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2016年2月8日付 2597号

連携した効率化を支援 労働力不足対策にシフト、物効法新ステージへ  改正法案を閣議決定、国会審議へ

 2日に閣議決定された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」(物流効率化法改正案)では、モーダルシフトや共同配送、倉庫へのトラック営業所併設などの取り組みを2者以上で連携して実施する場合、認定された計画に対して補助金や税制特例、事業開始手続きの簡素化などの支援が行われる。

 現行の物流効率化法は創設から約10年で270件を超える認定が行われ、大規模で高機能な倉庫施設の整備と効率的な物流の実現に一定の役割を果たしてきた。改正物流効率化法では、物流業界で深刻化する労働力不足への対策としての役割を前面に押し出し、複数の関係者による物流効率化を後押しする枠組みに改める。
 ①鉄道・船舶へのモーダルシフト②地域内配送共同化③輸送機能と保管機能の連携―が認定対象となる事業イメージとして示されており、これらの取り組みには補助金などの予算措置や税制上の特例、事業開始手続きの簡素化などの支援が行われる。

 モーダルシフトについては、交通基本計画で2020年度までに12年度比で鉄道・船舶とも各34億トンキロをシフトする目標が掲げられており、改正物流効率化法を通じた支援により目標達成を目指す。地域内配送共同化については、積載率や運行頻度の改善などにより無駄の少ない配送を行うモデル的な取り組みを20年度までに100事例創出する。
 
 輸送機能と保管機能の連携については、倉庫にトラック営業所を併設して回送距離を削減したり、トラック荷役の予約システムを導入して手待ち時間を削減するような事例を年間30事例、20年度までに150事例創出することを目指す。
 
 支援措置については、昨年末に閣議決定された16年度予算案に、「モーダルシフト・共同輸配送の促進」で3800万円を盛り込んだほか、エネルギー対策特別会計で①鉄道・海上輸送への転換促進②31フィートコンテナの導入③都市鉄道等の旅客鉄道を利用した新たな物流システム構築④共同輸配送設備の導入―などに37億円の内数を計上しており、国会での成立後これらの予算を活用していく。
 
 税制特例については、倉庫事業者が保有する倉庫・付属施設について、「所得税・法人税の割増償却を5年間10%」「固定資産税等の課税標準を5年間倉庫2分の1、付属設備4分の3」、都市鉄道の旅客列車などを利用した貨物輸送に関しては、貨物用鉄道車両の課税標準を5年間3分の2(中小鉄軌道事業者は5年間5分の3)、貨物搬送装置の課税標準を5年間5分の3とすることが昨年決定された16年度税制改正大綱に盛り込まれている。

 旅客鉄道による貨物輸送は、都市部の旅客鉄道の回送列車・貨物専用車両などを活用した貨物輸送を想定しており、すでに大都市の民鉄・地下鉄事業者が実施に向けた検討に入っているものとみられる。
 
 事業開始の手続き簡素化については、自社貨物に加えて連携する他社の貨物輸送を請け負うような場合に、他社と同様の事業許可が行われたとみなすもの。例えば、利用運送事業の許可事業者とトラック事業の許可事業者の組み合わせでは、計画の認定によって、それぞれがトラック事業と利用運送事業の届出をしたとみなされ、相互の貨物を運ぶことが可能になる。みなし許可は、改正物流効率化法の認定計画以外にも有効。
 
 改正物流効率化法は、公布後6ヵ月以内に施行のスケジュールとなっており、今国会で成立すれば年内に施行される見込み。改正法施行までは、現行の物流効率化法の要件で申請・計画認定が行われる。また、現行法で定められている設備要件の改正法への適用の有無などは今後省令で決める。

横浜市に複数顧客向けの新杉田物流センター竣工、95%の入居が確定済み  SBSロジコム

 SBSロジコムは2日、横浜市磯子区に複数顧客向け大型物流施設「新杉田物流センター」を竣工させた。
横浜市から土地を取得し、2014年12月に着工したもので、磯子区杉田5の32の50に所在。首都高速湾岸線「杉田」出入り口の至近に位置し、JR根岸線「新杉田」駅からも徒歩5分と交通の便に恵まれている。敷地面積は1万7150平方メートルで4階建ての建物を持ち、延べ床面積は3万8265平方メートル。

