事故防止対策や旧暫定税率撤廃求める決議も 全ト協が事業者大会
全日本トラック協会(星野良三会長)は「トラックの日」の9日、福岡市中央区のヒルトン福岡シーホークで第19回全国トラック運送事業者大会を開催。燃料価格高騰に苦しむ業界の切実な現状を訴え、軽油引取税の旧暫定税率の撤廃などを盛り込んだ「決議」に加え、交通事故が増加傾向にあることを踏まえた「事故防止対策の徹底に係る大会決議」を採択した。また交通安全対策、人材確保の2テーマによる分科会討議が行われ、各社の先進的な取り組みが紹介された。全国から1500人を超える事業者らが参加した。
全体会議冒頭の開催地ブロックの原重則九州トラック協会長あいさつに続き、星野会長があいさつ。
星野会長は前日に飯塚市でトラックの森づくり記念植樹式を行ったことを紹介し、植樹を通じ地球温暖化防止や環境保全の意識向上に業界として貢献していきたいとの決意を述べた。
そして、近年自然災害が頻発しているとし、7月末に竣工した全日本トラック総合会館について、大規模災害に国や関係機関と迅速に連携が取れるよう、中央の防災司令塔としての機能をいかんなく発揮していきたいと述べた。また燃料価格の高騰が続き、7月には軽油価格がインタンクで126円を超えたとし、経済活動を支える多くのトラック運送事業者が存廃の危機に直面し、安定した輸送力を確保していくことが困難になっていると訴えた。
こうした状況を受けて、7月に燃料高騰対策本部を開催し、燃料高騰対策の緊急要望の実施を決定し、また、署名活動も決め、燃料高騰に苦しむトラック運送業界に係る署名活動を全国一斉に実施し、目標数の2倍となる200万人余りの署名を集めることができたことを紹介した。今後は自らが先頭に立って、軽油引取税の旧暫定税率廃止と燃料対策の早急な実施を政府や自民党に対し強く訴えていくことを約束した。
最後に、今大会は燃料価格高騰、高速道路料金、労働力不足などの諸課題に業界が一丸となって、積極的に取り組んでいくため、一致結束する絶好の機会であると訴えトラック運送、業界の明るい未来を自らの手で切り開く英知と総力を結集し、ともに頑張っていこうと呼び掛けた。
次の分科会は、「トラック業界の交通安全対策の推進について」と「トラック業界の人材確保および育成について」のテーマで、それぞれ二つの分科会に分かれ討議。パネルディスカッション方式で行われ、事業者の取り組みなどの発表や意見開陳が行われた。この中で、人材確保の分科会では自動車科・自動車専攻科を設置している福岡県の希望が丘高等学校の自動車科科長から、生徒、保護者や教育者からのトラック業界に対するイメージの紹介やGマークの強力なPRなどの提案が行われ、注目された。
分科会終了後、「鉄道の再生~JR九州の経営を通して~」をテーマに石原進九州旅客鉄道相談役が記念講演した。
全体会再開後は、二つの大会決議を拍手で採択。
一つは当面する諸課題に勇気と英断をもって、果敢に対応していくとし次の8項目を決議。◎軽油引取税の旧暫定税率の撤廃◎軽油高騰対策の推進ならびに燃料サーチャージの導入促進◎高速道路通行料金の引き下げおよび割引制度の拡充◎参入基準の厳格化等規制緩和見直しの促進◎原価管理に基づく適正運賃収受の促進◎事業後継者の育成と少子高齢化に対応した労働力の確保および人材育成の促進◎適正化事業の推進による法令遵守の徹底◎交通・労災事故撲滅および環境・省エネ対策の積極的な推進。
あと一つは事故防止対策の徹底の決議で、最近は事業用トラックによる交通事故が増加傾向にあることから、業界をあげてさらなる安全対策の徹底を図る必要があるとして、次の2項目を宣言した。
◎各都道府県別の車両1万台当たり死亡事故件数を「2・0」以内とする目標に向け、業界あげた安全対策の取り組みを推進する。
◎全てのトラック運送事業者が「安全を最優先する」という経営理念と、「絶対に事故を起こさせない」という信念を持ち、事故防止を図る。
来賓あいさつは小川洋福岡県知事と太田明宏国土交通大臣(田端浩自動車局長代読)の2氏。全員によるガンバローコールなどを経て閉会。次回事業者大会は来年10月1日に金沢市で開催する予定。