トラックによる地域活性化実現に向け事業環境等を検討する小委員会設置 国交省
交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会は、自動車行政を取り巻く課題への対応方策などを検討するため、「豊かな未来社会に向けた自動車行政の新たな展開に関する小委員会」を設置し、24日に東京都千代田区の中央合同庁舎で第1回会合を開いた。
第1回会合では、自動車行政を取り巻く課題として、①「地域産業」としての自動車運送事業等の果たす役割と維持・活性化②経済の基盤となる物流を担うトラック事業による地域経済の活性化への貢献③安全や環境対策に資する技術開発・普及促進―など11項目を挙げ、それぞれに「問題意識例」や「取り組み事例」、「課題」などを示している。
検討事項のうち、国際競争力の強化と地方創生への対応は喫緊の課題であることから、優先的に検討を行うこととし、次回会合では関係企業・団体からヒアリングを行う。会合は月1回程度開催し、第3回会合では、中間整理案について審議。年明けに第4回以降の会合を開き、来年6~7月に取りまとめを行う。
委員は、山内弘隆一橋大大学院教授を委員長に、学識経験者、ジャーナリスト、労働組合関係者などの有識者で構成されている。
「『地域産業』としての自動車運送事業等の果たす役割と維持・活性化」については、トラック運転者数が3大都市圏で全国の22.5%を占める中、「人口急減を克服し、地域密着型の『地域産業』としての自動車運送事業等の果たす役割についてどう考えるか」を「問題意識例」として挙げた上で、「課題」として、「自動車運送事業等の90%以上が中小企業であり、厳しい競争の中、事業者数の増加・事業規模の零細化が進み、経営者・従業員の高齢化が進展。
このような中、地域産業である自動車運送事業等の基盤を維持するための支援施策のみならず、新たな取り組みへの意識を持ち、新たな設備投資や人材育成などによる基盤強化を図るとともに、収益性を向上させる事業環境の創出が必要ではないか」としている。
「自動車運送事業等における現場を支える技能人材の確保・育成」については、「取り組み事例」として、自動車局ホームページへの「トラガールサイト」開設など女性ドライバーの活躍に向けた取り組みを提示している。その上で、「課題」として、「不規則・長時間・力仕事といった働き方を変えるため、どのような取り組みが必要か」などの視点を示している。
「経済の基盤となる物流を担うトラック事業による地域経済の活性化への貢献」については、「問題意識例」として、末端輸送の大宗を担うトラック産業が創意工夫により付加価値を付けることで、地域産業の活性化に貢献する可能性や大規模災害時の「日本海・太平洋2面活用型国土」形成に向けた取り組みなどを示した上で、「課題」として、先駆的事例の発掘・展開や緊急物資輸送体制の拡充などを例に挙げている。