SGHDとローソンが提携、新会社「SGローソン」設立しマチのあらゆるニーズにワンストップ対応
SGホールディングス(町田公志社長)とローソン(玉塚元一社長)の両社は7日、都内で記者会見を開き、ローソン店舗を起点とした宅配荷物の配送や、各種サービスの拡充に関する業務提携契約を締結したと発表した。
6月に共同事業会社を立ち上げ、荷物配送の受託やローソン店舗の商品配送、ライフサポートサービスの取り次ぎなど「マチのあらゆるニーズにワンストップで対応する」新業態の確立を目指していく。このほか7月から全国約1万2千のローソン店舗で、佐川急便の荷物を受け取れるサービスを開始する。
共同事業会社は、社名を「SGローソン㈱」、サービス名称を「マチの暮らしサポート」とし、6月14日に設立の予定。資本金は1億円で、出資比率はローソンが51%、SGホールディングが49%。設立当初は、東京都世田谷区を中心とした直営の約20店舗を対象に、各店舗からおおむね半径500メートル以内の小商圏において、佐川急便の宅配荷物を配送するほか、弁当などの店頭販売商品や「ローソンフレッシュ(食品・日用品等を取り扱う会員制ネット通販)」「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」「成城石井」の商品配送も行う。多機能タブレットを用いた引越などの各種ライフサポートサービスの取り次ぎや、イベントのチケットなどの商品取り寄せサービスも提供し、「Ponta」会員のポイント連携も行っていく予定。
SGローソンでは「マチの暮らしサポーター」と名付けた配達員を雇用するが、サポーターは主婦やシニア層による短時間勤務も可能とし、地域の雇用ニーズにも柔軟に応えていく考え。原則各店舗に常時1人以上が配属され、オリジナルの制服を着用し、オリジナルの台車を使用して、午前9時から午後6時まで配達業務を行う。代引き商品やサイズの大きい宅配荷物は扱わない。
既存のローソン店舗が荷物のストックヤードとして機能し、不在持ち戻りの際も店舗から再配達する。店舗が佐川急便などの宅配荷物を取り扱う場合は1個単位で店舗側に手数料が支払われ、店頭商品の配送を委託する際には、逆に店舗側がSGローソンに配送料を支払う仕組み。佐川急便の宅配荷物を配送する際には、利用者側の負担は発生しない。
両社はすでに昨年11月から都内3店舗で試験を行っており、配送ピークの異なる佐川急便の宅配荷物と各事業者の宅配荷物を組み合わせることで、事業化は可能と判断。ローソングループでは2015年度中に都内の直営約100店舗まで、17年度末までに全国のフランチャイズを含めた約千店舗まで拡大する計画で、14年度に約1300億円に上ったEC流通と宅配の合計取扱高も、17年度には約5千億円まで拡大させたい意向。
会見にはSGホールディングスの町田社長、ローソンの玉塚社長、SGローソンの社長に就任予定の野辺一也ローソン執行役員ホームコンビニエンス事業本部長が出席。
玉塚社長は「マチの商店がなくなり世帯も小さくなるなど、消費の動向やマチのニーズは変化している。今回の取り組みは、こうした変化に対応し、佐川急便の宅配荷物を配送することで、お客様により近づいていこうというもの」と取り組みの意図を説明。日本郵便との関係については「日本郵便との取り組みは多面的であり、継続・強化していく。JPローソン店舗がSGローソンを導入する場合もあり得る」と語った。
町田社長は「宅配荷物の取り扱いが増加し、配達品質の維持向上が急務となっていた。地域に密着した配送インフラ充実化の必要性を以前から強く認識しており、ローソン店舗の活用がベストと判断した。両社の強みを最大限生かすことで、既存サービスのさらなる充実化と、新たな利便性向上を提案していくことが可能になる。腹を決めてビジネスを展開する」と提携の意義を強調する一方で「範囲内の全ての荷物をSGローソンに委託するわけではない。佐川急便の補完的な役割を担ってもらい、一番良い配送方法を選択する」と語り、顧客ニーズを最優先する姿勢を示した。
野辺執行役員は「狭い商圏で多様なサービスをワンストップで提供していく。マチに必要なサービスをマチの皆さんと一緒に作り上げ、共存共栄のコミュニティを作っていきたい」と抱負を述べた。