物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2015年11月16日付 2587号

大口・多頻度割引50%の継続など業界の要望実現へ、自民・公明議連決議  全ト協と政治連盟

要望書を提出(左から小幡、坂本、星野、細田、北側の各氏)

 全日本トラック協会(星野良三会長)と全日本トラック事業政治連盟(坂本克己会長)は11日、東京都千代田区の憲政記念館で「地域社会と国民生活を守るため平成27年度トラック業界の要望を実現する会」を開催した。

 自民党トラック輸送振興議員連盟、公明党トラック問題議員懇話会の衆参議員約150人と、全国から参集したトラック運送事業者約150人の計約300人が一堂に会する中、来年度予算、税制改正に関し最重点要望として
①高速道路料金における大口・多頻度割引最大50%の継続
②軽油引取税を含む自動車関係諸税の軽減
③自動車税における環境性能課税(環境性能割)の軽減―の実現方を強く求めた。
これを受けて両議連は要望①②に加え、準中型免許の早期確実な実施―を盛り込んだ決議を表明した。

 実現する会は午後2時開会。冒頭、星野全ト協会長が主催者あいさつし、10月の全国事業者大会で要望事項を決議したとして、トラック運送事業が国民生活と経済のライフラインとしての機能を維持していくため、ぜひとも予算、税制改正に反映させていただきたいと要請した。
 この後来賓あいさつした細田博之自民党トラック議連会長は、これまで財務当局等に働きかけ高速道路割引など対応してきたが、現在原油価格が大幅に下がってきている中で油断できない状況にあることを指摘。皆さんとともに闘っていきたいと述べた。
 次いであいさつした北側一雄公明党トラック議員懇会長は、日本経済を土台で支えているのがトラック事業者であるとし、中小零細事業者がほとんどで燃料価格が上がっても容易に転嫁できない状況は十二分に承知しているとして、全力で要望がかなうよう頑張っていきたいと述べた。
 山本順三国土交通副大臣、三ッ林裕巳厚生労働大臣政務官のあいさつを経て、星野会長、坂本会長、全ト協税制・交付金委員長の小幡鋹伸副会長の3氏から細田、北側両会長に要望書を提出。

 この後、全ト協から要望事項について説明。まず小幡副会長が、高速道路の利用は輸送時間の短縮、定時性の確保、ドライバーの拘束時間等労務負担の軽減、一般道における交通事故の削減や環境改善に大きな効果をもたらし、効率的な輸送が求められる中で労働時間の短縮を図るためには高速道路を最大限利用することが不可欠であるとして、大口・多頻度割引最大50%の来年度以降の継続を求めた。
 次いで伊藤昭人副会長は、高速道路の暫定2車線の4車線化への早急な整備、サービス・パーキングエリア、道の駅での大型車駐車スペースの早急な整備・拡充、ETC2.0の普及促進を要望。

 また嶋田康子副会長は、軽油引取税は一般財源化され、「税負担の公平」の原則に著しく反していると指摘。長時間労働、低賃金が過度の運転者不足の一因になっているなどとして、軽油引取税を含めた自動車関係諸税の軽減措置を求めた。
 最後に三浦文雄副会長は自動車取得時の課税として検討されている環境性能課税の制度設計に当たって営自格差はじめ、営業用トラックの負担軽減を要望した。
 木村太郎自民党トラック議連幹事長が両議連連名の決議を読み上げた後、坂本会長の発声により全員で要望実現に向けたシュプレヒコールを行い2時40分閉会した。

東松山SRCが竣工、最大3時間のリードタイムを短縮し大幅な省人化も実現  佐川急便

小物ソータの「切出し整列機」

 佐川急便(荒木秀夫社長)は10日、埼玉県東松山市の「SGリアルティ東松山」内に、リードタイムの短縮と大幅な省人化を実現した新たなタイプの施設「東松山SRC」を開設、メディア向け内覧会を開催した。

 「SGリアルティ東松山」は東松山市坂東山1に所在。敷地面積5万3091平方メートル、建物が鉄骨造3階建て延べ床面積7万7494平方メートルの規模。流通センターとしては埼玉県内で同社最大級となる。
 「東松山SRC」は同施設の全部を占めており、1階部分は80バースを備え、佐川急便の中継センター(幹線運行車の拠点)として運用、2階の一部には佐川急便の東松山店が入居する。2階の残りスペース約1万2870平方メートルと3階の全スペース約1万7820平方メートルには各テナントが入居する。稼働は今月24日を予定し、すでにアパレルメーカー・卸などを中心に約70%のスペースが成約済みという。

