自動車運転免許に18歳から取得可能な3.5トン以上7.5トン未満の新区分、トラック業界の要望実る 警察庁
警察庁の「貨物自動車に係る運転免許制度の在り方に関する有識者検討会」は10日、18歳で車両総重量3.5トン以上7.5トン未満のトラックが運転できる新たな運転免許区分の新設を内容とする報告書をまとめた。トラック運送業界の長年の要望が実ることとなる。これを受け同庁では来年の通常国会に道交法改正案を提出するが、高校新卒者の就職機会やトラック運送業界の労働力確保等の観点から、全日本トラック協会(全ト協)や全国高等学校長協会では可能な限り早期に施行するよう要望している。
有識者検討会は昨年9月に第1回会合を開き検討を開始、全ト協や全国高等学校長協会、交通事故被害者遺族などに対するヒアリングなども行い、これまでに5回の会合を開き、報告書をまとめた。
現行の運転免許区分は、車両総重量5トン未満の車が運転できる普通、5トン以上11トン未満の中型、11トン以上の大型の3区分となっているが、今回の改正では普通を3.5トン未満に引き下げ、3.5トン以上7.5トン未満の区分を新設、中型を7.5トン以上11トン未満へと変更し、11トン以上の大型を含め4区分へと変える。
新設の免許区分はトラックを用いた試験・教習によって18歳以上で運転経験を問わずに取得できるというもの。その教習内容については、「現行の中型免許の限定解除に必要な5時限よりも多く、かつ、11トンという重量の比較的重い貨物自動車を前提にした現行の中型免許の取得に要する15時限よりは短い範囲」とされており、今後具体的に検討されていくことになる。
その一方で、交通事故抑制につながるような、さらなる総合安全対策を講じるよう求めており、◎初心運転者に対する安全対策の充実◎貨物自動車運送事業法体系の中での運転者研修や教育の強化◎事故防止や被害軽減のための貨物自動車装備の充実、運行管理・支援システムの充実―などハード、ソフト連携した対策を求めている。
前回中型免許創設時の道交法改正では公布から施行までに3年を要しているが、全ト協や校長会から、施行期日を可能な限り早めてほしいとの要望が出されているとして、報告書では施行時期の前倒しを検討するよう求めている。