準中型免許への対応でトラック運送業の教育対策強化について議論 国交省
国土交通省は10日、東京都千代田区の同省で「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」の第3回会合を開き、このほど閣議決定された準中型自動車免許創設に関連したトラック運送業での運転者教育対策の強化について議論した。
1月の第2回会合では、現行11項目となっている一般運転者に対する指導・監督項目に「交通事故統計を用いた教育」と「緊急時における適切な対応」を加える案が示されたが、今回さらに、「貨物の特性を理解した運転」と「適切な安全装置の使用方法」を加える方針を固めた。
現行の「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」(告示)では、トラックを運転する場合の心構えやトラックの構造上の特性、貨物の正しい積載方法など11項目について、一般運転者に指導・監督するよう求めているが、準中型自動車免許創設の施行前に運転者教育強化を目的に告示を改正する。また、現行4項目となっている初任運転者に対する指導についても、一般運転者に対するものと同様とし、さらに実車による実技も義務付ける。
今回、指導項目として追加されたもののうち、「適切な安全装置の使用方法」では、ASV(先進安全自動車)技術などについて、過信しないことや適切に使用しないと装置が正常に働かないことなどについて教育するよう求める。
また、指導項目の追加のほか、事業者によって教育が徹底されていない内容を明文化する方針が第2回会合で示されたが、第3回会合では、明文化する項目の候補を提示。「労働時間に係る規定」「事業者に対する行政処分」「荷主等への禁止事項」「危険物を運搬する前の安全確認」「精神面の健康管理」「重大事故を起こした場合の罰則および加害者・被害者心理」などの項目について、明文化を図る方向で検討を進める。
年度内に検討会の取りまとめを公表し、来年度に運行管理者向けマニュアルやドライバー向け教材の策定に着手。2017年とみられる準中型運転免許の施行の半年以上前までに改正告示の公布を目指す。