マレーシア宅配大手GDEX社と提携 ネットワーク早期構築へ ヤマトHD
ヤマトホールディングス(山内雅喜社長)は21日に開催した取締役会で、マレーシアの大手宅配企業「GD Express Carrier」(GDEX社、テオン・テック・リーンCEO)と業務・資本提携することを決めた。
GDEX社はセランゴール州に所在し、マレーシア証券取引所に上場する、マレーシア宅配市場で売り上げシェア2位の運送事業会社。マレーシア全土のデリバリーネットワークを保有しており、国内の企業間の小口配送に強みを持っている。従来からマレーシアヤマト運輸(YTM)が展開するロジスティクス事業の委託先となっていたが、全国配送網と品質の面から評価され、資本・業務提携に至ったもの。
資本金は6181万6千マレーシアリンギット(RM、約16億5600万円)、2015年6月期の売上高は1億9700万RM(約52億7800万円)、営業利益は3100万RM(約8億3千万円)の規模。
具体的な提携の内容は次のとおり。
【業務提携】
①YTMの未カバーエリアにおけるGDEX社の全国ネットワークとの連携による切れ目のないサービス提供。
②マレーシア国内の幹線輸送の共有化による両社の経営効率の向上。
③シンガポール・マレーシア間のクロスボーダー物流における連携。
④マレーシアを起点とする東南アジア各国への展開拡充に向けた補完的な協力。
【資本提携】
ヤマトアジアが、GDEX社が2月に実施する第三者割当増資を引き受ける。効力発生後、既存株主から株式を取得し保有比率を23%まで引き上げ、早期に持分法適用関連会社とする予定。第三者割当増資の引受価額総額は2億1731万5千RM(約58億円)、引き受け後の保有比率は9.1%。ヤマトアジアからGDEX社へ取締役1人を派遣する。
YTMはマレーシア国内で、クール宅急便や宅急便コレクトなど付加価値商品を含む宅急便サービスを展開しているが、サービスエリアは西海岸の主要都市に限られ、人口でみると50%弱のカバー率となっている。今回の提携では宅急便の配達業務も委託され、マレーシア全土をカバーする配送網が確立される。一方で全国配送網確立の時期や付加価値商品の委託については、現段階では未定としている。
ヤマトグループは10年からアジア各地に宅急便サービスを展開し、アジア地域での事業を拡大している。東南アジアではTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の大筋合意やAEC(ASEAN経済共同体)の発足により、貿易の活発化や域内物流の飛躍的な拡大に期待が集まっている。ヤマトHDでは、この地域全体をつなぐラストワンマイルを強みとした物流サービスで確固たる地位を早期に確立するため、業務提携やM&Aを積極的に実施する方針を掲げており、今回の資本・業務提携はその一環と位置付けている。