さらなる活躍へ~Women in the Logistics Industry~
先進国の中でも遅れているとされていた、日本における女性の活躍。労働力不足を背景に、今や国を挙げて女性の力に頼る時代がやってきた。物流業界も女性が輝ける産業になれるか否かが問われている。写真は昨年10月、全日本トラック協会ドライバーコンテストの開会式で、選手宣誓する森田泰子選手(全日本トラック協会提供)。
過疎地での共同集配は薄利でも収益必要 国交省の検討会でヤマト運輸が意見
国土交通省は12月22日、東京都千代田区の同省で「地域を支える持続可能な物流システムのあり方に関する検討会」の第2回会合を開き、今年実施予定の青森県深浦町での集配共同化に向けたケーススタディとして、日本郵便、佐川急便、ヤマト運輸の物流各社から現状や課題についてのヒアリングを行った。過疎地での貨物は1個当たりの集配距離が長く、「買い物代行」などの住民サービスとセットで行うことのメリットを指摘する意見が出る一方で、NPOなどに“ラストワンマイル”をゆだねた場合に、物流品質を維持できるかを疑問視する意見も出された。
青森県深浦町は、県内5番目の広さである499平方キロメートルの町域に9691人が暮らし、高齢化率は41%で県内3番目に高齢化が進んでいる。町の商工会ではこれまで、いわゆる“買い物弱者”対策に関する住民アンケートなどの検討を行い、今年1~3月に、岩崎地区の約350世帯を対象に買い物代行(「買い物配達便」)のモデル事業を行うことを決めた。
また、国土交通省では、来年度予算で関連モデル事業の要求を行っており、予算が認められた場合には、深浦町内の高齢者世帯1174世帯を対象に物流事業者が配送や住民の「見守り」を行い、配達料金を行政が負担するモデル事業の実施を想定している。
第2回検討会では、モデル事業の実施に先駆けて、深浦町で物流事業を行う日本郵便、佐川急便、ヤマト運輸にヒアリングを実施。
日本郵便は、ゆうパックを共同配送の対象にすると、信書などユニバーサルサービスの効率が低下すると指摘。佐川急便は、五所川原営業所からの長距離輸送で深浦町内の集配を行っており、時間帯指定を受け付けないなどの制約を設けていると説明。その上で、NPOに配送を委託した場合に、“長尺物”や“大ロット”に一定の品質で対応できるかを検討する必要があるとした。
ヤマト運輸は、JR五能線や路線バスを活用した横持ち(貨客混載)を提案した上で、共同配送には住民の理解や商品規格の統一が必要であるとした。また、補助金に頼らず、「薄利でも収益が出る自立したビジネスモデル」の構築が不可欠であるとした。