コンテナラウンドユース推進へ 経産省が報告書公表
経済産業省は12日、「コンテナラウンドユース推進に関する報告書」を公表した。輸入で使用した海上コンテナから貨物を降ろした後、空の海上コンテナを港に返却することなく輸出に使用したり、インランドデポ等活用し国内輸送で使用するコンテナラウンドユース(CRU)の取り組みを推進するため、CRUの規模拡大や効率的運用方法の普及などに向け、情報発信の強化やマッチング率向上への新たな手法の検討、さらに将来的に全国的な組織体制の構築を目指すことなどの方策を提案している。同報告書は昨年11月に設置した「コンテナラウンドユース推進協議会設立準備委員会」(委員長=増井忠幸東京都市大学名誉教授)がまとめたもの。
輸出入における海上コンテナの陸上輸送では空コンテナ輸送で非効率な状況が生じているが、CRU推進により空コンテナの無駄な輸送をなくすことができる。CO2排出量削減や輸送の効率化・コストの削減、港湾周辺での渋滞緩和さらにトラックドライバー不足への対応などの効果があり、荷主、輸送事業者、自治体等でさまざまな取り組みが行われている。
報告書ではCRUの取り組み推進に当たっての課題を抽出し、CRUの規模拡大、効率的運用方法の普及、既存施設・設備の活用および整備といった解決方策の方向性を整理。その上で、取り組みを推進していくための方策を次のとおり(概要)提案している。
①CRU周知のための催事開催や自治体との連携、2013年に作成された『コンテナラウンドユース推進の手引き』の改訂など「情報発信の強化」
②NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)の活用、輸出入・空コンテナを車両とマッチングできるシステムの開発支援などマッチンング機会を増やすための「情報共有手段の向上」
③海上コンテナの国内貨物輸送への利用推進等「マッチング率向上に向けた新たな手法の検討」
④CRU取り組み拡大にはコンテナの保管・補修機能や洗浄設備を持つICD(インランドコンテナデポ)の活用が重要であり、ICDに関する情報集約と提供、さらにICDの設備整備等といった「ICD情報の集約、機能充実」
そしてCRUの取り組み拡大に向けた支援・推進として、新規に取り組みを行う事業者向けのガイドライン(仮称)策定、負担軽減のための実施に当たっての取り決め事項のモデル作成などを挙げている。さらに輸出・輸入企業がともに複数によるCRU実施の仕組みづくりに向けた検討の積極的推進とともに、将来的に全国的な組織体制構築を目指すべきと提案している。