首都圏の新高速料金高速各社に対し許可 大口・多頻度割引拡充も
国土交通省は1日、起終点が同じならば経路を問わず同一料金とすることなどを盛り込んだ首都圏の新たな高速道路料金について、首都高速・東日本高速・中日本高速の各高速道路会社に対し許可を行った。
新たな料金制度は4月1日から導入され、首都高速の大口・多頻度割引は経路によっては割引率が現行の30%から35%に引き上げられる一方、通常料金では首都高速の利用距離が長い場合には大幅な値上げとなるケースもあり、高速道路の利用頻度が高いトラック事業者などでは、コスト面から利用区間の見直しを迫られる事態も発生しそうだ。
首都圏の高速道路料金はこれまで、圏央道西側区間の料金水準が割高となっていることなどにより、いわゆる「3環状」をはじめとする高速ネットワークが生かされておらず、都心部の通過交通抑制を妨げているなどの問題があった。
新たな料金制度では、圏央道についても大都市近郊区間の料金水準に統一することで起終点が同じならば経路を問わず同一料金とするとともに、ETC2.0搭載車については圏央道利用分について約2割引きとするなど、都心部の通過交通抑制策を盛り込んでいる。
また、圏央道を大口・多頻度割引の対象道路に追加するほか、首都高速の大口・多頻度割引について、現行30%となっている割引率の上限を、ETC搭載車で中央環状線の内側を通行しない場合に限り35%に引き上げる。
一方で、首都高速の料金も大都市近郊区間の料金水準に統一されるため、近距離では値下げとなるが、おおむね30キロメートルを超える利用では値上げとなり、40キロメートルでは現行の930円(普通車の場合、以下同じ)が1300円に約40%引き上げられる。神奈川県の並木インターチェンジ(IC)~埼玉県のさいたま見沼IC間86キロメートルを利用する場合、現行料金は930円だが、大都市近郊区間料金では2900円と大幅な値上げとなるため、激変緩和措置として、当面の上限額を1300円に設定している。
また現在、首都高速では「普通」「大型」の2区分となっている車種区分を一般の高速道路と同じ5車種に統一する。これにより、首都高速を走るトラックは、これまで普通車料金の2倍となっていた車種のうち、「大型」は普通車の1.65倍に引き下げられる一方、「特大」は2.75倍に引き上げられる。利用区間や割引との組み合わせによっては特大車でも料金引き下げになるケースもあるとみられることから、トラック事業者は高速の「賢い」利用が必要となる。
高速会社では、ETC2.0の利用促進に向け、10日から車載器導入に対し1万円を助成するキャンペーンを6月末まで実施する。