トータルSCM獲得へ国内複合・営業利益率3%達成、事業展開の方向性示す 日通・大日向副社長が会見

日本通運の大日向明副社長は10日の記者会見で、国内複合事業の営業利益率3%達成に向け、「トータルSCM」を獲得していく戦略を示した。5月1日付組織改正の狙い、グローバル営業戦略本部の事業展開について要旨次のとおり語った。
〈国内複合事業の営業利益率3%達成こそが使命〉
5月1日付組織改正の狙い、また改正後のワンストップ・アカウント営業の方向性についてお話したいと思います。
グローバル営業戦略本部の最も重要な使命、それは経営計画に掲げる国内複合事業の「営業利益率3%達成」、ここに尽きます。渡邉健二社長は再三にわたり、不退転の決意で当たると表明していますし、これに全精力を投入することは当然のことです。
限界利益管理をはじめ、これまで取り組んできた施策によって、営業利益率は徐々に上向いており、第1四半期は2・3%となっています。
現経営計画の策定に私も携わってきたのですが、当時、国内複合事業の連結売上高を7千億円と見ていく中で、利益率が1%しか見込めない点が問題でした。7千億円を売り上げ、6930億円がコストという事業が果たして成立するのか、アナリスト・投資家への説明責任を含め、極めて具合の悪い状況でして、何とか3%に持っていきたいと、この数値を設定しました。
達成に向けて全精力を投入するのは当然のこととして、少し考えなければならない部分が増えてきています。それはグローバルロジスティクス営業です。この部分を整理する必要があると考えています。
日系企業の海外進出はイコール、マーケットがボーダレスになるということですが、お客さまの海外進出を国内複合事業が「インターナショナルビジネス」と捉えられることができるかということが課題の一つでもありました。
〈国内複合事業展開の方向性〉
国境がなくなり、マーケットがボーダレスになる中で、日本と同じ物流サービスの提供を海外でも望まれるとしたら、最も適合した部門はどこかと言えば、日本で物流を良く知り、お客さまの商品知識があって、ヒューマンチャンネルがある部隊です。
当社の国際関連事業はフレイトフォワーディングを中心としたインターナショナルビジネスを展開し、世界一とは言いませんが、競争優位性・品質の面で優れているという自負を持っています。もし私が依頼する立場であれば間違いなく日本通運を選択します。
一方で、お客さまの海外進出に当たって、海外セクションに取り次げばこと足りるとの考え方は施策として間違っています。最後まで、自分のお客さまの面倒を見ること、求められるニーズを最もわかっているスタッフが対応することが重要です。
国内複合事業に携わってきたスタッフはマーケットの広がりとともに、働く場所が全世界になる、そう考えるべきだと考え、この施策を積極的に推進しています。
〈組織改正の狙いはトータルSCMの獲得〉
次に、今次組織改正の狙いですが、現在のグローバルマーケットに立脚しつつ、トータルSCMの獲得に向け営業を強化していくことです。
グローバル展開されているお客さまに集中的に陸海空、内外の当社の物流サービスを利用いただけるよう取り組んでいきます。
新設の産業マーケティング部は、マーケティングを含めた調査・研究を行い、動向・ニーズをしっかり把握し、営業部門に落とし込んでいく役割を担います。
飲料、医薬品、コスメティックなど、多様な産業分野を想定し、ターゲットがつかめ次第、営業部門につなぎ、適合的な物流サービスを提案していきます。
会見の続きは電子版かコンビニプリントサービスでお読みいただけます。