2人が死亡し多数の負傷者が出るという大惨事となってしまった。まずは亡くなられた方のご冥福をお祈りしたい。
    ▼事故は、渋滞の最後尾にトラックがかなりのスピードで追突した形で発生している。運転手が警察に逮捕され取り調べを受けているほか、運送会社が国土交通省の監査を受け、安全管理が不十分だったことなどが報じられている。
    ▼不足する労働力と低位に置かれているドライバーの労働条件、厳しい荷主の要請とコンプライアンスのはざまで収益確保に苦悩する事業者。事故の背景には、ある意味業界の縮図とも言える情景が広がっていたのかもしれない。
    ▼ネットの掲示板では、事故に関してドライバーの過酷な労働条件が原因とする声があり、次代を担う若者たちもそれを見ている。若年労働者の確保のためにも、やはり安全、安心、コンプライアンスは欠かせない。

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