九州~関西・関東間農産品の共同トラック便運用開始へ 「新しい九州物流構築協議会」
生産・物流・流通団体が参加する「新しい九州物流構築協議会」は11月1日から共同物流体制の運用を開始する。
九州内から関西・関東への納品物流便を検討し、いままでにない、生産者が安定して依頼できる「物流便の確保」の仕組みを組み立てようと、西日本有機出荷組合(鳥越農園)、丸善運輸グループ、大地を守る会、らでぃっしゅぼーや、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(生活クラブ連合会)、パルシステム生活協同組合連合会(生協パルシステム)が発起人となり組織化したもの。9月26日に福岡県久留米市で農産物産直団体を対象とした運用説明会を開催している。年間2万トン分を扱う見込み。今後、九州内の中小出荷団体48ヵ所以上に呼びかけ、拡大させていく計画。
新しい九州物流構築は、◎ドライバーの就業条件に関する厚生労働省からの「改善基準告知」再通達◎宅配便業界のクール便をはじめとする大幅な料金改定◎燃料コスト増による賃金の抑制とドライバー人材の確保困難-など、取り巻く環境が悪化する中、九州内では1車単位にならない小ロットの出荷団体や集荷ルートから外れ過疎地域にある出荷団体などが、運送会社から一方的な契約の解除通告、契約料金の大幅な値上げ要請などを受け、消費地向けへの生産物を出荷できない団体も多く発生しているとし、集荷・運行・配送まですべてを冷蔵車で共同輸送する高品質・低価格・安全運行を実現するシステムを検討してきた。
物流を担当する丸善運輸グループは九州各地で集荷した農産物等を集約し、兵庫県にある自社の西宮ターミナルを中継拠点として活用。ドライバーを交代させ東京まで運ぶ運行便を設定する。従来、休憩・休息を合わせ27時間半要していたリードタイムを24時間で輸送でき、最大3時間半の短縮を図る。これによりCO2排出量も10%程度削減可能としている。
運用説明会では1ケースから1トンまでの小口配送、1トン~3トンまでの小ロット、貸切の1車チャーターの料金設定を提示。小口配送では1ケースを福岡から関東まで400円、小ロットでは2~3トン未満で300円、1車チャーターは10トン車で21万円などとなっており、総体的にクール宅配便より40%程度安く、既存運賃より10%程度高く設定。今後の燃料費・人件費高騰による1.5倍程度の運賃上昇を見込んでの料金設定としている。トラックの到着時間等、貨物トレースは久留米市の丸善運輸グループが一括管理する。
今回の共同便は、付加価値の高い商品の輸送を想定しており、同じ組合・グループ内であっても商品に合わせて、運賃の安い運送会社やJRコンテナをいままでどおり利用することも可能としている。3年を目途に九州全土での集荷体制の整備を計画するとともに、運行経路となる中国地方での共同輸送構築を視野に入れ取り組む方針。