燃料高騰分の荷主への転嫁、収受できないが3割も 全ト協の元請け事業者調査結果
全日本トラック協会は1日、元請け事業者、物流子会社等を対象に6~7月に実施した「燃料価格高騰分の転嫁に関する実態調査」結果を公表した。217社から回答を得たが、真荷主から燃料サーチャージまたは燃料高騰分の運賃を全く収受できていない元請け事業者が約3割にのぼった。
元請け事業者や物流子会社は、燃料価格高騰分を運賃等に転嫁する上で荷主と協力会社(下請け事業者)との取引の両面で重要な役割を果たすが、調査結果によると真荷主から燃料サーチャージまたは燃料高騰分の運賃を「一部でも収受できている」事業者は72.4%あるものの、「全く収受できていない」事業者は27.6%となっている。
また荷主に対し燃料高騰分について「燃料サーチャージの導入」を要請した事業者は32.3%、「運賃料金の値上げ」を要請した事業者は68.7%で、運賃料金値上げが約7割を占めた。一部でも収受できている事業者のうち、収受できている真荷主の割合が3割未満とする事業者が58.6%と過半を占め、3~5割15.3%、5~7割11.5%、7~10割12.7%。また必要と考える額のうち実際に収受できている割合は、3割未満とする事業者が53.5%と半数以上を占め、3~5割19.7%、5~7割15.3%、7~10割9.6%と続いている。
転嫁要請は行っているものの、取引に占める割合や収受する額を増やすことが必要な状況となっている。
荷主から一部でも収受できている事業者の場合、収受できた要因として「運送会社の実情、原価等をきちんと理解し、厳しい状況を理解されているため」が81.5%、「社会情勢の変化(全体的に運賃が値上げ傾向にあるなど)によるもの」58.0%、「長年の取引による信頼関係があるため」52.2%。逆に収受できなかった要因としては、「真荷主が自分の取引先(着荷主)から燃料高騰のコスト増分の転嫁を受けていないため」52.2%、「真荷主の経営が厳しいため」44.6%、「一層の自助努力が求められるため」33.1%。
一方、荷主から全く収受できていない事業者が収受できなかった要因としては、「一層の自助努力が求められるため」45.0%、「真荷主が自分の取引先(着荷主)から燃料高騰のコスト増分の転嫁を受けていないため」31.7%、「真荷主の経営状況が厳しいため」28.3%、「燃料サーチャージの仕組みが複雑かつ手間暇もかかるため」25.0%。
下請け事業者への対応については、荷主から収受できている元請け事業者の場合、下請事業者から「運賃の値上げ要請があった」71.3%、「燃料サーチャージの導入要請があった」26.8%で、「いずれもない」が20.4%。燃料高騰分を支払っていない理由としては、協力会社(下請け事業者)から要請を受けていないが51.4%と半数を超える。
一方、荷主から収受できていない元請け事業者の場合、下請け事業者から「運賃の値上げ要請があった」28.3%、「燃料サーチャージの導入要請があった」6.7%、そして「いずれもない」が65.0%に及んでいる。下請け事業者に燃料高騰分を、「支払っていない」のは88.3%と約9割。