長時間労働縮減等に向け、8項目の大会決議採択 全ト協が第20回事業者大会
全日本トラック協会(星野良三会長)は1日、石川県金沢市の石川県立音楽堂で全国トラック運送事業者大会を開催した。20回目の記念となる今大会には全国から1400人余の事業者が参加、長時間労働縮減や参入基準の厳格化等規制緩和の見直しなどへの対応を盛り込んだ大会決議を採択するとともに、分科会で交通安全対策と人材確保・育成という業界の重要課題を取り上げ、好事例が紹介された。
全体会議で小林和男北陸信越ブロックトラック協会長あいさつに続きあいさつした星野会長は、トラックの森の植樹を通じ地球温暖化防止、環境保全の意識向上に業界として貢献していきたいとした上で、トラック運送業界はドライバー不足等により、運賃高止まり傾向や軽油価格の低下により利益率の改善が見込まれているとの考えを示した。そして労働基準法改正案の提出を契機に、国土交通省と厚生労働省により、中央と47都道府県の全てにトラック輸送における取引環境労働時間改善協議会が設置され、ドライバーの長時間労働削減への取り組みが開始されたとして、手待ち時間の削減方策や附帯業務の有償化方策等を実現すべく、荷主の協力を得ながらトラック協会の総力を挙げて取り組んでいきたいとした。
一方、8月には自民党トラック議連幹部会で大口多頻度割引50%の高速道路料金の負担軽減や長時間労働抑制のための諸対策に係る補助制度の充実について業界が直面する諸課題について要望を行ったとして、年末にかけてさらに活動を強化していきたいと述べた。
また豪雨によって堤防決壊により各地で甚大な被害が発生、茨城県トラック協会をはじめとするトラック協会は被災地への緊急物資輸送を迅速に行い、ライフラインの確保に当たったことを紹介、最近火山活動が活発化し予断を許さない状況になっているとして、トラック運送業界の緊急輸送体制の拡充が急務となっていると指摘した。
そして最後に、この事業者大会が長時間労働の縮減や高速道路料金、規制緩和見直しなどの諸課題に業界が一丸となって積極的に取り組んでいくために一致結束する絶好の機会であるとして、自らの手で明るい未来を切り開くため、業界の英知と総力の結集をと呼びかけた。
続いて第1「トラック業界の交通安全対策の推進について」と第2「トラック業界の人材確保及び育成について」の2分科会を開催。パネルディスカッション方式で行われ、第1の高柳勝二プロデキューブ代表取締役、第2の小坂真弘日本PMIコンサルティング主席コンサルタントのコーディネートの下に、それぞれ事業者3者が積極的・効果的な自社の取り組みを報告・紹介した。
この後の記念講演会は新聞社主催の「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で34年連続総合1位を獲得している加賀屋の小田禎彦代表取締役相談役が「おもてなしの心で世界をねらう」をテーマに講演。
再開した全体会議では坂池克彦石川県トラック協会青年部会長が大会決議を読み上げ、拍手で採択。決議には次の8項目を掲げた。
◎荷主との協働による長時間労働の縮減
◎高速道路料金における大口・多頻度割引最大50%の恒久化
◎参入基準の厳格化等規制緩和の見直し
◎自動車関係諸税の簡素化・軽減の実現
◎原価管理に基づく適正運賃の収受
◎適正化事業の推進による法令遵守の徹底
◎交通・労災事故の防止および環境・省エネ対策の推進
◎大規模災害時における緊急輸送体制の確立
この後、藤井直樹国土交通省自動車局長、谷本正憲石川県知事が来賓あいさつした。
次回開催地ブロックとして小丸成洋中国トラック協会長があいさつし、来年10月6日に鳥取県米子市での開催を紹介した。
全員でガンバローコールを行って、綿貫勝介富山県トラック協会長のあいさつで閉会した。