物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2016年1月1日付 2592号

連携~Cooperation~

 一昨年ごろから急速に高まりだした、トラック運送業界における労働力不足。こうした「物流クライシス」の状況は行政や荷主も理解しており、改善に向けた具体的な動きが始まっている。一層の物流効率化に向けたキーワードは、各界相互の「連携」だ。写真は第2回トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会で好事例として取り上げられた、(株)カスミの物流風景。


3月ダイヤ改正の概要 幹線系の輸送力を増強し収益改善30億円強を見込む  JR貨物

 JR貨物(田村修二社長)はこのほど、3月26日に行うダイヤ改正の概要を発表した。マーケティングセンターの分析を基に、顧客ニーズに沿った利便性の高い商品提供を行い、鉄道事業部門の収益性向上を図ることが狙い。
 列車キロは800キロメートル程度減少させる反面、幹線系の輸送力は1日当たり約600トン増強し、積載率も現行を数ポイント上回る85%程度に向上させたい考え。

 18日に会見した大橋康利取締役専務執行役員・鉄道ロジスティクス本部長は「今回のダイヤ改正は、中期経営計画最終年度となる2016年度の骨格を決める非常に大事なもの」と重要性を強調した上で「ダイヤ改正による増収とコスト削減効果で30億円強の収益改善効果を見込んでいる。15年度の営業損失39億円(事業計画ベース)の大半をカバーし、16年度の鉄道事業黒字化に大きく関与させていく」と胸を張った。

 ダイヤ改正の主な内容は①関東~関西間に速達タイプのコンテナ列車を新設②列車再編による首都圏周辺エリアから九州向け輸送力の大幅増強③コンテナ貨車増結による輸送需要が旺盛な地域間の輸送力増強④主要都市間のコンテナ列車速達化等によるリードタイム短縮―など。

 関東~関西間では、東京貨タ駅~吹田貨タ駅間で12フィートコンテナ120個の深夜発翌早朝着列車を往復で新設。首都圏周辺から九州向けの強化では、熊谷貨タ・倉賀野・梶ヶ谷貨タ・新座貨タの各駅から北九州貨タ・福岡貨タ駅向けに、合計で12フィートコンテナ換算85個を増強する。
 コンテナ貨車増結は、東海~九州間・新潟~関西間・新潟~岡山間・金沢~九州間で10個から20個程度実施。速達化では、札幌貨タ駅発梶ヶ谷貨タ駅着の列車が8時間40分短縮されるのを筆頭に、北海道~関東間の列車を中心として2時間40分~20分程度短縮される。

 機関車等については、EF210を6両、EH800を8両、HD300を4両新製するほか、コンテナ貨車のコキ107を209両、コンテナの19Dを3300個、V19Cを500個、20Eを100個、30Dを100個、それぞれ新製する計画で、投資額は全て合計して約145億円を見込んでいる。

トラック等取引条件改善へ 大規模な調査を実施し対策取りまとめも  中企庁

 中小企業庁は、中小・小規模事業者が賃金の引き上げをしやすい環境を作るため、必要なコストの価格転嫁や取引先企業の収益の中小企業への還元など取引条件改善を目的に、トラック運送業をはじめ発注者側の優越的地位乱用が懸念される事業者間取引について調査を実施して必要な対策をまとめる。

 調査は、一昨年12月の政労使合意で明記された「取引企業の仕入れ価格上昇等を踏まえた価格転嫁や支援・協力についての総合的取組」に関して、取り組みの浸透状況や課題などを調べるとともに、取り組みの浸透を図るため実施するもの。調査の実施を前に内閣府・経済産業省・国土交通省などを含む「下請等中小企業の取引条件改善に関する関係府省等連絡会議」が設置され、12月21日に初会合を開催、調査実施に当たっての広報活動や相談体制などについて確認した。

 調査は、1~3月を中心に実施。大企業向けと中小企業向けの業種横断的な調査をそれぞれ実施する。
 大企業向けでは資本金3億円超の事業者約1万5千社以上を対象に①政労使合意を踏まえた取り組みの浸透状況②取引単価の決め方③自社の取引先の適正取引化④取引単価に関する今後の方針⑤業種固有の取引に関する状況―について調査。
 中小企業向けでは、約1万社を対象にエネルギーコストの転嫁状況や取引単価の決め方、不合理な原価低減要請などの個別事案などについて調査する。
 調査対象件数は、製造業やサービス業など全体の件数で、このうちトラック関連企業への調査件数は現段階では未定としている。

 また、取引上立場が弱い恐れがある事業者に対しては別途、ヒアリングを実施する。
 いずれも、今年3月に調査結果を公表し、経済界にも調査結果を提供する。その後、連絡会議で必要な対策を取りまとめる。

今週掲載トピック一覧

  • ☆各界年頭あいさつ
    ☆新春特集、『取引環境・労働時間の改善へ』
     ◎協議会の概要
     ◎国交省秡川課長インタビュー
     ◎中央協議会参加者等の声
     ◎中央・地方協議会での意見
     ◎好事例の紹介
     ◎地方協議会の開催日等
    ☆臨海鉄道特集『海コン併結列車好調に、神奈川臨海鉄道株式会社』

  • ☆国交省、初任運転者に対する指導改正 新たに20時間以上の安全運転指導 一般的指導は15時間以上に引き上げ
    ☆15年度補正予算、高速料金の大口・多頻度割引最大50%はETC2.0に限定 従来型はNEXCOが措置
    ☆損保ジャパン日本興亜、安全運転支援サービスの申し込みが1万台を突破 事故件数は20%減少
    ☆香港日通、トラック&エアサービスを開始 香港空港で接続し中国内陸部から欧米へ
    ☆東京運輸支局地方協議会でブリヂストン物流の事例紹介、「配車時間に対する積み込み開始時間プラスマイナス15分以内」98%を達成
    ☆ネスレ日本・川崎近海汽船・日本気象協会の3者、気象予報を活用した海運モーダルシフト推進で合意
    ☆日通、「アマゾンギフト券」で春の引越キャンペーンを展開

戻る