配達時の手待ち時間60分以上が25%など『過剰な輸送サービス』浮き彫りに 路線連盟が荷主庭先の実態調査
日本路線トラック連盟(北野耕司会長)は10日、今年4月から5月にかけて会員特積み事業者等を対象にアンケート調査した「荷主庭先実態調査」結果を発表。集荷配達時における「長時間の手待ち」や「付帯サービス」等料金の収受を伴わない過剰な輸送サービスの提供により、“見えないコスト”部分をトラック運送事業者が負担している実態が明らかになったとしている。
アンケートは29社180事業所からの回答を得、配達業務767件、集荷業務309件の合計1076件の調査票を回収した。
それによると、配達先に到着してから荷役開始までの手待ち時間は、767件中、60分以上というものが24.5%を占め、なかには5~6時間手待ち発生の事例も見られたとしている。この中では時間指定があるものが8割前後にも及ぶ。集荷先に到着してからの荷役時間までの手待ち時間は、60分以上が7.4%となっているが、配達に比べ手待ち時間は短い傾向にある。
60分以上の手待ち時間が発生する割合の高い荷主業種は、配達では「飲食料品卸売業」「各種商品小売業」「運輸業」「飲食料品小売業」など、集荷では「食料品製造業」「運輸業」など。
配達時の荷役時間は60分以上というものが18.4%、集荷では、54.0%と半数以上を占める。仕分や検品作業が荷役時間を長くする要因ともなっていると指摘。配達時における付帯作業は「仕分」と「検品」のいずれも7割近くが『ある』としており、集荷では「仕分」52.4%、「ラベル貼り」37.5%の順で『あり』とする割合が高く、集配送ともに「仕分」の付帯作業が多い。
付帯作業について、契約上の書面化が行われているのは、「ラベル貼り」が最も多く7.1%で、「仕分」5.7%、「検品」5.1%、「荷役機械利用」「納品場所整理」各4.4%、「棚入れ」3.7%と続き、いずれも1割にも満たない。料金を収受できているのは、「荷役機械利用」「棚入れ」「納品場所整理」はいずれも1件もなく、「仕分」で1.2%、「検品」で1.4%、「ラベル貼り」が3.6%にとどまる。また書面化されていない場合は、料金の収受なく付帯業務を行っているケースがほとんど。
集荷時の付帯作業について、書面化が行われているのは、「商品梱包」が23.5%で最も多く、次いで「仕分」の12.3%、「棚出し」11.6%、「ラベル貼り」9.5%、「荷役機械利用」4.7%。書面化の割合は配達に比べて高いものの、書面化はほとんど進んでいない。料金収受ができているのが、「ラベル貼り」8.6%、「商品梱包」5.9%、「仕分」2.5%、「荷役機械利用」0.8%で「棚出し」は1件もない。また書面化されていない場合でも、ほとんどが料金の収受を伴わない付帯作業が行われている。
事業者からの意見では配達・集荷ともに「時間指定」「受付時間」「手待ち時間」など時間に関する改善を望む声が多く、全体の半数を占めた。特に「配送センター」について、配達では5割超が、集荷でも4割弱が改善を求めている。