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2014年9月8日付 2533号

4日から31フィート鉄道コンテナ利用の異業種間ラウンド輸送開始  イオン・花王

 イオン(岡田元也社長)の連結子会社で物流事業を展開するイオングローバルSCMと花王(澤田道隆社長)のロジスティクス部門は4日、東京~福岡間で31フィートコンテナを活用した鉄道輸送往復利用を開始した。輸送に伴うCO2排出量削減と物流効率化を狙ったもので、イオングローバルSCMによる異業種間の31フィート鉄道コンテナを利用したラウンド輸送は、過去にも例がある。

 輸送は、花王川崎工場(神奈川)→JR貨物東京貨タ駅→JR貨物北九州貨タ駅→花王北九州ロジスティクスセンター(福岡)→トップバリュ(イオンのプライベートブランド)飲料製造工場(福岡)→JR貨物福岡貨タ駅→JR貨物東京貨タ駅→イオン北関東RDC(地域配送センター)・イオン関東RDC(いずれも千葉)→花王川崎工場の経路をたどる。花王は香り付き洗浄剤を、イオンはペットボトル入り飲料を、それぞれ同一のコンテナで輸送し、年間600~700トンの輸送量を見込んでいる。イオンではこれにより、トラック輸送と比較して輸送往復1回当たり約2.8トンのCO2削減が図られるとしている。

 両社は、鉄道輸送拡大に向けて小売業やメーカー各社で構成された「鉄道輸送研究会」において、鉄道輸送の効率的運用などについて研究を行ってきた。その場でイオングローバルSCMが花王に今回のCO2排出量削減の取り組みを提案し、花王がこれに賛同したもの。輸送の実現に当たっては、今年4月から8月にかけて実証実験を行い、共同輸送の運用面と製品品質について両社連携で検討した。

 運用面については、相互の発注から納品までに要する時間の確認、発着地での大型コンテナによる積込・荷降などについて調整した。製品品質については、輸送時の温度や振動・コンテナ内装材質の影響などを検証するため、12フィートコンテナを使用した予備検証から始め、引き続き31フィートコンテナによる東京~福岡間の輸送テストを実施。往路の洗浄剤の香りが復路の飲料水へ移る心配があったため、臭気計による計測や官能評価を重ね、特別な対策を講じる必要がないことを確認した。

 両社はともに、今後もモーダルシフトを含めた異業種間連携によるCO2削減に取り組む考えとしている。

スロベニアで覚書締結、コペル港の利用拡大へ  日本通運

 日本通運(渡邉健二社長)はこのほど、スロベニア共和国のコペル港(ルカコペル社)と、コペル港利用による事業拡大と品質強化を目的とした覚書を締結した。

 ルカコペル社は、スロベニア政府が出資する半官半民企業。コペル港の管理運営を主要業務とするとともに、物流強化という国の方針に基づき、同港を中東欧地域へのゲートウェイとして拡充する取り組みを行っている。ブダペスト、ウィーンにも事務所を構え、コペル港の利用を促進する営業活動も行っている。今回の覚書締結は、日通とルカコペル社のネットワークを生かし、アドリア海に面したコペル港を活用した欧州各地への新たな輸送ルートの開発、事業拡大などを目的としている。

 コペル港の利用により、日本から欧州内陸へは、太平洋を経由してオランダのロッテルダム港やドイツのハンブルク港を利用するルートより、航海距離は約3700キロメートル短くなり、海上コンテナ1本あたり約2トンのCO2排出量が削減される。また、ブタペスト、ウィーンなどへは、陸上輸送距離が半分となるため、陸上輸送に伴うコストを約20%削減できる見込み。コペル港には鉄道が建設されており、トレーラ輸送だけでなく、鉄道輸送も可能なため、顧客のニーズに応じた輸送方法を提供できるとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウオッチ『中国における「かつ大・重量物」の物流』
    ☆道『ドルとオイルショック、車社会』(10)
    ☆四文字『トラ・ターミナル「整備充実」』
    ☆人物ウィークリー、国土交通省・宮城直樹大臣官房審議官(自動車局担当)

  • ☆国交省、運行記録計の装着義務拡大で新車は来年4月施行パブリックコメント募集
    ☆全ト協の労働政策小委発足、改善基準告示の現状と問題点など把握へ
    ☆8月のWebKIT速報、荷物情報は10%伸長
    ☆埼玉ト協が公明党県本部と意見交換会、旧暫定税率廃止など要望
    ☆貨物自動車運送事業振興センター、トラックの日にちなみ10月8~9日に各トラックステーションで「とくとくキャンペーン」展開
    ☆国交省、第1回「荷主と物流事業者が連携したBCP策定促進に関する検討会」開催
    ☆国交省・武藤審議官が会見、改善基準告示は知恵を出して守るべき
    ☆静岡ト協、10日に人材・安全確保・適正運賃収受へ緊急推進大会
    ☆ANAとルフトハンザカーゴが貨物の事業統合へ
    ☆物流連、高齢者雇用テーマに労働力問題小委開く
    ☆東ト協、都議会各党に交付金上限枠撤廃など来年度税制改正要望
    ☆物流連が基本政策委開催、東京五輪控え検討課題など確認
    ☆損保ジャパン日本興亜、ビッグデータ活用した安全運転支援サービス提供へ
    ☆日本郵便、通販ソリューションをワンストップで提供へ
    ☆ボックスチャーター、セキュリティオプションでモバイル対応開始
    ☆通運連盟、労働力不足問題で10月にシンポジウム
    ☆東ト協、24人が物流経営士に

今週のユソー編集室

  • ▼運輸労連はこのほど、高速道路におけるサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)にトラックが止められない問題について、改善を訴えかけるDVDを製作した。
    ▼この問題の原因は、SA・PAの大型車の駐車スペースが、圧倒的に足りないことにある。このため困ったドライバーは、SA・PAの進入路などに駐車したり、やむを得ず休息もとれないまま運転を続けることになる。
    ▼言うまでもないが、進入路へ駐車は違法である以前に危険を伴っており、実際に事故が発生し死者まで出ている。また、連続運転時間が4時間を超えれば改善基準告示違反だ。事業者としても途方に暮れるほかない。
    ▼大型車の駐車スペースを拡大するのは難しいだろう。ここは運輸労連が提言するとおり、高速道路から降りてトラックステーション等で休息し再度高速道路を利用した場合、料金を通算化するなどといった施策を、積み重ねていくしかないように思う。

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