物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2015年7月13日付 2571号

楽天市場出店事業者に「YES!」を提供、コンビニでの受け取りなど出店事業者の顧客へ利便性提供へ  ヤマトHD

握手する三木谷社長(左)と山内社長(右)

 ヤマトホールディングスの山内雅喜社長と楽天の三木谷浩史会長兼社長は6日、東京都港区のグランドハイアット東京で会見し、ヤマトHDが6月1日に発売した「YES!(Yamato Ec Solutions)」の楽天市場出店事業者への提供を柱とする業務連携強化を発表。これにより、中小をはじめとする出店事業者の業務負担が軽減されるほか、楽天市場での購入商品を全国約2万店舗のコンビニエンスストアで受け取ることが可能になるなど、EC(電子商取引)の利便性向上につながるとしている。

 「YES!」は、ECでの受注管理と配送を基本パッケージに、クレジットカードをはじめとする決済やコンビニ受け取りなどのオプションを組み合わせることができるサービスで、EC市場出店者は初期費用なしで業務負担を軽減できるほか、購入者にも受け取り場所選択肢の多様化などのメリットがある。

 今回の連携強化では、楽天市場出店事業者に「YES!」を提供することで、業務効率化を支援するとともに、全国約2万店舗のコンビニと約4千ヵ所のヤマトグループの拠点で商品の受け取りを可能とし、“受け手側”の利便性も向上する。コンビニでの受け取りは夏ごろから、ヤマト拠点での受け取りは年度内に開始の予定。「YES!」の利用料は送った荷物に対する従量制で東京~名古屋間の60サイズで535円。

 会見で三木谷社長は、日本のEC市場は成長しているものの、流通に占める割合(EC化率)は4%と中国や欧米に比べ低いと指摘。EC化率を高めるには、利便性を高めることが不可欠とし、全国約2万店舗のコンビニでの受け取りが可能になるヤマトとの連携強化は利用者にとって大きなメリットになるとの考えを強調した。

 ヤマトHDの山内社長は、現在ヤマトグループでは2019年の創業100周年に向け、「バリューネットワーキング(VNW)構想」の具現化に向けた取り組みを進めているが、「受け手視点」を軸にしたサービスの展開は“ヤマトのDNA”であるとともに、VNW構想実現の大きなポイントであると説明。楽天への「YES!」提供は、購入者の「会社帰りにコンビニで受け取りたい」など多様化するニーズへの対応を可能にするものであるとした。
 また、「YES!」を通じて中小のEC事業者に大手事業者同様の品質とサービスを提供することが可能になると強調するとともに、クール宅急便を活用した冷凍・冷蔵商品への対応を行うことで、取引高の増えている食品関連商品に関する利便性が向上するとした。

カンボジア発日本向け”積み替えなし”の複合混載サービス開始  日本通運

 日本通運は9日、コンテナ1本に満たないカンボジア発日本向け貨物を運ぶ複合輸送サービス「NEXSAO(ネックスサオ)―CAMBODIA(カンボジア)SAT(サット)」を開始した。クロスボーダー陸路一貫輸送により、積替時のダメージリスクを低減すると同時に、これまでの混載サービスに比べ輸送日数を3日短縮したもの。

 特徴を次のとおりあげている。◎プノンペン~ホーチミン間は自社トラックによるクロスボーダー一貫輸送=積替なしで貨物のダメージリスクを低減し、海上輸送に比べリードタイムを3日短縮◎運賃は航空混載便の約15分の1に◎毎週1回プノンペン木曜日預かり(CFS―CUT)、東京翌々週火曜(12日後)に引き取り(リリース)可能。

 これまでプノンペン~東京間海上混載輸送では、ホーチミン経由とシンガポール経由があり、シンガポール港経由の場合、同港で海上コンテナをいったん開けて、全ての荷物を積み替える作業が必要だった。今回、「ダブルライセンス」(カンボジア~ベトナム両国を同一車両で通行できる許可)取得企業である同社の強みを生かし、積替作業なしの陸海一貫輸送により、海上輸送より早く、航空輸送よりもリーズナブルなサービスを実現した。

 プノンペン発日本向け複合一貫輸送は、昨年4月からコンテナ1本単位でサービスを開始し、アパレル産業を中心に好調で、引き続き、大阪向けに同様の複合一貫混載サービスを予定しているほか、欧米など日本以外の仕向地へのサービス拡充も検討している。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウオッチ『マレーシアの貿易と物流』
    ☆四文字『管理と技術が「物流領域」』
    ☆道『国際化に至る道半世紀』(4)

  • ☆日通、北海道~東京~大阪航路の運航で栗林商船と提携合意
    ☆ヤマト運輸が徳島県・アマゾンと大規模災害時の支援物資輸送で協定
    ☆物流連、モーダルシフト大賞の募集開始
    ☆全ト協・日貨協連、6月WebKIT成約運賃指数は同月で過去最高
    ☆東京都、貨物輸送評価制度で229社に”星”
    ☆日通東京輸送協組、マイナンバー制度などテーマに研修会
    ☆日立物流、8月に千葉県柏市内にニューバランス向けの物流センター稼働
    ☆引越専門協組連、150人が参加し全国大会開催
    ☆日通、上海発東京向けの海上混載高速輸送サービス発売
    ☆トナミ運輸バドミントン部、全日本実業団選手権で優勝
    ☆セイノーHD、朝日大学とコラボで「柿のお茶会」など通販向けの新商品発表
    ☆国交省、共同輸配送マッチングシステム60社が参加し3ヵ月の試験運用へ

今週のユソー編集室

  • ▼貨物か旅客かを問わず、およそ運送事業を営む事業者の中で「安全第一」を掲げていない者はいないだろう。今年も各社が「運輸安全マネジメント」に関する情報公開を進めている。
    ▼運輸安全マネジメント制度は、事業者が自主的な取り組みにより、経営トップから現場まで一丸となって安全管理体制を構築・改善することなどを目的に、2006年10月からスタートした国の制度だ。
    ▼処分の性格を持つ保安監査と異なり、国交省が事業者の取り組みを評価・後押しする点が特徴となっており、丸8年を迎えた昨年9月末までに6276回の評価が行われた。このうち旅客まで含めた自動車運送事業者への評価は825回実施されている。
    ▼各社の情報を見ると、いずれも力を入れた取り組みを展開している様子がうかがえる。交通政策基本計画では同制度について一層の充実強化を図るとしており、情報公開まで含め各社のさらなる取り組みが求められている。

戻る