 テナントスペースに荷物投入口を設けているため、各テナントは24時間365日佐川急便の幹線輸送系に直接アクセスできる点が特徴で、同社ではこれにより、最大3時間のリードタイム短縮が図られるとしている。
 また省スペースを意識したスパイラルシュートコンベヤの採用により、一般(1時間当たり最大仕分能力1万7千個)・小物(同9千個)・粗小物(同1万個)・不定形(同6千個)の四つのソータを設置し、同社最大となる1時間当たり最大4万2千個の荷物仕分を可能とした。1施設内の4ソータ設置は同社初の試み。
 小物や粗小物ソータの荷物投入部には、自動的に荷物を分離・整列させる装置を設置し、一度にまとめて荷物を投入できるようにしたほか、小物用空コンテナ供給と実入りコンテナ搬出を自動化するなど省力化も最大限追求しており、同社の従来型施設と比較して約40%に当たる、1時間当たり80人での運用を可能とした。

 このほか関越自動車道と圏央道が交差する好立地を生かし、東北方面や関西方面への物流中継拠点として輸送品質向上に寄与させていく考え。
 内覧会に出席した荒木社長は「当施設はグループ横断的な営業チーム『GOAL』により得られた顧客ニーズを反映させ、北関東エリアの輸送時間短縮と効率化・品質向上を狙いに開発した施設。立地的な利点に加え、中継センターとの併設によるリードタイム短縮で他社との差別化を実現していく」と述べた。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集、日本通運関西警送支店が警送年末防犯訓練大会開催
    来賓を迎え管内の隊員230人が参加
    ☆四文字『過積載の議論「本末転倒」』
    ☆道『国際化に至る道半世紀』(12)

  • ☆東ト協、事故防止大会を開催 外部発信型へ内容変更し体験型イベントも展開
    ☆日通、中国~欧州間を結ぶクロスボーダー鉄道輸送サービス開始
    ☆運輸労連、年末一時金闘争 大手組合8単組で妥結
    ☆日通、カンボジア発複合混載のサービス拡充 大阪向けの取り扱いを開始
    ☆神奈川ト協、急ブレーキ多発箇所の研究報告書を公開 必要に応じて関係機関へ改善を提言へ
    ☆KWE、石崎社長が決算会見 同社単体での営業利益率3%台獲得へ意欲示す
    ☆全ト協・日貨協連、10月のWebKIT稼働状況まとめ、貨物情報は9.1%増加し6ヵ月連続前年水準上回る
    ☆日通、フォークリフト安全運転技能研修をミャンマーで実施
    ☆陸災防、第51回労災防止大会開催 安全衛生活動の積極的な推進誓う
    ☆トナミHD、綿貫社長が四半期連結決算の概要説明 利益面は順調に推移
    ☆自民党倉庫議連、総会にて税制特例措置などの要望を日倉協 日冷倉協からヒアリング
    ☆全ト協・日貨協連、WebKITの10月成約運賃指数まとめ 運賃指数は高い状態を維持
    ☆日貨協連、WebKIT代表者研修・交流会を開催 人手不足時代のWebKIT活用法探る
    ☆日貨協連、BCP講習会を開催
    ☆トナミ運輸のお歳暮ギフト、北陸3県の旬の味
    ☆各社の第2四半期決算

今週のユソー編集室

  • ▼11月5日は「津波防災の日」だ。東日本大震災のあった2011年の6月に、津波から国民の生命を守ることを目的に制定された「津波対策の推進に関する法律」で定められている。
    ▼11月5日は江戸時代の安政南海地震の発災日であり、津波が襲来する前に庄屋が収穫したばかりの稲束に火を放ち、村人を高台に避難させたという、和歌山県での史実を元に作られた「稲むらの火」という物語にちなんだものだ。
    ▼内閣府では「津波防災の日」の周知を図るために、人気のご当地キャラクターを中心とした「津波防災ひろめ隊」を結成したり、安倍総理らが専門家と津波防災を語るトークイベントを行うなど、さまざまな取り組みを行っている。
    ▼当然ながら各地で自治体が中心となって防災訓練も実施されており、物流業界でも佐川急便が全国46の営業所で避難訓練を実施した。東日本大震災の二の舞を演じることのないよう、次なる震災にしっかり備えたい。

戻る