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2014年7月14日付 2526号

自動車運転免許に18歳から取得可能な3.5トン以上7.5トン未満の新区分、トラック業界の要望実る  警察庁

 警察庁の「貨物自動車に係る運転免許制度の在り方に関する有識者検討会」は10日、18歳で車両総重量3.5トン以上7.5トン未満のトラックが運転できる新たな運転免許区分の新設を内容とする報告書をまとめた。トラック運送業界の長年の要望が実ることとなる。これを受け同庁では来年の通常国会に道交法改正案を提出するが、高校新卒者の就職機会やトラック運送業界の労働力確保等の観点から、全日本トラック協会(全ト協)や全国高等学校長協会では可能な限り早期に施行するよう要望している。

 有識者検討会は昨年9月に第1回会合を開き検討を開始、全ト協や全国高等学校長協会、交通事故被害者遺族などに対するヒアリングなども行い、これまでに5回の会合を開き、報告書をまとめた。

 現行の運転免許区分は、車両総重量5トン未満の車が運転できる普通、5トン以上11トン未満の中型、11トン以上の大型の3区分となっているが、今回の改正では普通を3.5トン未満に引き下げ、3.5トン以上7.5トン未満の区分を新設、中型を7.5トン以上11トン未満へと変更し、11トン以上の大型を含め4区分へと変える。

 新設の免許区分はトラックを用いた試験・教習によって18歳以上で運転経験を問わずに取得できるというもの。その教習内容については、「現行の中型免許の限定解除に必要な5時限よりも多く、かつ、11トンという重量の比較的重い貨物自動車を前提にした現行の中型免許の取得に要する15時限よりは短い範囲」とされており、今後具体的に検討されていくことになる。

 その一方で、交通事故抑制につながるような、さらなる総合安全対策を講じるよう求めており、◎初心運転者に対する安全対策の充実◎貨物自動車運送事業法体系の中での運転者研修や教育の強化◎事故防止や被害軽減のための貨物自動車装備の充実、運行管理・支援システムの充実―などハード、ソフト連携した対策を求めている。

 前回中型免許創設時の道交法改正では公布から施行までに3年を要しているが、全ト協や校長会から、施行期日を可能な限り早めてほしいとの要望が出されているとして、報告書では施行時期の前倒しを検討するよう求めている。

シンガポールの物流会社を買収、BtoB分野強化へ  ヤマトアジア

 シンガポールに本社を構えヤマトグループの東南アジア地域を統括するヤマトアジア(Richard Chua Khing Seng社長)は10日、東南アジアでの事業基盤のさらなる強化と法人顧客向けサービスの充実を目的に、シンガポール国内で緊急配送ネットワークを有する、「TIDIKI EXPRESS」との間で株式譲渡契約を締結し、TIDIKI社の発行済株式の85%を取得して同社を子会社化する方針を示した。株式取得日は未定で、子会社化後に「YAMATO TIDIKI EXPRESS」へ社名変更する予定。

 TIDIKI社は2007年1月の設立、資本金は21万シンガポール、従業員数は約20人の規模。アイケア、日用品、電子機器等業界で優良なグローバル顧客と多数取引があり、これら企業に提供している既存サービスにヤマトグループの機能を追加することで、より高付加価値なサービスを提供していく。

 具体的には、ヤマトグループの独自サービスである宅急便と、TIDIKI社がもつ顧客ごとにカスタマイズされた緊急配送、それぞれのネットワークとノウハウを組み合わせることで、相互の強みを生かしたBtoB分野での一層高度なサービス提供を実現していくとしており、今後は次の3点の取り組みを進めていく計画という。

①ヤマトグループが持つ貨物追跡のノウハウやシステムを共有し、大きな追加投資なしで既存顧客に、より高度なサービスを提供する。
 ②法人顧客の多様なニーズの中で、汎用的な宅急便サービスで対応可能なものを宅急便ネットワークで請け負い、配送コストの最適化を図ることで、顧客の利益改善に貢献する。
 ③ヤマトグループのロジスティクス機能、フォワーディング機能、決済機能等を融合させることで、国際間調達から域内配送、決済までのトータルソリューションを提供する。

 ヤマトグループでは、2016年度までを期間とする現在の中期経営計画「DAN―TOTSU3か年計画STEP」の中で、アジアでの事業基盤の強化を掲げている。シンガポールでは10年に宅急便事業を開始し、通販や食品などBtoCを中心とした同国内の配送サービスを提供しているが、BtoBの納品物流でも数時間以内の緊急輸送や大型商品の配送、配達時付加業務の実施など、利用者からの多様なニーズが存在していたため、今回の子会社化に踏み切ったとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウオッチ『「2030年までの中国の道路網企画」をみる』
    ☆四文字『物流が跳ぶ「飛躍年代」』
    ☆道『ドルとオイルショック、車社会』(7)
    ☆日中ビジネスワンポイント『古都京都と奈良を訪問』(2)

  • ☆全ト協、6月のWebKIT成約運賃指数は14ヵ月連続で前年上回る
    ☆山九、中国の繊維大手と物流合弁会社設立で合意
    ☆国土交通省が第3回トラック有識者懇、適正取引推進へガイドライン改正
    ☆国土交通省が2013年度白書、グローバルサプライチェーン深化への対応など総合的物流施策推進に言及
    ☆埼玉ト協、施設や常設委員会の見直しなど行う特別委員会発足
    ☆交通エコロジー・モビリティー財団、全業種対象のグリーン経営セミナー開催
    ☆SBSHD、インドの国際物流企業の株式を取得し子会社化
    ☆フューチャーアーキテクト、佐川急便のビッグデータ分析基盤など構築
    ☆日本通運、オペレーション支援システムを刷新
    ☆日通東京輸送事業協同組合、労務問題をテーマに経営研修会開く

今週のユソー編集室

  • ▼国土交通省が先月発表した「全国輸出入コンテナ貨物流動調査」によると、2013年11月の国際海上コンテナの貨物量は、08年調査時と比較して、輸出入とも3割超の大幅な増加を示した。
    ▼特徴的なのは、最大の取扱量を誇る京浜港が、その後背地として、関東のみならず東北など広く東日本一帯を含んでいることだ。当然その間の国内輸送が発生していることになる。
    ▼日本貨物鉄道の石田会長は、海上コンテナの取扱増を目指しているという。狙い目は、やはりそうした地域との間の輸送なのだろうと思う。ただ、線路等の設備、駅のキャパシティや路盤、荷役機械など、鉄道貨物輸送に取り込むためのハードルは依然として高い。
    ▼同社グループのJR貨物・インターナショナルは、東京貨物ターミナル駅に、海上コンテナから鉄道コンテナへの積み替え施設を保有している。まずはこうした施設を拡充・利用するのが、取扱量拡大の方向性なのだろうと思う。

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