 1階に26台分、3階に24台分の屋内型トラックバースを設置。3階に通じる車路は40フィートセミトレーラが双方向で通行できる幅を確保している。また、1~2階間と3~4階間に専用エレベーターを配置。東西2ヵ所のエントランスや事務所を複数設けることで建物全体を4分割して使用することが可能な設計となっている。1、2階の一部には「定温庫」を設置しており、高級ワインを保管し、都心まで8台の施設専用リーファー車で配送を行う。

 現在、輸入雑貨や食品系商社など7社の利用が決まっており、賃貸面積の約95%の入居が確定。SBSロジコムでは「新杉田物流センター支店」を開設して、2月中旬から段階的に商品の搬入をはじめ、6月中旬には300人規模でフル稼働する予定。

今週掲載トピック一覧

  • ☆四文字『ダンピング「過当競争」』
    ☆道『国際化に至る道半世紀』(17)
    ☆物流業界の新年会

  • ☆全ト協、厚労省の協力要請を受け転倒災害の防止を各ト協に通達発出
    ☆三井倉庫エクスプレス、メキシコ法人を設立 中南米拠点網の拡充図る
    ☆ヤマト運輸・ヤフー、宅急便などが割引料金で利用可能になる「ヤフネコ!パック」開始 「ヤフオク!」利用者の利便性向上
    ☆日立物流、フォワーディング事業強化に向けVHFに100%出資 4月に構成比率変更実施
    ☆陸災防、16年度フォークリフト2級試験申し込み受け付け開始 第1回は4月27日に実施
    ☆ヤマト労組結成70周年記念レセプション開催、各界から400人出席 小倉氏の理念引き継ぐ
    ☆資生堂、大阪府茨木市に高効率の物流拠点を新設 新たな大阪工場に隣接
    ☆日貨協連、中小企業のBCP策定支援として実演研修を開始 東京・大阪・名古屋で開催
    ☆全ト協・日貨協連、1月WebKIT速報まとめ 車両情報は2桁増加し荷物情報も4.6%増
    ☆全ト協青年部会、社会貢献活動の一環として静岡県と福岡県の2高校に整備実習用トラックを寄贈
    ☆JPR、02年発売の緩衝材「トラックボード」が販売数100万枚突破
    ☆KWEインド、チェンナイに3ヵ所目の新倉庫を開設
    ☆特殊車両通行適正化関東ブロック協議会、トラック事業者研修会でETC2.0活用など特車許可制度学ぶ
    ☆三菱重工、フォーク等物流機器など3事業を傘下に置く統括会社を3月に設立へ
    ☆埼玉ト協、埼玉DMAT3病院へ車両各1台を寄贈 今回で14台目
    ☆引越専門協組連、全国センター長交流会開催 クレーム対応を研修
    ☆建交労労使協、国交省等への中央行動展開 標準運賃設定などの要請
    ☆東ト協、GEP参加者対象に新春セミナーを開催
    ☆各社の第3四半期決算

今週のユソー編集室

  • ▼交通安全対策基本法は第3条で、国の責務として、国民の生命・財産を守るために、交通の安全に関する総合的な施策を策定・実施すること、と規定している。
    ▼一方で交通政策基本法を見ると、第1条に「交通安全対策基本法と相まって」という文言が盛り込まれており、「安全確保」が交通政策の基盤であることや、国がそれを実現するための責務を負っていることが理解できる。
    ▼先月発生したスキーツアーバス事故では、事故を起こした運転手が大型バスに不慣れだった、事故当日の点呼が行われなかった、基準運賃を大幅に下回る価格だったことなどが報じられており、事故を起こした会社は貸切バス事業の事業許可を取り消された。
    ▼基準運賃が設定されているバス事業ですらそういう状態なのである。トラック運送事業の実態は推して知るべしだろう。全ての交通政策の基盤である「安全確保」に向けて、国は今こそ、その責務を果たさなければならない。

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