引越優良事業者制度、第1回認定は301者に 全ト協
全日本トラック協会(星野良三会長)は18日、第1回引越優良認定事業者を発表。申請のあった324者1763事業所のうち301者1739事業所を認定した。引越サービス利用者に情報提供を行うことで優良事業者の“見える化”や苦情・トラブルの防止を図るとともに、引越業界全体のコンプライアンス向上にも大きく寄与することが期待される引越優良認定制度が約5年の検討を経てスタートした。
引越サービスは、インターネットの進展などに伴い、価格の単純比較で事業者選定を行う利用者が増え、その結果、サービス内容への苦情などのトラブルが増加している。こうした状況を受け、全ト協では、消費者に安全・安心な引越サービスを行う事業者の情報を提供する優良認定制度の検討を行い、今年7月に事業者からの申請を受け付けた。
優良認定制度は①安全・安心な事業者の見える化②引越業界全体のコンプライアンス向上③引越における苦情やトラブルの防止―を柱とし、申請事業者には、引越を行う全営業所に引越管理者が1人以上在籍していることや安全性優良事業所(Gマーク)であることなどを求めている。優良事業所の認定有効期間は3年間で、その後は更新審査を行う予定。
18日に東京都新宿区の全日本トラック総合会館で開かれた発表式では冒頭、齋藤直也常務理事が制度の概要などを説明。続いて、星野良三会長が「300を超える事業者が認定され喜ばしいが、責任の重大さも感じる。消費者が人生の節目で利用する引越サービスで不快な思いや物的損害を受けることが少しでも減るよう期待したい」とあいさつした。
星野会長あいさつの後、認定事業者名の記されたボードの除幕式が行われた。来賓からは、消費者庁の川口康裕次長、国土交通省の田端浩自動車局長、全国消費者生活相談員協会の渡邊千穂理事があいさつ。
川口次長は、「事業者団体が自主基準を設けるのは有意義なことで、消費者庁でも認知向上に努めたい」と述べ、田端局長は、「トラック事業の中でも消費者に近いところでサービスを行う引越のクオリティを高めることはトラックの評価向上にもつながる」とした。渡邊理事は、「全ト協に相談窓口を設け、トラブルへの対応を継続的に行うことで安心して引越できる。制度を発展させていい業界になるよう祈る」とあいさつした。
式の最後には、全ト協の鈴木一末引越部会長が、1997年に当時の運輸省で引越の評価制度の必要性などが盛り込まれた報告書が取りまとめられていたことを説明した上で、「宿題の提出に約15年かかったが、何とかきょう301事業者の認定にごぎつけた。認定はキャッチフレーズの“当たり前をきちんと。”を守っていれば受けられる。制度の認知はこれからだが、消費者が安心できるサービスの提供に向けて、“一から”取り組みたい」と述べた。