4日から31フィート鉄道コンテナ利用の異業種間ラウンド輸送開始 イオン・花王
イオン(岡田元也社長)の連結子会社で物流事業を展開するイオングローバルSCMと花王(澤田道隆社長)のロジスティクス部門は4日、東京~福岡間で31フィートコンテナを活用した鉄道輸送往復利用を開始した。輸送に伴うCO2排出量削減と物流効率化を狙ったもので、イオングローバルSCMによる異業種間の31フィート鉄道コンテナを利用したラウンド輸送は、過去にも例がある。
輸送は、花王川崎工場(神奈川)→JR貨物東京貨タ駅→JR貨物北九州貨タ駅→花王北九州ロジスティクスセンター(福岡)→トップバリュ(イオンのプライベートブランド)飲料製造工場(福岡)→JR貨物福岡貨タ駅→JR貨物東京貨タ駅→イオン北関東RDC(地域配送センター)・イオン関東RDC(いずれも千葉)→花王川崎工場の経路をたどる。花王は香り付き洗浄剤を、イオンはペットボトル入り飲料を、それぞれ同一のコンテナで輸送し、年間600~700トンの輸送量を見込んでいる。イオンではこれにより、トラック輸送と比較して輸送往復1回当たり約2.8トンのCO2削減が図られるとしている。
両社は、鉄道輸送拡大に向けて小売業やメーカー各社で構成された「鉄道輸送研究会」において、鉄道輸送の効率的運用などについて研究を行ってきた。その場でイオングローバルSCMが花王に今回のCO2排出量削減の取り組みを提案し、花王がこれに賛同したもの。輸送の実現に当たっては、今年4月から8月にかけて実証実験を行い、共同輸送の運用面と製品品質について両社連携で検討した。
運用面については、相互の発注から納品までに要する時間の確認、発着地での大型コンテナによる積込・荷降などについて調整した。製品品質については、輸送時の温度や振動・コンテナ内装材質の影響などを検証するため、12フィートコンテナを使用した予備検証から始め、引き続き31フィートコンテナによる東京~福岡間の輸送テストを実施。往路の洗浄剤の香りが復路の飲料水へ移る心配があったため、臭気計による計測や官能評価を重ね、特別な対策を講じる必要がないことを確認した。
両社はともに、今後もモーダルシフトを含めた異業種間連携によるCO2削減に取り組む考えとしている。