2013年度のトラック業社会保険未加入事業者割合が06年度比9.7ポイント減少、処分強化等が奏功 国交省
国土交通省は4日、東京・霞が関の同省で「貨物自動車運送事業における適正取引推進のための関係省庁等課長級会議」を開き、トラック運送業における社会保険の未加入状況などを報告。適正化事業実施機関の巡回指導で2006年度に26.7%だった社会保険の未加入率が通報制度の導入や行政処分強化などにより、昨年度は17.0%にまで下がっていることがわかった。しかし、依然として巡回指導を行った事業者のうち2割近くが社会保険未加入で、これらの事業者は本来社会保険に充てられるコストを運賃の引き下げ原資に充当している可能性もあり、さらなる対策の強化が求められている。
同会議は、年1回、国交省、厚生労働省、日本年金機構の担当者が出席して、トラック運送業での社会保険・労働保険未加入対策に関する運用状況や今後の取り組みを話し合うもので、今回で6回目。
国交省からは、新規許可時の社会保険加入指導や地方実施機関からの通報制度導入、行政処分強化など、これまでの対策についての説明が行われた。新規許可時の社会保険等への加入指導は08年3月の許可等の処理方針改訂により実施され、昨年5月からは、未加入事業者の情報を日本年金機構に提供する制度も開始された。
地方実施機関から運輸支局への通報制度は04年から実施。昨年10月から12月までの3ヵ月間では、全国で595件の社会保険等未加入に関する通報が行われた。また、09年には一部未加入の初回違反を、「警告」から「10日車」の車両使用停止処分にするなど、行政処分を強化した。
これらの取り組みにより、06年度に26.7%だった巡回指導時の社会保険未加入率は09年には25.2%に減少。12年度には19.4%と20%を切り、昨年度は17.0%となった。労働保険の未加入率も、06年の12.9%から昨年度は7.7%にまで低下した。
しかし、加入が義務である社会保険に入らない事業者による不健全な競争状態が続いている現状は、人手不足に悩むトラック業界の将来のためにも早急に改善を図る必要がある。こうした状況に対し、国交省は、加入状況照会に対する回答の期間短縮を日本年金機構に求めている。
現行制度では、適正化実施機関からの通報を受けて運輸支局が監査に入り、社会保険未加入が認められた場合、処分の前に年金機構に加入状況などに関する照会を行うが、約半数は回答までに2ヵ月以上を要し、スムーズな処分への流れを妨げている。回答までの期間は以前よりも短縮傾向にあるというが、現行の枠組みの中で、行政処分の効果をより高めるには、回答のさらなるスピード化が求められている。