第3回取引環境・労働時間改善中央協議会開催、パイロット事業の実施方法示す 運賃検討のWG設置へ
国土交通省と厚生労働省は19日、東京都千代田区の国土交通省共用会議室で「第3回トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会及びトラック運送業の生産性向上協議会」(座長=野尻俊明流通経済大学学長)を開催した。
昨年9月に実施したトラック輸送状況の実態調査結果を報告、次年度から2年間実施するパイロット事業(実証実験)の着眼点とその実施方法などが提示された。また労働時間短縮とともに適正運賃収受も重要課題であるとして、新たな運賃制度について検討していくワーキンググループ(WG)等の設置を要望する意見が委員から出され、座長一任としたほか、農水産品関係者の協議会への参加についても検討していくこととした。
冒頭、三ッ林裕巳厚生労働大臣政務官があいさつし、軽井沢のスキーツアーバス事故からも事業環境や労働条件を確保することの大切さを認識したとし、「そうした意味からも協議会の使命は重くさまざまな立場を超え、一体となってトラック運転者の労働条件改善に向けて取り組んでいく必要がある」と述べた。
次いで宮内秀樹国土交通大臣政務官があいさつし、5年先10年先の物流をしっかりと維持し、人材を確保していくため、今何をしていくべきか、といった観点からの積極的な意見を求めた。
トラック輸送状況の実態調査結果、来年度から取り組むパイロット事業、生産性向上のための補正予算による事業、運賃・料金制度に関するトラック事業規制の推移などについて、国土交通省が報告・説明。実態調査結果を踏まえパイロット事業を実施する際の着眼点として次の事項を示した。
運転時間については◎中継輸送や共同輸送などにより、長距離輸送の運転時間短縮は可能か◎高速道路利用が効果的な区間は高速道路を利用できるよう荷主と相談する。
手待ち時間については◎手待ち時間の発生場所や原因を荷主と共同で検証し削減する◎着荷の時間指定の有無や意義を着荷主と共同で検証する。荷役作業時間については◎荷主と作業場での動線等を見直し作業効率を上げて時間短縮を図る◎パレットやロールボックスパレット等荷をまとめ輸送、あわせて発着いずれでも荷を崩す作業が発生しない方法を検討する―など。これを参考に各都道府県の地域事情に応じた取り組みが望ましいとした。
都道府県で取り組むパイロット事業は、各地方協議会で選定した対象集団がコンサルタント等専門家のアドバイスのもと、①荷主および運送事業者の現状分析や課題の洗い出し②課題に対する解決手段の検討③解決手段の実践④検証等を経てトラック運転者の長時間労働等の改善を図る―もの。2017~18年度の2年間、全国で約100事例を目途に実施する。
一方、中央協議会でも来年度に「トラック運送業の生産性向上に係る補正予算事業」3億3千万円を使って、①荷主業界ごとの商慣行・商習慣の調査・対策検討②事業の共同化による積載率向上の事例調査③原価計算の在り方の調査・検討④ITの活用可能性に係る調査―を実施する。
このほか、秡川直也国土交通省自動車局貨物課長からは、運賃規制は陸運業でトラックのみが事後届出制であることが報告された。意見交換では、坂本克己全日本トラック協会副会長が新たな運賃制度を検討するWG等の設置を要請した。