楽天市場出店事業者に「YES!」を提供、コンビニでの受け取りなど出店事業者の顧客へ利便性提供へ ヤマトHD
ヤマトホールディングスの山内雅喜社長と楽天の三木谷浩史会長兼社長は6日、東京都港区のグランドハイアット東京で会見し、ヤマトHDが6月1日に発売した「YES!(Yamato Ec Solutions)」の楽天市場出店事業者への提供を柱とする業務連携強化を発表。これにより、中小をはじめとする出店事業者の業務負担が軽減されるほか、楽天市場での購入商品を全国約2万店舗のコンビニエンスストアで受け取ることが可能になるなど、EC(電子商取引)の利便性向上につながるとしている。
「YES!」は、ECでの受注管理と配送を基本パッケージに、クレジットカードをはじめとする決済やコンビニ受け取りなどのオプションを組み合わせることができるサービスで、EC市場出店者は初期費用なしで業務負担を軽減できるほか、購入者にも受け取り場所選択肢の多様化などのメリットがある。
今回の連携強化では、楽天市場出店事業者に「YES!」を提供することで、業務効率化を支援するとともに、全国約2万店舗のコンビニと約4千ヵ所のヤマトグループの拠点で商品の受け取りを可能とし、“受け手側”の利便性も向上する。コンビニでの受け取りは夏ごろから、ヤマト拠点での受け取りは年度内に開始の予定。「YES!」の利用料は送った荷物に対する従量制で東京~名古屋間の60サイズで535円。
会見で三木谷社長は、日本のEC市場は成長しているものの、流通に占める割合(EC化率)は4%と中国や欧米に比べ低いと指摘。EC化率を高めるには、利便性を高めることが不可欠とし、全国約2万店舗のコンビニでの受け取りが可能になるヤマトとの連携強化は利用者にとって大きなメリットになるとの考えを強調した。
ヤマトHDの山内社長は、現在ヤマトグループでは2019年の創業100周年に向け、「バリューネットワーキング(VNW)構想」の具現化に向けた取り組みを進めているが、「受け手視点」を軸にしたサービスの展開は“ヤマトのDNA”であるとともに、VNW構想実現の大きなポイントであると説明。楽天への「YES!」提供は、購入者の「会社帰りにコンビニで受け取りたい」など多様化するニーズへの対応を可能にするものであるとした。
また、「YES!」を通じて中小のEC事業者に大手事業者同様の品質とサービスを提供することが可能になると強調するとともに、クール宅急便を活用した冷凍・冷蔵商品への対応を行うことで、取引高の増えている食品関連商品に関する利便性が向上するとした。