物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2014年9月29日付 2535号

トラックによる地域活性化実現に向け事業環境等を検討する小委員会設置  国交省

 交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会は、自動車行政を取り巻く課題への対応方策などを検討するため、「豊かな未来社会に向けた自動車行政の新たな展開に関する小委員会」を設置し、24日に東京都千代田区の中央合同庁舎で第1回会合を開いた。

 第1回会合では、自動車行政を取り巻く課題として、①「地域産業」としての自動車運送事業等の果たす役割と維持・活性化②経済の基盤となる物流を担うトラック事業による地域経済の活性化への貢献③安全や環境対策に資する技術開発・普及促進―など11項目を挙げ、それぞれに「問題意識例」や「取り組み事例」、「課題」などを示している。

 検討事項のうち、国際競争力の強化と地方創生への対応は喫緊の課題であることから、優先的に検討を行うこととし、次回会合では関係企業・団体からヒアリングを行う。会合は月1回程度開催し、第3回会合では、中間整理案について審議。年明けに第4回以降の会合を開き、来年6~7月に取りまとめを行う。

 委員は、山内弘隆一橋大大学院教授を委員長に、学識経験者、ジャーナリスト、労働組合関係者などの有識者で構成されている。

 「『地域産業』としての自動車運送事業等の果たす役割と維持・活性化」については、トラック運転者数が3大都市圏で全国の22.5%を占める中、「人口急減を克服し、地域密着型の『地域産業』としての自動車運送事業等の果たす役割についてどう考えるか」を「問題意識例」として挙げた上で、「課題」として、「自動車運送事業等の90%以上が中小企業であり、厳しい競争の中、事業者数の増加・事業規模の零細化が進み、経営者・従業員の高齢化が進展。
 このような中、地域産業である自動車運送事業等の基盤を維持するための支援施策のみならず、新たな取り組みへの意識を持ち、新たな設備投資や人材育成などによる基盤強化を図るとともに、収益性を向上させる事業環境の創出が必要ではないか」としている。

 「自動車運送事業等における現場を支える技能人材の確保・育成」については、「取り組み事例」として、自動車局ホームページへの「トラガールサイト」開設など女性ドライバーの活躍に向けた取り組みを提示している。その上で、「課題」として、「不規則・長時間・力仕事といった働き方を変えるため、どのような取り組みが必要か」などの視点を示している。

 「経済の基盤となる物流を担うトラック事業による地域経済の活性化への貢献」については、「問題意識例」として、末端輸送の大宗を担うトラック産業が創意工夫により付加価値を付けることで、地域産業の活性化に貢献する可能性や大規模災害時の「日本海・太平洋2面活用型国土」形成に向けた取り組みなどを示した上で、「課題」として、先駆的事例の発掘・展開や緊急物資輸送体制の拡充などを例に挙げている。

「快適生活サポートサービス」10月から全国展開  ヤマトホームコンビニエンス

 ヤマトホームコンビニエンス(YHC、市野厚史社長)は10月1日から、「快適生活サポートサービス」を全国発売する。

 快適生活サポートサービスは、キッチンや水まわりなどのハウスクリーニング、家具移動など部屋の整理収納、家電・家具等の物販の各種サービスをまとめたもので、ハウスクリーニングや整理収納については、同社独自のマニュアルに沿って研修を受けた専属の担当スタッフ、「ライフアテンダー」が提供する。これまで全国の主要11都市で展開していたが、10月から沖縄県と一部地域を除く46都道府県に拡大する。

 サービスメニューは、ハウスクリーニングがエアコン、キッチン、水まわり、家具・窓まわりの16種類、部屋の整理収納が家財の移動や整理収納など3種類、物販は家具・家電のレンタル・販売、防災グッズや生活便利グッズの販売となっており、物販については同社の「リユース品の買取・引取サービス」が付いてくる。

 利用者は、これら各サービスをその都度単品で利用することも可能だが、YHCが提供する入会金・年会費無料の会員制サービス「快適生活倶楽部」に入会すると、千円からサービスの利用回数に応じて最大30%までの割引が適用されるほか、誕生日プレゼントや各種キャンペーンの案内、ライフアテンダーのさまざまな提案が受けられる。
 ライフアテンダーはヤマトグループの制服を着用し、電話・eメールによる相談から要望に応じた作業、アドバイス、提案などに対応、利用者の快適生活をサポートしていく。

 YHCではこのサービスについて、一般の利用者はもとより、法人顧客にも福利厚生の一環として利用してほしいとしており、売り上げ目標について、初年度となる14年度に3億5千万円、16年度に28億円と設定している。これにあわせ現在200人いるライフアテンダーも、16年度までに女性を中心として400人まで増員させていく考え。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か(25)
    ☆四文字『近代化が必須「集積機能」』
    ☆道『ドルとオイルショック、車社会』(11)
    ☆日中ビジネスワンポイント『中秋の名月』

  • ☆JR貨物、10月から臨時列車で関東~九州間の輸送力増強
    ☆物流連が経営効率化委員会開く、山間過疎地の物流で高知県の実態報告
    ☆日本郵便が全国で大規模拠点整備を計画、第1弾は埼玉県に
    ☆静岡ト協調査、厳しい運賃交渉値上げ実施は4割に
    ☆試験センター、14年度第1回運管試験は合格率が過去最低
    ☆トナミ運輸労組が定期大会、女性委員会の充実化など15年度運動方針決める
    ☆ヤマト運輸労組、夏のカンパ金で総額7200万円を寄付
    ☆関運局、管内事業用自動車の安全施策目標を公表
    ☆ブリヂストン、タイヤで環境対応とコスト削減
    ☆日通の組織再編、大阪航空支店など事業部から関西ブロック地域総括に移管
    ☆来年4月から単独事業区域の協組は所管が都道府県に
    ☆ヤマトシステム開発、MVNO事業者向けサービスに本人確認機能を追加
    ☆佐川グローバルロジスティクス、舞洲SRC稼働
    ☆SGホールディングス栗和田社長が安倍首相の経済フォーラムに参加しスリランカ訪問
    ☆日立物流、国内連結子会社2社を合併
    ☆佐川急便、日産の電気トラック実証運行に協力
    ☆ヤマト運輸・中部国際空港、訪日外国人旅行者へ手ぶらサービス提供

今週のユソー編集室

  • ▼物流連は今月8日から12日にかけて、業界20社が参加するインターンシップを開催した。各社が合同でインターンシップを行う、初の試みだ。その初日のオリエンテーションを取材した。
    ▼当日やってきた学生は130人。驚いたのは女子学生の多さで、男女比はほぼ半々のように思われた。初日ということもあったのか、表情は心なしか固く、いずれも真剣な面持ちで、ときどきメモを取りながら、講演者の話を聞いていた。
    ▼学生たちは5日間で何を学んだのだろう。普段は目立たないが、災害時には人命維持に直結する物流の使命の重さも、分かってもらえただろうか。そして、あの中の何人が物流業界の門を叩くのだろう。
    ▼物流連によると、インターンシップ後に行った学生からのアンケートでは、感想や今後の改善点など、さまざまな指摘が来ているという。物流を“等身大”に理解してもらうきっかけになったとすれば、素晴らしい話ではないか。

戻る