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2015年5月25日付 2565号

インタビュー ヤマトホールディングス㈱ 山内雅喜社長
価値を生み出す物流~流通・生活支援でアジアNO.1へ

 ―社長就任の内示はいつごろあったのでしょうか。また、その時の心境は。

 発表は昨年12月18日でしたが、内示はその2日前にいただきました。正直なところ、少し驚きました。木川眞前社長もヤマトホールディングスの社長に就任して4年間でしたし、会社も2019年の創業100周年に向けて取り組みを進めている最中でしたから、まだ続投するのではないかと考えていました。私もヤマト運輸の社長を同じく4年間務めてきて、今後の展開についてもさまざまな構想があったので、早いタイミングだと思いました。

 しかし、考えてみれば、15年度は11年度から19年度までを期間とする長期経営計画「DAN―TOTSU経営計画2019」の中間点になりますし、目標達成のための基本的な方向性である「バリュー・ネットワーキング」構想(VNW構想)は、すでに発表しています。今後はVNW構想をより具体化していくプロセスになるので、タイミングとしては今がいいと考えるようになりました。

 木川前社長からは「長期経営計画の目標である『アジアNO1の流通・生活支援ソリューションプロバイダー』を達成するために、より早く施策の実効をあげなければならないので、今のうちにバトンを渡して新体制をスタートさせたい」と言われました。

 ―今回はヤマトHDの社長がヤマト運輸の会長ではなく、取締役を務めていますが、その理由は。

 長期経営計画では、現状40%強となっている連結営業利益に占めるノンデリバリー事業の営業利益の比率について、50%にまで拡大することを目標の一つとして掲げています。宅急便を中心としたデリバリー事業はもちろん成長させていきますが、それ以上にノンデリバリー事業の成長を加速させていく必要があります。今回の体制が従来と異なるのは、ヤマトHDとしてノンデリバリー事業の成長にこれまで以上に力を入れていくため、ということになります。

インタビューの続きは電子版かコンビニプリントサービスでお読みいただけます。

トラック運転者の労働時間短縮へ取引環境改善目指す  国交省が第1回中央協議会

 国土交通省は20日、東京都千代田区の同省で、「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」の第1回会合を開催。常態化しているトラック運転者の長時間労働の大きな要因に挙げられる荷主との取引慣行の改善に向け、荷主、トラック事業者、労働組合、国土交通省、厚生労働省、経済産業省などの関係者がガイドライン策定や助成事業実施に向けた4ヵ年計画の議論・検討をスタートさせた。

 国交省では2008年に「トラック輸送適正取引推進パートナーシップ会議」を設置し、中央と地方でトラック事業者・荷主を交えてトラック運送業での適正取引のあり方を検討してきた。今年2月にはパートナーシップ会議での議論を踏まえ、「トラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドライン」を改訂、独占禁止法・下請法が対象とする取引範囲や報復措置の禁止などの解説に加えて、書面交付や手待ち時間改善の必要性についても盛り込んだ。

 このほど立ち上げられた協議会は、パートナーシップ会議での議論をさらに深化させ、2019年4月に予定されている「中小企業での月60時間を超える時間外労働に関する割増賃金猶予廃止」による中小トラック事業者の経営への影響を抑制することなどを目的としている。

 割増賃金が猶予廃止になると、中小トラック事業者での残業代負担が増えるが、現在の取引環境では荷主都合による手待ち時間など長時間労働抑制がトラック事業者の自助努力では不可能な状況にある。また、長時間労働が、トラック運転者の採用や定着に悪影響を与えており、現在の状況が続けば、今後日本の物流を支えるトラック輸送が円滑に行われなくなるとの指摘もある。

 協議会では、国交省に加え、労働法制を担当する厚労省や経済界を所管する経産省の担当官も参加し、学識経験者、トラック事業者、荷主、労働組合の代表者らがトラックの長時間労働抑制に向けた調査のあり方やガイドラインの内容などについて審議する。

 座長は、野尻俊明流通経済大学長が務め、トラック業界からは、全日本トラック協会の坂本克己、大髙一夫、三浦文雄の各副会長、日本通運の山本慎二業務部長が参加。荷主からは、成瀬茂広トヨタ自動車物流管理部長、鈴木賢司三菱商事ロジスティクス総括部長のほか、日本経済団体連合会や日本機械輸出組合の担当者も加わっている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・2015年度日通グループ全国安全衛生大会
    ☆アベノミクス物流にとって『吉』か『凶』か(38)
    ☆四文字『問題点見直し「労働問題」』
    ☆日中ビジネスワンポイント『上海家族との九州の旅(最終回)』

  • ☆日貨協連、小委が報告書まとめ協組活性化に向けた加入促進策など提言
    ☆全流協トラガールプロジェクトが報告、女性ドライバーが働く環境づくりへ「期待」「機会」「声かけ」の3Kが
    ☆ヤマトHD、ベトナム現法がホーチミンに支店
    ☆丸運、来年4月に丸運国際フレートを吸収合併
    ☆日通、冷蔵・定温の医薬品国際航空輸送商品を新発売
    ☆全ト協、1~3月期景況感は各規模で悪化
    ☆日貨協連、燃料共同購入に係る調査研究委を設置
    ☆人とくるまのテクノロジー展2015開幕
    ☆日本郵便、サービス改善とあわせ8月からゆうパック値上げへ

今週のユソー編集室

  • ▼ある時、知り合いのトラックドライバーの嘆き節を聞いたことがある。「真夏に荷主の工場の庭先で何時間も待たされた揚げ句、重い荷物を手降ろしするときの苦労ときたら…」。
    ▼今、荷役の問題に注目が集まっている。物流連は今年度に一貫パレチゼーションの研究を行う予定としており、全国通運連盟では鉄道コンテナ荷役の実態調査を計画している。いずれも問題の解決に向けた第一歩になればと思う。
    ▼荷役の問題で見逃せないのは、多くの危険な要因が潜んでいるということだ。厚労省が先ごろ発表した統計によると、荷役作業中の死傷災害は増加傾向を見せており、同省では2年前に作成したガイドラインの普及定着を図ろうとしている。
    ▼安全安心な輸送を追求するなら、荷役時の労災事故防止に向けて、交通事故防止と同程度の取り組みが必要なはずだ。ドライバーの高齢化も進む中で、荷役作業の省力化が安全確保にもつながるよう、強く願いたい。

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