15年度の賃金等実態調査 年齢格差依然大きく賃金総額はやや減額 運輸労連
運輸労連(難波淳介委員長)はこのほど、2015年度賃金・労働条件実態調査報告書をまとめた。春闘に取り組む各単組の基礎資料とするため毎年度まとめているもので、本年度は例年より早い時期の公表となっている。本年度は対象組合・人員が増加しており、単純な比較は難しいものの、それらを踏まえた上で前年度調査と比較すると、年間賃金は減少、年間総労働時間は増加、平均年齢は上昇した。厚生労働省の調査でみても、産業全体との平均年齢格差は依然大きく、ドライバーの高齢化に歯止めがかからない厳しい実態を反映している。
報告書は今年6月の調査結果をまとめたもの。本年度は152組合・9万4807人を対象としており、前年度より15組合・3169人増加した。
月額賃金の加重平均は前年度比4843円減の33万9310円で、3年連続の減額。内訳は、所定内賃金が前年度と比較して397円、仕事給が708円、所定外が3738円、それぞれ減額している。
14年の年間賃金は537万3913円の1万7998円減。
厚生労働省の「2014年賃金構造基本統計調査」による全産業平均(年齢42.1歳、勤続12.1年、月間総労働時間177時間)と比較すると、運輸労連は所定内賃金で約9万円下回るが、総額では約1万5千円上回っており、従来同様の傾向がみてとれる。
総労働時間は208.4時間で、前年度より0.9時間増加しているものの、近年のピークだった06年と比較すると12.5時間の減少となる。
一方で、平均年齢(加重)は0.2歳増の43.0歳となった。厚生労働省の賃金構造基本統計調査でみても、産業全体の平均年齢が42.1歳であるのに対し、道路貨物運送業は45.0歳となっており、その差は2.9歳に達している。
前年度の差は3.2歳だったことから、やや改善をみせたものの依然格差は大きく、04年当時の差が1.0歳(当時の道路貨物運送業の平均年齢は41.7歳)だったことからみても、長期的にみて平均年齢の格差は拡大している。
このため運輸労連では「ドライバーの平均年齢の上昇スピードは産業全体より速まっている」として、「『人財』確保のためにも、労働諸条件の改善と格差是正に向けて、より積極的に取り組まなければならない」と警鐘を鳴らし、◎年間所得の引き上げ◎賃金制度の確立・改善◎企業内最低賃金協定の締結◎65歳までの雇用確保◎総労働時間の短縮と時間外割増率の引き上げ―などの必要性を訴えている。