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2015年4月13日付 2560号

SGHDとローソンが提携、新会社「SGローソン」設立しマチのあらゆるニーズにワンストップ対応

台車を前に握手する町田(中央)、玉塚(中央左)、野辺(中央右)の各氏 「地域密着のインフラ充実化のため、ローソン店舗の活用はベスト」と語る町田社長(上)・「お客様により近づいていく」と語る玉塚社長(下) 「お客様により近づいていく」と語る玉塚社長「共存共栄のコミュニティを作る」と語る野辺執行役員(上)・オリジナル制服と台車・オリジナル制服と台車(下)

 SGホールディングス(町田公志社長)とローソン(玉塚元一社長)の両社は7日、都内で記者会見を開き、ローソン店舗を起点とした宅配荷物の配送や、各種サービスの拡充に関する業務提携契約を締結したと発表した。

 6月に共同事業会社を立ち上げ、荷物配送の受託やローソン店舗の商品配送、ライフサポートサービスの取り次ぎなど「マチのあらゆるニーズにワンストップで対応する」新業態の確立を目指していく。このほか7月から全国約1万2千のローソン店舗で、佐川急便の荷物を受け取れるサービスを開始する。

 共同事業会社は、社名を「SGローソン㈱」、サービス名称を「マチの暮らしサポート」とし、6月14日に設立の予定。資本金は1億円で、出資比率はローソンが51%、SGホールディングが49%。設立当初は、東京都世田谷区を中心とした直営の約20店舗を対象に、各店舗からおおむね半径500メートル以内の小商圏において、佐川急便の宅配荷物を配送するほか、弁当などの店頭販売商品や「ローソンフレッシュ(食品・日用品等を取り扱う会員制ネット通販)」「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」「成城石井」の商品配送も行う。多機能タブレットを用いた引越などの各種ライフサポートサービスの取り次ぎや、イベントのチケットなどの商品取り寄せサービスも提供し、「Ponta」会員のポイント連携も行っていく予定。

 SGローソンでは「マチの暮らしサポーター」と名付けた配達員を雇用するが、サポーターは主婦やシニア層による短時間勤務も可能とし、地域の雇用ニーズにも柔軟に応えていく考え。原則各店舗に常時1人以上が配属され、オリジナルの制服を着用し、オリジナルの台車を使用して、午前9時から午後6時まで配達業務を行う。代引き商品やサイズの大きい宅配荷物は扱わない。

 既存のローソン店舗が荷物のストックヤードとして機能し、不在持ち戻りの際も店舗から再配達する。店舗が佐川急便などの宅配荷物を取り扱う場合は1個単位で店舗側に手数料が支払われ、店頭商品の配送を委託する際には、逆に店舗側がSGローソンに配送料を支払う仕組み。佐川急便の宅配荷物を配送する際には、利用者側の負担は発生しない。

 両社はすでに昨年11月から都内3店舗で試験を行っており、配送ピークの異なる佐川急便の宅配荷物と各事業者の宅配荷物を組み合わせることで、事業化は可能と判断。ローソングループでは2015年度中に都内の直営約100店舗まで、17年度末までに全国のフランチャイズを含めた約千店舗まで拡大する計画で、14年度に約1300億円に上ったEC流通と宅配の合計取扱高も、17年度には約5千億円まで拡大させたい意向。

 会見にはSGホールディングスの町田社長、ローソンの玉塚社長、SGローソンの社長に就任予定の野辺一也ローソン執行役員ホームコンビニエンス事業本部長が出席。

 玉塚社長は「マチの商店がなくなり世帯も小さくなるなど、消費の動向やマチのニーズは変化している。今回の取り組みは、こうした変化に対応し、佐川急便の宅配荷物を配送することで、お客様により近づいていこうというもの」と取り組みの意図を説明。日本郵便との関係については「日本郵便との取り組みは多面的であり、継続・強化していく。JPローソン店舗がSGローソンを導入する場合もあり得る」と語った。

 町田社長は「宅配荷物の取り扱いが増加し、配達品質の維持向上が急務となっていた。地域に密着した配送インフラ充実化の必要性を以前から強く認識しており、ローソン店舗の活用がベストと判断した。両社の強みを最大限生かすことで、既存サービスのさらなる充実化と、新たな利便性向上を提案していくことが可能になる。腹を決めてビジネスを展開する」と提携の意義を強調する一方で「範囲内の全ての荷物をSGローソンに委託するわけではない。佐川急便の補完的な役割を担ってもらい、一番良い配送方法を選択する」と語り、顧客ニーズを最優先する姿勢を示した。

