旧型DPF装着車の代替促進補助を創設、人材確保・育成も 2015年度予算案決まる
政府は14日、総額96兆3420億円の2015年度予算案を閣議決定した。国土交通省の一般会計予算は5兆7887億円で14年度並み。自動車局関係の一般会計は24億900万円で、新規事業として「自動車運送事業での人材の確保・育成への取り組み」や「事業用自動車総合安全情報の分析機能強化による事故の未然防止」が認められたほか、エネルギー対策特別会計(エネ特)を活用した環境省との連携事業として、中小トラック事業者の新長期規制適合車からポスト新長期規制適合車両への代替を促進するための補助制度を新たに盛り込んだ。
自動車局関係では、自動車運送事業などでの人材の確保・育成に向けた取り組みとして新規に8100万円が認められたほか、事業用自動車総合安全情報の分析機能強化に9100万円を計上。
人材の確保・育成については、若年者雇用の先駆的モデルケースの創出やガイドライン作成などを行うとともに、ITを活用した中継輸送実験を行い、不規則な就業形態や長時間労働の解消に向けた検討を行う。安全情報の分析機能強化については、事業用自動車に関して行政が保有する監査・処分履歴や重大事故関連情報などの分析機能を強化した上で、運送事業者やコンサルティング会社、保険会社への情報提供などを通じて事故防止対策の強化を図る。
安全総合対策(予算額10億円)では、14年度同様に、①先進安全自動車(ASV)②過労運転防止のための先進的な取り組みに対する支援③デジタル式運行記録計の導入支援④社内安全教育の実施に対する支援―を実施するが、ASVについてはトラックの対象を、車両総重量「8トン超」から「3.5トン超」に引き下げる。CNG・ハイブリッドトラックなどに補助を行う環境対応車普及促進対策は14年度比約9%減の4億8100万円。
このほか、14年度補正予算で中小トラックの燃料費対策(補正予算関連は2面参照)を実施する。
エネ特活用で旧型車を代替
エネ特を活用した連携事業では、資源エネルギー庁との連携で、「省エネルギー型ロジスティクス等推進事業費補助金」と「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証実験」を、環境省との連携で「物流の低炭素化促進事業」「中小トラック運送業者における低炭素化推進事業」などを継続して実施するが、「省エネルギー型ロジスティクス等推進事業費補助金」では、14年度の内容から一部変更。エコタイヤ導入補助に代わり、中小トラック事業者がポスト新長期規制適合トラックに代替する際に一部経費補助を行う制度を創設する。
これは、新長期規制適合トラックが装着する旧型DPFでは手動燃焼が必要なため運行の燃費改善がほぼ不可能な状況を踏まえ、手動燃焼が不要なポスト新長期規制適合車への移行促進が目的。補助額や対象事業者などについては今後決定する。
自動車局の組織・定員関係は、本省では環境政策課専門官など5人、地方では監査体制強化に向けた運輸支局の運輸企画専門官10人をはじめとする14人が認められ、合計で19人の増員。なお、税制改正要望については、昨年末に決定された15年度税制改正大綱の内容のとおりとなっている。
総合政策局のうち、物流審議官関連では、新規事業である「地域の持続可能な物流ネットワーク構築」や「コンテナラウンドユース促進」「物流資材のリターナブルユース」などを盛り込んだ「物流産業イノベーション推進」に14年度比63%増の4100万円を計上。
地域の持続可能な物流ネットワーク構築では、過疎地での物流事業者とNPOの協働による宅配サービスの維持・改善などの輸送システム構築に向け、全国2~3ヵ所でモデル事業を実施する計画。コンテナラウンドユースについては、国際海上コンテナの陸上輸送での空コンテナの輸送距離削減に向けたコンテナの往復利用促進のための課題検討などを行う。
物流資材のリターナブルユースについては、日中韓の3ヵ国によるワークショップを実施して課題検証を行うとともに、日韓間で実証実験を行う。物流のグリーン化では、モーダルシフト等推進事業に3800万円を計上したほか、環境省との連携によるエネ特活用のモーダルシフト促進施策を73億円の内数で実施する。
また、環境省との連携による新規事業として、国際海上コンテナの鉄道利用促進に向け、40フィート背高コンテナに対応した低床貨車を2両作製し、鉄道輸送の実証実験を行う。実施区間については現段階では未定。