「未来を創る」物流の構築へ-収益性ある物流確立等三つの柱への取り組み提示し、その重要性を強調 経団連
日本経済団体連合会(榊原定征会長)は20日、『企業競争力強化と豊かな生活を支える物流のあり方~官民が連携して、「未来を創る」物流を構築する~』と題する政策提言を発表した。
物流業界が官民連携で課題克服や新しい産業構造への適切・迅速な対応をとらなければ、わが国産業全体の競争力が弱体化する恐れがあると物流の重要性を強調。
その上で時代の変化への対応のみならず、自らが広く社会に提案していく革新力を獲得していくために、官民が連携して「未来を創る」物流を目指す必要があるとして、①官民一体で取り組む基盤としての物流の再構築②収益性のある物流の確立③産業構造の高度化を支える物流の変革―に取り組まなければならないと提言している。
物流の直面する課題については、官民連携での時代変化への対応の必要性を指摘。特に業界の喫緊の課題である担い手の確保・育成には、サプライチェーン全体として各主体連携の下、省人化・省力化による作業負担の軽減が不可欠であるとしている。
その上で「未来を創る」物流を目指すべきとして、三つの柱に取り組むことが重要とした。
その一つ「官民一体で取り組む競争基盤としての物流の再構築」については荷主企業と物流事業者が一体となって関連する事業の将来ビジョンを共有し、真の物流パートナーとして「選ばれる荷主」「選ばれる物流事業者」となることが重要であるとし、各社単独での取り組みが困難な各輸送モードの結節点強化にも官民連携しての重点的な取り組みが求められるとしている。
そして行政が主体となって取り組むべきものとして、企業の競争力強化に役立つ社会資本整備を挙げ、港湾、道路、空港、街づくりなどについて整備の方向を提示。またセキュリティと物流効率化の両立に向けた取り組みの強化や人材確保・育成策の拡充を挙げている。
一方、企業間・業界間の連携によって取り組むべきものとして、モーダルシフトについて輸送障害時における万全の対策の確保など官民の連携による継続的な環境整備が不可欠とし、共同物流についてはパートナー企業を見つけられるような取り組みの展開、コンテナラウンドユースについてはインランドデポを活用したコンテナのマッチング率の向上等、循環型一貫パレチゼーションについてはICT(コンピューター等に関連する情報通信技術)を活用した共同利用・共同回収システムのさらなる活用などを挙げている。
そして、「収益性のある物流の確立」と「産業構造の高度化を支える物流への変革」の二つの柱については、労働環境のさらなる改善による担い手の継続的な確保やサプライチェーン全体で物流情報を共有し顧客価値の最大化やコストの最小化等全体最適の実現を目指すことが重要としている。
「収益性のある物流」の実現には、産業界を挙げた取り組みを通じて物流事業における対価の適正収受を前提とした適切な競争環境の整備が必要であるとして、契約書面化の徹底・遵守、輸送・付帯作業区分の明確化などを進めることが重要であるとしている。
またⅠoT(モノのインターネット)・ビッグデータ時代において、物流部門はサプライチェーン全体最適の実現を目指すトータルコーディネーターとしての役割が期待されるとしている。