 野辺執行役員は「狭い商圏で多様なサービスをワンストップで提供していく。マチに必要なサービスをマチの皆さんと一緒に作り上げ、共存共栄のコミュニティを作っていきたい」と抱負を述べた。

高品質経営で営業利益率4%達成へ  トナミHDが新3ヵ年計画発表

 トナミホールディングス(綿貫勝介社長)は8日、今年度から17年度までの3年間を期間とする、新中期経営3ヵ年計画「Leading step up 2017さらなる高品質経営をめざして」を発表した。

 前3ヵ年計画では営業収益力の強化を主眼とする事業構造改革に重点的に取り組み、最終年度である14年度は計画目標の営業利益率3.0%を達成する見込み。新計画では第2ステップとして「お客様や社会からも信頼され、社会的責任を担う企業」を目指し、「事業構造改革を礎として、さらなる業容拡大を実践していく3ヵ年」と位置付け、グループ全体の質・総合力を向上させ、一層の高品質経営による新グループ体制を確立していく内容。

 基本方針は①特積み部門の一層の収益力強化を図る②重点事業基盤の強化を図る③新たな事業戦略の推進による成長を図る④人材育成・採用強化を図る⑤最上級の物流品質をめざす⑥コンプライアンス体制の強化による高品質経営をめざす-の六つを掲げている。

 これらの施策により、営業利益は14年度予想40億円から17年度60億円に拡大し、営業利益率も3.2%から4.3%へと向上させていく。その他の経営数値目標については、左上表のとおり。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流企業各社の入社式でのトップ訓示要旨
     日本通運・渡邉社長
     ヤマトHD・山内社長
     SGHD・栗和田会長
     西濃運輸・大塚社長
     トナミHD・綿貫社長
     日立物流・中谷社長
     第一貨物・武藤社長
     SBSHD・鎌田社長
     近鉄エクスプレス・石崎社長
     丸運・市原社長
    ☆四文字『トラックは?「公共交通」』
    ☆道『米ドルとオイルショック、車社会』(24)

  • ☆日通、53年ぶり大幅組織改正、陸海空ワンストップ体制に
    ☆日本郵便と楽天が提携、ネット通販商品を郵便局で受け取り
    ☆国交省、トラックの長時間労働改善に向けて協議会発足
    ☆ヤマトアジア、東南アジア地域での新たなビジネスモデル開発のため専門のセンター新設
    ☆オランダ日通、ロッテルダム港に日通グループ欧州最大級の拠点開設
    ☆東京都、貨物輸送評価制度の申請は5月7日に受け付け開始
    ☆西濃運輸、東京本社ロジスティクス部内にBC推進課を新設
    ☆日立物流、豪・シドニーに物流センター開設
    ☆SBSロジコム、3PL拡大目指した営業体制の強化が完了
    ☆JR貨物、参加企業拡大イオン専用列車2回目の運転へ
    ☆日通、中国・上海でフォークリフトコンテスト
    ☆国交省、小型無人ヘリなどの物流への応用を研究
    ☆全ト協、3月のWebKIT成約運賃指数は過去3番目の高水準
    ☆運輸労連、交通労連、建交労の春闘妥結一覧

今週のユソー編集室

  • ▼満開の桜のもと、初夏を思わせる陽気から一転、真冬並みの寒さが襲い掛かってきた。新年度早々波乱含みの天候で、今年度もやはり、自然には悩まされそうな雰囲気が漂っている。
    ▼本紙では例年同様、1日に入社式を行った物流企業各社のトップ訓示を、4、5面で掲載している。社会人の先輩として、企業の経営をつかさどる者として、それぞれの思いがこめられた言葉だ。
    ▼内容をみると「高い志を持て」「失敗を恐れるな」「社会の出来事に関心を持て」「コミュニケーションをとれ」などの文言が目にとまる。一人の人間として成長を遂げ、1日も早く会社を支える戦力となるよう願う、強い気持ちが読み取れる。
    ▼近年あいさつで増えてきているような気がするのが「自主性」や「関心」という言葉だ。最近の若者は「ゆとり」世代から「さとり」世代に移行しつつあるとも聞くが、意欲的な社員の育成に向けて、教育担当者にとっても悩みどころかもしれない。

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