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2014年12月8日付 2545号

燃料高騰分の荷主への転嫁、収受できないが3割も  全ト協の元請け事業者調査結果

 全日本トラック協会は1日、元請け事業者、物流子会社等を対象に6~7月に実施した「燃料価格高騰分の転嫁に関する実態調査」結果を公表した。217社から回答を得たが、真荷主から燃料サーチャージまたは燃料高騰分の運賃を全く収受できていない元請け事業者が約3割にのぼった。

 元請け事業者や物流子会社は、燃料価格高騰分を運賃等に転嫁する上で荷主と協力会社(下請け事業者)との取引の両面で重要な役割を果たすが、調査結果によると真荷主から燃料サーチャージまたは燃料高騰分の運賃を「一部でも収受できている」事業者は72.4%あるものの、「全く収受できていない」事業者は27.6%となっている。

 また荷主に対し燃料高騰分について「燃料サーチャージの導入」を要請した事業者は32.3%、「運賃料金の値上げ」を要請した事業者は68.7%で、運賃料金値上げが約7割を占めた。一部でも収受できている事業者のうち、収受できている真荷主の割合が3割未満とする事業者が58.6%と過半を占め、3~5割15.3%、5~7割11.5%、7~10割12.7%。また必要と考える額のうち実際に収受できている割合は、3割未満とする事業者が53.5%と半数以上を占め、3~5割19.7%、5~7割15.3%、7~10割9.6%と続いている。
 転嫁要請は行っているものの、取引に占める割合や収受する額を増やすことが必要な状況となっている。

 荷主から一部でも収受できている事業者の場合、収受できた要因として「運送会社の実情、原価等をきちんと理解し、厳しい状況を理解されているため」が81.5%、「社会情勢の変化(全体的に運賃が値上げ傾向にあるなど)によるもの」58.0%、「長年の取引による信頼関係があるため」52.2%。逆に収受できなかった要因としては、「真荷主が自分の取引先(着荷主)から燃料高騰のコスト増分の転嫁を受けていないため」52.2%、「真荷主の経営が厳しいため」44.6%、「一層の自助努力が求められるため」33.1%。

 一方、荷主から全く収受できていない事業者が収受できなかった要因としては、「一層の自助努力が求められるため」45.0%、「真荷主が自分の取引先(着荷主)から燃料高騰のコスト増分の転嫁を受けていないため」31.7%、「真荷主の経営状況が厳しいため」28.3%、「燃料サーチャージの仕組みが複雑かつ手間暇もかかるため」25.0%。

 下請け事業者への対応については、荷主から収受できている元請け事業者の場合、下請事業者から「運賃の値上げ要請があった」71.3%、「燃料サーチャージの導入要請があった」26.8%で、「いずれもない」が20.4%。燃料高騰分を支払っていない理由としては、協力会社(下請け事業者)から要請を受けていないが51.4%と半数を超える。

 一方、荷主から収受できていない元請け事業者の場合、下請け事業者から「運賃の値上げ要請があった」28.3%、「燃料サーチャージの導入要請があった」6.7%、そして「いずれもない」が65.0%に及んでいる。下請け事業者に燃料高騰分を、「支払っていない」のは88.3%と約9割。

日通NECロジスティクスを子会社化  日本通運

 日本通運(渡邉健二社長)は1日、日通NECロジスティクス(吉村直樹社長)の株式を追加取得し、子会社化した。2013年3月にNECと合意した戦略的業務提携に基づき、NECから日通NECロジスティクスの株式1万5200株(発行済み株式総数76万株の2%)を取得したもので、所有比率は日通が49%から51%、NECが51%から49%となった。

 日通では、日通NECロジスティクスはICT(インフォメーション・アンド・コミュニケーションテクノロジー)業界での高度な専門物流ノウハウを有し、両社の強みを融合することでICT分野におけるグローバル物流プラットフォームの構築を推し進めるとしている。

 日通NECロジスティクスは、神奈川県川崎市中原区小杉町に所在、資本金は3億8千万円、2014年3月期売上高614億円。設立は1972年2月。従業員数は2265人。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウオッチ『真の内需拡大を目指す「中国国内流通発展施策」~APECでの習近平主席発言背景~』
    ☆グリーン経営認証取得事業者の取り組み(8)『㈱石原運輸』
    ☆四文字『監督から誘導へ「方向転換」』
    ☆道『米ドルとオイルショック、車社会』(17)
    ☆人物ウィークリー、国土交通省関東運輸局・高橋国明交通環境部長

  • ☆交政審自動車行政小委、貨客混載など検討深化へ3つのワーキンググループ設置
    ☆日通の10月分国際事業本部実績、国内事業本部扱いの輸出が2桁増に
    ☆高島屋、ヤマト運輸と協業して購入品の空港までの配送サービス開始
    ☆安全運行サポーター協議会が設立総会、次世代運行管理機器の標準化へ民間関係者で検討
    ☆国交省、総合安全プラン2009の中間見直しを公表
    ☆全ト協の物流動向調査結果、運転者不足は7割に
    ☆ヤマト福祉財団、第15回小倉昌男賞の授与式開催
    ☆JR貨物、モーダルシフト推進へ12月に最多の103本運転へ
    ☆東ト協出版部会、出版関係者懇談会開き輸送の効率化訴える
    ☆ヤマトオートワークス、車両整備会員向けの定期訪問サービスを開始
    ☆SBSフレック、来年1月1日付で地域子会社を合併
    ☆佐川フィナンシャル、e―コレクトのクレジットカード利用促進へキャンペーン展開
    ☆9都県市首脳会議が太田国交大臣に要望、3環状道路整備にあわせシームレスな料金体系を
    ☆国交省が第4回物流問題調査検討会開く、労働力不対策でアクションプラン骨子案を提示
    ☆国交省が輸送安全規則を一部改定、車両総重量7トン以上のトラックに運行記録計装着を義務化

今週のユソー編集室

  • ▼第47回衆議院議員総選挙が始まった。候補者は投票前日の12月13日まで、あるいは街頭に立ち、あるいは選挙カーに乗り、声をからして自身への支援を呼びかける。
    ▼各党の政権公約を見てみると、自動車関係諸税の見直しや燃油高騰への対策はおおむねどの党も共通して掲げており、道路や港湾などインフラの整備促進をうたう党もある。
    ▼その反面、物流そのものに関する記述に注目すると「トラック・バス事業における規制緩和の抜本的な見直し」や「モーダルシフトの促進」を目指す“優秀な”党もあることはあるのだが、総じてあまり目立たないのが残念だ。
    ▼一方で、物流をはじめ各産業が直面している労働力不足への対応策についても、あまり記述がない。即効性のある政策がないということなのか、この問題の深刻さを物語っているかのようだ。各党に共通する女性の就労支援や子育て支援を通じて、問題を解消していく道しかない。

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