16年度の税制改正、車体課税で「環境性能割」導入 労働力不足対策として輸送拠点併設など倉庫向けの新特例盛り込む
16日に決定された2016年度税制改正では、物流総合効率化法に代わるものとして国土交通省が要望していた新たな倉庫の税制特例が認められたほか、環境対策として都市鉄道の旅客列車などを活用した新たな物流システム構築についての特例もほぼ要求どおり認められた。自動車の車体課税見直しについては、17年度に自動車取得時の「環境性能割」を導入することとし、営業用の重量車については、現行の自動車取得税に比べて15年度燃費基準「達成」以上で税率が引き下げられる。
新たな倉庫税制では、これまで物流総合効率化法を通じて支援してきた環境対策に加え、労働力不足などへの対応を盛り込んだものとなっており、倉庫にトラック営業所などの輸送拠点を併設する場合やトラック予約受付システムを導入する場合に、倉庫事業者が保有する倉庫施設と附属施設について、「所得税・法人税の割増償却を5年間10%」「固定資産税等の課税標準を5年間2分の1」の特例が受けられる。
倉庫に輸送拠点を設けることによる営業所~倉庫間の回送距離削減などによって労働力不足対策につなげることが狙い。
また、都市鉄道の旅客列車などを利用した貨物輸送については、貨物用鉄道車両の課税標準を5年間3分の2(中小鉄軌道事業者は5年間5分の3)、貨物搬送装置の課税標準を5年間5分の3とする。
自動車の車体課税については、中・重量車のグリーン化特例を現行制度のまま16年度も延長するとともに、以前より「消費税率10%引き上げ時に廃止する」としていた自動車取得税に代わり、17年度に「環境性能割」を導入する。
「環境性能割」は、新車・中古車の購入の際に、自動車税に上乗せするもので、営業用重量車の場合、15年度燃費基準「達成」では現行の自動車取得税で1.2%となっている税率が1%に引き下げられる。同様に、15年度燃費基準「+5%達成」では0.8%が0.5%に、「+10%達成」では0.4%が0%にそれぞれ引き下げられる。「+15%達成」(0%)と「未達成」(2%)については現行のまま。
このほか、JR貨物が取得する機関車・コンテナ貨車の固定資産税の特例措置を2年間延長することなどが盛り込まれている。