労基法改正踏まえ経済団体にトラックの長時間労働改善を要請 自民党雇用問題調査会
自民党雇用問題調査会の森英介会長と川崎二郎顧問(ともに衆院議員)は16日、日本経団連、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会の経済3団体に対し、トラック業界の長時間労働改善に行政・荷主・トラック業界が連携して取り組んでいくことなどを柱とする要請を行った。
3日に「労働基準法等の一部改正に関する法律案」が閣議決定され、2019年4月にこれまで猶予されていた中小企業での割増賃金率引き上げが実施される見込みとなったが、トラック業界では、総労働時間が長く荷主都合による手待ち時間など、トラック事業者のみの努力では改善が困難な状況にある。
こうした状況を踏まえ、自民党のトラック輸送振興議員連盟(細田博之会長)は15日、雇用問題調査会に①割増賃金率引き上げ施行までに長時間労働が具体的に改善されるよう行政・トラック業界・荷主が一体となって取り組みを進める②取り組みの実効性をあげるため速やかに協議会設置などの取り組みを開始する③県単位協議会では個別具体的な長時間労働の実態をとらえ、根本的な改善を目的に取り組む④県単位協議会では、経済団体代表のほかに各県の主要な荷主を協議会に加える⑤行政は関係者が協議会やそれに基づく取り組みに参加するよう必要な対応を行う―ことを通じた長時間労働改善への対応に万全を期すよう申し入れを行った。
雇用問題調査会の経済団体への要請はこの申し入れに基づき行われ、森会長と川崎顧問が、日本経団連の鵜浦博夫副会長、日商の中村利雄専務理事、中小企業団体中央会の高橋晴樹専務理事に対して、トラック業界の長時間労働の実態説明や改善に向けた取り組みへの要請を行った。
要請後に会見を行った森会長は、産業界が効率化やコストダウンを進めた結果、輸送業界にしわ寄せがきておりトラック業界での労働時間短縮が難しい状況になっていると説明。一方、トラック業界では労働力不足となっており、労働者の待遇改善が喫緊の課題であるとした上で、「ここ1~2年が労働のあり方を見直すターニングポイント」と語り、改正労基法や同法に基づく各種の取り組みが今後の労働法制や働き方の大きな転換点になるとの考えを強調した。
川崎顧問は、要請結果について、「3団体で立場の違いはあるが、いずれも労働問題への対応を行わなければならない時代背景があるとの認識は得られた。特に経団連は前向きな姿勢だった。トラック業界で働く人のためにも、30年後、50年後もトラックが物流の柱となるよう、今、努力しなければならない」と語った。