「事業用自動車事故調査委員会」設置し重大事故の分析・再発防止策提言へ 国交省
国土交通省は社会的影響の大きい事業用自動車の重大事故の要因分析や再発防止策の提言を行うため「事業用自動車事故調査委員会」を設置。26日に東京・麹町の弘済会館で第1回会合を開き、年間20数件を調査の対象とすることなどを確認した。
トラックなど事業用自動車の重大事故は、背景に組織的・構造的問題があると疑われるものも多く、高度かつ複合的な事故要因の調査分析と客観性のある質の高い再発防止策の提言が求められている。こうした状況を踏まえ、国交省自動車局、道路局、警察庁交通局の協力の下、「交通事故総合分析センター」への外部委託により、事業用自動車事故調査委員会を運営するもの。年間約4万件発生している事業用自動車による交通事故のうち、特に重大な事故を年間3件程度、重大な事故を年間20件程度選定し、現地調査のほか、運送事業者への聞き取りや国交省・警察庁からの情報など多面的な視点から高度な複合分析を行う。
委員は、酒井一博労働科学研究所所長を委員長に、交通、道路、車両、組織マネジメント、健康などを専門とする学識経験者ら8人で構成される。委員会は年4回程度開催し、直近3ヵ月間に発生した重大事故から調査対象を選定。早いものでは、事故発生から半年以内に再発防止策を公表する。ただし、運輸安全委員会と違って、設置に法的な裏付けが薄く、情報収集に関しての実効性を疑問視する見方もある。
自動車運送事業者への調査については、運輸支局などの監査担当官が同行することで実効性を担保できるとしているが、無理な運行を指示した可能性が疑われる荷主や旅行会社などへの調査については、「任意で応じてもらうしかない」(国交省自動車局安全政策課)としており、事故の構造的背景を明らかにするための調査の実効性をいかに高めるかが今後の課題となる。